心象
道の上の恋
恋という道を歩けば、
壁に当たり棒に当たり、
一向にあなたを見つけられなかった
あなたに言いたい言葉は好きではない
あなたに言いたい言葉は「ありがとう」ただ、それだけであった。
あなたがいる
だから生きていこうと思った
苦しい生を
報われぬ生を
あなたという糧だけを頼りに
理由
生きることは恥の上塗りで
生きることは苦しいことで
生きることは悔しいことで
生きることは、やはり、
恥ずかしいこと
あなたに会うと苦しい
あなたに会えないと悔しい
あなたと喋ると恥ずかしい
あなたがいるからまた生きる
あなたがいるから呼吸する
あなたがいるからごはんを食べる
落下
落下していく
僕の生きる理由は
もうここに、無いけれど
君のところに落下する
次は君のために生きてみる
僕の生きる理由が無いのなら
君の知らないところで君のために生きる
それを美學なんて呼ぶんじゃ無いよ
常識人の言葉はさっきゴミに出した
ああ、美學だとも。
ゴミ収集車に吐き捨てた
思惑
いつまでたっても
少女をこじらせ
私は片思いを終わらせられなくて
彼以外いらなかった
1番になれなくても
隣を歩いていられたら
隣に置いてもらえるなら
あなたの愚痴をくすくす笑いながら聞いて
あなたの燻った心の奥を私だけが知っていて
私だけがあなたを見ていられたら
晩年
哀しみが終わる時が来る
日向で乾いた土を眺めて
近所の公園から子どもの笑い声が聞こえて
晩年
わたしはゆるされたんだ
嵐の日々を思い出して
わたしはおいたのだと
安堵する
その時
哀しみが終わる
曇天
黒いカーテン
白いカーテン
窓の向こうは曇り空
私は呆然として
「終末はお出掛け日和」
華やかな女性がテレビに映る
私は呆然として
「貝殻拾いに行きましょう」
私が産んだ女の子が玄関で靴を履く
「おかあさん」
私が産んだ女の子が玄関から呼ぶ
私は呆然としている
落下2
高いところから落ちてみた
痛かった?
痛かった
どうして落ちたの?
わからなかった
わからなかった?
ただ一度、と願うことが
増えて仕舞えば、
それは願いと呼べるのか?
ただ一度の、欲望か?
引き止めて欲しかったの
心象