枯渇
始まり
屋根を叩きつける雨は
わたしを追い立てた
雨が急かす
わたしは怖かった
あのバラバラと憎たらしいと喚き散らすような雨音が
怖かった
泣きながら軒下を後にした私に
夜はぱっくりと口を開けて
わたしの弱さを待ち望む
四肢を投げ出し
諦めて
泣きながら、寂しがるわたしを
頭からぱっくりと
食べてくれる
残酷なぐらい優しい
夜
残像
あれだけ縋ったあなたの背中
目の前に現れると
ただ、その大きさに圧倒され
わたしは俯いて通り過ぎた
枯渇
終わらないのなら
終わらないのなら
せめて夢は見たい
あなたが微笑む夢
あなたの手が私に触れる夢
愛は夢
全部夢
夢であっても、私は生かされる
あなたを夢みて
あなたに夢みて
私の吐息は
夜空に吸い込まれる
あなたに愛されなくても
この想いに潰されても
私は不器用にあなたを求める
あなたを探している
あなたが隣にいたのなら
わたしは
今日、生きていける
枯渇