こいのうた

わたしについて

よわくてよわくて仕方ない

そんな自分を持て余す

終わらせてあげられなくて

本当にごめんね

なんでこんなによわいのか

周りの大人たちのようになれなくて

いつも自分の傷におののいて

大袈裟だと笑われると

慌ててわたしも笑うのに

1人になってまた泣いて

わたしはなんて弱いのか

ごめんね。

ちゃんと生きて来れたなら

ごめんね。

それでもまだ終わらせてあげられなくて

本当にごめんね。

まだ、まだ、傷は増えるから

ごめんね。

のろわれる

生きていくことに疲れても

あなたを思うと生きようと思う

この先あなたが
わたしを見てくれなくても

あなたを思うと幸福になれるから

なんて優しい呪いだろう

わたしはこの呪いによって

わたしの残酷な生を終わらせられないでいる

あなたと言葉をかわすため

あなたとたくさん笑うため

あなたの記憶に残るため

それだけの理由で傷だらけで生きている

可哀想なわたしの生

それでも、この呪いを愛している

血を流しながら

わたしがこの瞬間生きるのは

愛しい人に呪われているから

ごめんなさい

恋をすると残酷になる
人からの思いに残酷になる

ーあなたはあの人ではないからー

ただ、それだけの理由で
振り向こうとも思えない

ーあなたはあの人ではないからー

同じ理由であの人に振り向いてもらえないとしたら

でも振り向いて優しくされても心を奪うことができないのなら

優しくなんてしてほしくない

だからわたしは残酷になる

心をあげられないなら
無難な優しさは失礼だと思うから

ーごめんなさいー

誰にも聞こえない声で呟いた

そらのいろ

空には優しい色付き

ヒリヒリ痛む赤

鎮静剤の青

包み込む白い布

病人であるわたしは
それを隠して

太陽が沈むのを待っている

太陽はわたしの目に最期の光を焼き付ける

いかないで、
いかないでよ

沈むことを願った太陽へ呟いた

太陽はもういなかった

今日も夜を迎えた

ゆめ

あなたの腕の中を夢みている

わたしは死体のように横たわる
性の片鱗すら匂わさず

わたしはただの死体

あなたは同情してわたしを抱き締める

その日を夢みている

こいのうた

あなたが好き

こんなシンプルなことに、
わたしは生かされ、
わたしは苦しめられ、
わたしは涙を流している

深刻なようで、
非常に浅い

わたしはあなたが好き

何もいらない
あなたがわたしをその目に焼き付けて
わたしがこの時代を生きたことを覚えてくれていて

わたしがあなたを好きだったことを

覚えていてくれたのなら

この時代に生まれて
この時代に生きて
この時代に傷付いて
この時代に絶望して

この時代にあなたを好きになったことを

全部全部肯定できるの

こいのうた

こいのうた

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-02

Copyrighted
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  1. わたしについて
  2. のろわれる
  3. ごめんなさい
  4. そらのいろ
  5. ゆめ
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