ゲーゲンヴェルト
鳴らない電話が鳴り止まない
続かない日が続く
あの子の座わらない虚から
引き止めない過去を聞く
どこにも届かないオンラインでは
知らない名前は記号になり
記号でしかない記号が
止まらない錆びたブランコを
沈まない夕日にする
粒子の街では
子供が大人に
おとながこどもになる
紙は命の文字
流線型の雨だれが
人の道を説き
生きている石をうつ
どこへでも
どこまでへでも
選べない意志をもたされ
音のない声をもたされ
彼らは昼を立つ
見えない的をもたされ
免れない希望をもたされ
彼らは夜を立つ
ゲーゲンヴェルト