部屋

部屋だ。

それ以外の情報は何もない。
僕は、そんな場所の中にいた。
白い箱。
それを僕は内側から見ている。
ドアもない。
だから僕は、待つしか無かった。
部屋の端で座って何もしない時間。
ああ、こんな無駄な時間を過ごしているなんて。

琴ちゃんに会いたい。

僕は、クラスの琴ちゃんという女の子が気になっていた。
あまり話したことはない。
外見が僕の好みだった。

ドンドン、ドンドン

突然、部屋全体が揺れた。
箱のようにぐらぐらと。
やばい。死ぬかも。こんなところで。
僕の人生はなんだったんだろう。
もう、無理。
揺れに耐えることができない。

そうして僕は意識を失った。

揺れは止まり、白い箱がパカリと空いたのを知らずに。

箱だ。
何の変哲も無い箱。
ミニチュアの部屋みたい。
でも、何でこんなところに箱が?
ここは学校よ。
急にこんなのが現れるなんて、おかしい。
とにかく、中身が気になる。
あら、開けるところが見当たらない。

「琴ー!」

みぃちゃんが呼ぶ声がする。
先に帰ってもらおう。
あれ?
さっきまでいた佐竹くんがいない。
もう帰ったのかな。
鍵閉めるの、面倒だな。
とりあえず、開けてみよう。
どうやら、上から開けるみたい。
揺らしていたら分かったの。

パカリ。

あれ?佐竹くん?

そこには、ミニチュアの佐竹くんが気絶していた。
ああ、良かった。
これで鍵を閉めなくていいわ。

部屋

部屋

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更新日
登録日
2017-06-30

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