要領
時間がかかりすぎる
小さい頃から、要領の良くない子どもだった。
回り道して、回り道してゴールにたどり着いたときにはみんな休憩しているところだった。
何で私だけこんな。
神様を恨んだ。
が、私は今要領が悪く、苦労ばかりした過去を心の底から誇りに思っている。
経験は、何よりの宝物になるからだ。
こんな経歴がある。
これだけの収入がある。
数値で他人に優っていると嘯くことは簡単だ。
しかし、幸せは決して数値では図れない。
私は平坦ではないこの道を必死に歩く中で、自分だけの幸せを見つけた。
明日も幸せか、明後日も幸せか。
そんな保証はどこにもない。
それでも、灰色の日々の中で一瞬でも自分らしくいられるだけで、私は満ち足りた気分になる。
要領