完全無欠の子育て本

神様の創った子育て本があった。
これがあれば、夜泣きの多い子でも生まれつき気の難しい子でも
ちゃんと育ってくれるという、まさに完全無欠の子育て本だった。

ある日それを聞いた夫婦がその完全無欠の子育て本を手に入れ、
全てその本の通りに行動した。
すると子どもは大きくなるにつれ、どんどん立派に成長していった。

小学校に上がる頃になると、担任の先生や同じクラスの親御さんから羨まれる程になり
夫婦の自慢の子供に育った。
しかし中学生になる頃、子供の態度が急変した。
今までは二人のいうことに元気よくうなずいていたのに、今では文句が返ってくればいい方で、
ほとんど返事もしなくなった。
しかし夫婦は慌てることもなく、本のページを開いてその通りにした。

完全無欠の子育て本には子供が成人するまでのありとあらゆる対応や対策が記載されており、1つの問題に対して
対処法が9つも載っていたし、なにより今まで子供と一緒に過ごしてきた日々への信頼があった。
夫婦は反抗期が過ぎるまでの辛抱と、ページの色が変わる程に本をめくり続けた。
けれど、反抗期の対応第9章を読み終えた後も子供の態度は変わらなかった。

完全無欠の子育て本

親と子供にはこういうすれ違いが多いと思います。
すこしずつ、すこしずつ、お互い冷静になれたなら、道は開けるのではないでしょうか。

完全無欠の子育て本

親御さんに見てもらいたい物語

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-16

Copyrighted
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