夏のうた

おもいで

美しい思い出ができるたび
胸は締め付けられ
心の奥底が痛くなって
涙が出そうになる

空の色ひとつに思いを重ね
安易なセンチメンタルを常用し
幻想の中で遊びながら詩を生む

悲しき遊び人
空しき詩人
この世界の落伍者

アルコールに沈み
川を泳ぎ
水槽の底に涙を落とす

まつり

君と氷菓子を食べよう
君とお祭りに行こう
汗ばむ手を繋いで
初めて夏を感じて
君と熱気の中で互いの心を探して
夏をひたすら頬張り君と視線を絡ませて
僕らは初めて夏を知る
夢なら永遠
現も僕らを閉じ込める

夏のうた

氷が溶ける

グラスの中の麦茶は
夏の全てが混ざっている

蝉の声を聞きながら
濡れたグラスを持つ

氷が音を立てる
指が濡れる

この夏のすべてはグラスの中

わたしを呼ぶ声がする

夏のうた

夏のうた

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-01

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  1. おもいで
  2. まつり
  3. 夏のうた