庭先の地球

庭先に現れた家の壮観さに、俺は目を見開いた。
草を刈るために俺まで駆り出されることになった数分前の気だるさも忘れるほど庭先は雑草で満たされていて、
そこには夏の陽射しで豊かになった緑の家の主である虫達がいる。

片っぽしかない軍手を左手にして俺は虫達の家に上がり込み、草むしりを始めた。草を引っこ抜くたびに飛ん
だり跳ねたり、ここの住人達が引っ越していく。日陰で涼んでいたカマキリは、衣を薄い茶色から緑に変え、
春に見た時よりも大きく育っていた。地面の上では俺の靴を避けながらダンゴムシが慌てて安全な道を探して
いる。

小さなものに目をやると、そこはまさに小宇宙。庭先にロマンが広がっていた。

庭先の地球

庭先の地球

虫にとっては大変な一日。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-18

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