心の奥で涙

暑い太陽に邪魔させられながら、僕は汚い道を歩いていただけだった。
ひとつもいいことなんてなかった。
闇だらけの日々が、悔しくて、辛くて。
一滴の涙を両手で受け止めて、そのまま乾くのを待っていた
それでもなにも起きなかった。
この世界は、魔法なんてものは何一つない。
そういった意味では、おもしろくないよね
だから自分で人生を歩んでいかなくてはならないのだ
ありふれた言葉を使いすぎても、ただ相手を傷つけていただけだった。
「きみ、背小さくて可愛いよね」
「ちょっと塩からいかな」
そんな数秒での発言は、あの人はどれほど深い傷をついたのか、僕でもわかるほどでもないほどの残酷言(ざんこくげん)だったのかもしれない。
やっぱ難しいなぁ。生きるって
色鮮やかにしてきたはずなのに、逆に暗闇の色へと急変化していく。
歩いているつもりでも、結局は徒歩になってしまう。
一センチでも一ミリでもいいから、幸せがほしかった。 
けど俺は、やっぱり甘えん坊なんだろうな
今でも甘えているというのに。 親に飯作ってもらって、制服買ってもらって、ゲーム買ってもらって・・・
逆にさ、幸せな毎日なんかより、たまには涙で埋め尽くされた日もなかったらさ、気づかなきゃいけないものに気づけなくなってしまうと思うんだよね
家族がいるありがたみや、周りの人たちからの支えがあるということも、幸せによってメモリー内から外されてしまいそうな気がするんだよな。
全員がそうではないけど、大体はそうだ。 それが人間や生き物の欠点だもの。
だから、幸せなんてちっぽけでいいんじゃない。 
将来の自分を強くしようとしても、やっぱり失敗がなかったら強くなれない。
石につまずくとすぐに立ち上がるのと同じで、人生の道で途中転んでも、すぐに立ち直ってくるものさ
それが、人生ってもんだろ

心の奥で涙

心の奥で涙

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-13

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