拝啓 タチアオイ
少し季節が遅れている。
在来線
いちばん前に立ったまま
一時間
空のきれま
雲、細長く伸び
段々続きの
上は光
下は青、影の差す
アカシアの匂いがたわんでいる
重たい重たい、
軽そうなカラスノエンドウの紫色
広葉樹のみどりは
間違っても青じゃない
後ろへ過ぎてゆく電線、
川におちる橋の影
なにもないよ、遮るもの
線路が続くかぎり
つづく、かぎり
広がっている
「なにもない」
続いている
何もない、が、まだ、
続いている
だから
ほら、夏だ。
拝啓 タチアオイ
在来線
いちばん前に立ったまま
一時間
空のきれま
雲、細長く伸び
段々続きの
上は光
下は青、影の差す
アカシアの匂いがたわんでいる
重たい重たい、
軽そうなカラスノエンドウの紫色
広葉樹のみどりは
間違っても青じゃない
後ろへ過ぎてゆく電線、
川におちる橋の影
なにもないよ、遮るもの
線路が続くかぎり
つづく、かぎり
広がっている
「なにもない」
続いている
何もない、が、まだ、
続いている
だから
ほら、夏だ。
拝啓 タチアオイ