貧乏神のジョーク

随分昔の話になるが、高校からの帰り道
ずっと前に落ち込んでいる友人が、自転車をおり、道端で突然しゃがみこんだ事があった、
背中をなでるとぽつぽつと語りだす。

“もし、僕が不幸を抱えていたらどうする?”

「なぜ」
と問い返した。

あたり一面田園風景のひろがる、田舎でありの僕の故郷でのできごとだ。

“僕は貧乏神に取りつかれている、それが君に目を付けたら……”

「君自身は貧乏神じゃない、工夫して、そいつの扱い方を身に着けないか?」

“実は僕は貧乏神だ、きっとそうなのだ、そうとしか思えない、君にはわからない”

「君は100人友人をつくればいい」

そのときなぜか友人は笑いだした。
僕はまじめにアイデアをひねり、こたえたが、

聞くと背後で何かがくすくす笑ったらしい。

「声が聞こえる、病院でみてもらったが、どの病院も僕はおかしくなってなどないというんだ」


この友人は死神に取りつかれていると思っていた、
彼の身近では人が次々しんでいく。
とうとう今の今まで、僕はずっとそのことを直接指摘したりはしない。
あれからも、ずっと、計算すると、高校のころから10年の間、友人としてつきあっているが。
彼は、まだ、自分にとりついているのが貧乏神だと思い込んでいる。

俺は、いつかいってやりたいのだ、
「その自信のなさに振り回されているのは廻りの人間だ、俺だって、いつ殺されるかびくびくしているぞ」
と。

貧乏神のジョーク

貧乏神のジョーク

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-29

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