枯渇

始まり

屋根を叩きつける雨は

わたしを追い立てた

雨が急かす

わたしは怖かった

あのバラバラと憎たらしいと喚き散らすような雨音が

怖かった

泣きながら軒下を後にした私に

夜はぱっくりと口を開けて

わたしの弱さを待ち望む

四肢を投げ出し

諦めて

泣きながら、寂しがるわたしを

頭からぱっくりと

食べてくれる

残酷なぐらい優しい

残像

あれだけ縋ったあなたの背中

目の前に現れると

ただ、その大きさに圧倒され

わたしは俯いて通り過ぎた

枯渇

終わらないのなら

終わらないのなら

せめて夢は見たい

あなたが微笑む夢

あなたの手が私に触れる夢

愛は夢

全部夢

夢であっても、私は生かされる

あなたを夢みて

あなたに夢みて

私の吐息は

夜空に吸い込まれる

あなたに愛されなくても

この想いに潰されても

私は不器用にあなたを求める

あなたを探している

あなたが隣にいたのなら

わたしは

今日、生きていける

枯渇

枯渇

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-05

Copyrighted
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  1. 始まり
  2. 残像
  3. 枯渇