貧乏神のジョーク
随分昔の話になるが、高校からの帰り道
ずっと前に落ち込んでいる友人が、自転車をおり、道端で突然しゃがみこんだ事があった、
背中をなでるとぽつぽつと語りだす。
“もし、僕が不幸を抱えていたらどうする?”
「なぜ」
と問い返した。
あたり一面田園風景のひろがる、田舎でありの僕の故郷でのできごとだ。
“僕は貧乏神に取りつかれている、それが君に目を付けたら……”
「君自身は貧乏神じゃない、工夫して、そいつの扱い方を身に着けないか?」
“実は僕は貧乏神だ、きっとそうなのだ、そうとしか思えない、君にはわからない”
「君は100人友人をつくればいい」
そのときなぜか友人は笑いだした。
僕はまじめにアイデアをひねり、こたえたが、
聞くと背後で何かがくすくす笑ったらしい。
「声が聞こえる、病院でみてもらったが、どの病院も僕はおかしくなってなどないというんだ」
この友人は死神に取りつかれていると思っていた、
彼の身近では人が次々しんでいく。
とうとう今の今まで、僕はずっとそのことを直接指摘したりはしない。
あれからも、ずっと、計算すると、高校のころから10年の間、友人としてつきあっているが。
彼は、まだ、自分にとりついているのが貧乏神だと思い込んでいる。
俺は、いつかいってやりたいのだ、
「その自信のなさに振り回されているのは廻りの人間だ、俺だって、いつ殺されるかびくびくしているぞ」
と。
貧乏神のジョーク