僕のロケット、君の星に不時着しました。

痛いっス。

世界からさよならしたい僕の骸を拾ってよ。そう言ったらあなたは僕を「馬鹿ね」と笑った。

最終的に僕のロケットはどこへ行くのかなあ?
あなたに繋がれた手を振りほどいて走り出した僕はその先で転んでしまっておいおい泣いた。
赤い血が出てさあ、お父さんが「こらこら」って笑って起こしてくれてさあ、あなたが「あーあ」って茶化してくれた。

僕は大人になっても駄目な奴でさあ、自分が女の子なのに女の子扱いされないから、男の子になろうとかして失敗してさあ、怖くなってロケットに乗って飛んでったよ。

最終的に雨の中をとぼとぼ一人ぼっちの惑星歩いて、その町の人達に「変な子が来た!」って笑われてさあ、お茶なんか出してくれて優しかったのに、僕は何故だかとても憎んだ。
それは僕の心が弱かったから。

冗談を冗談にできない僕は、最終的にどこへ行くのかなあ。
そう言って不安がったら、「あなたは悩めばいいと思ってるの?人生は戦いだよ」とあなたがかっこよくキメ台詞を教えてくれて、そうか、僕も頑張ろう!そう思ってまたロケットに乗ったら、謎の集中砲火。あの町の人達とこの町の人達と、あなたの知らないところで世界は残酷で、僕は悔しくて泣きもせずにただ「見て見て、これが僕の心臓だ!さあ撃ちたまえ撃ちたまえ!」と胸元を抉って見せて大混乱、大人たちに同情されて遊ばれて、道化演じてけんもほろろ。

あなたは叱ってくれたのに、僕はあなたの元を飛び出して、「何にも知らない癖に!」と泣きわめいた。
あなたは心底呆れていたね。

僕が趣味のロケットづくりを世間に認めてもらう頃、僕の頭はまだぐらぐらふらふら。
案外平和になったのに、憎くて苦しくて、雨ん中とぼとぼ歩きまわるという痛い失態を犯しました笑。
あなたは「寒いねー」と言ってまた茶化してくれました。

「ねえ、僕なんか産みたくなかったでしょう?」

僕が一番聞きたい答え。永遠に聞けないな。
僕の骸が転がる頃、あなたは泣いてくれるだろうか。
案外また、「ドジね」と茶化してくれるんだろう。
わんわん泣く誰よりも優しい父の隣で、白骨化した僕の骸を「あー、さっぱりした!」と、ロケットと一緒に埋めて欲しい。
出来たら愛犬の隣で、あの子のお墓の隣に埋めて欲しい。

あなたは冷たいんじゃない、ただただかっこいいんだ。
僕が憧れた人。本当は私の隣にいつでもいたがった人。

世界はもう許しているんだよ、そうあなた方が呟いても、僕はまだまだ怖いんだ。
性善説は存在しない。ただ一時の同情があるだけさ。

さあ、今日も頑張ろう。
ロケットづくりに精を出す。

まだまだ僕は、やってやるぞ。
必ず宇宙の星に行く。
あの子のいる星まで飛んで行くんだ。

まだ居なくなった愛犬と会えると信じてる、僕を見てみんなが気の毒がった。
「可哀想に」
それを聞いて、父は怒り、母はそっと顔を逸らした。

僕のロケット、君の星に不時着しました。

あー、やだなーこんなん。

僕のロケット、君の星に不時着しました。

自分が嫌になりました。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-05

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