君の目に見えるもの...
――――あなたは、何を見ていますか。
パンダはサカナが好きですか。
私はあなたが好きですか。
――――――――これが恋というものですか?
私は、橋本 紗千【はしもと さち】
桜宮中学3年の受験生だ。
勉強なんて大嫌いな私にも“受験”という名の
試練がやっとやってきたのだった。
「うあーーーー!!!もう嫌だ!!
てゆーかさ、数学とか駄目!!!」
「あはは…紗千、数学嫌いだもんね…」
「いいよねぇ!!!美織は…勉強してもしなくても
できるから…」
「何言ってんのよー!!私だって勉強してるよ…
紗千もやればできるってみんな知ってるんだからね!」
「どこが…」
「ほら!中1のとき定期テストで学年5位になったの!
中2のときも実力テストで学年3位になったじゃん!」
「でもさ…実際学年あがるたびに成績下がってったよね…」
「…う」
こう励ましてくれるのは親友の山本美織【やまもと みおり】
クラス違うけど、ずっと保育園の頃からの友達。
で、私の成績が最初よかったわけはね、、、
―――――小6の冬。
「紗千ー!」
「あ、美織!どうしたの?」
「塾!塾行かない!!??」
「えっ!!やだよ…」
「いや!お友達いっぱいいるし楽しいらしいよ!」
「友達なら学校にいるし…」
「今度、冬季講習あるらしいから一緒に行こうよ!」
「んー。。。考えてみる」
で、確か行くことになったんだよな...
徐々にいい感じになってきて中1の初の定期テスト、
期末テストでは5教科総合479点を出したんだっけ…
そのとき美織や家族、先生たちみんな励ましてくれたから
もっと頑張ろうって気になったんだね。
でも、一時期なんか、ゲームにはまっちゃって勉強しなくなって
ついていけなくなったから…
「今の現状…(笑)」
「え?紗千何か言った?」
「いや、昔のことを思い出しただけ」
「ふうん。じゃあしようか!」
「うん」
「はぁ・・・結構終わったね~」
「うん。もう嫌だけどね」
「確かに…塾のほうが集中できるよね…」
「家でやるよりねww」
「あ!そうだ、塾の先生で誰が一番好き?じゃなくていい?」
そして私たちは雑談に入る。
「えー...やっぱり、小野先生か桐野先生じゃない?」
そう私は答えた。しかし美織は大爆笑した。
「えぇ!!??あははははははっwww
桐野先生って…サカナみたいじゃんwww」
「…え?」
「いや、たれ目なとことか髪の頂が立ってるとことかwww」
「サカナ…?」
「あははははははははははっ」
「じゃあサカナ先生でいいんじゃない?」
「だねっwww」
いったい私たちは何の話をしているのか
と薄々感じながらも
雑談を続ける。
サカナ先生は理科担当だ。
でも私の塾のクラスの担当ではない。
私は小学生まで理科が大嫌いだったが中学に入って好きになった。
だが、それはサカナ先生とは全く持って関係ない。
「でもサカナ先生ってかわいいよねーーー」
「分かる分かるーww」
私たちは塾に行ってサカナ先生を見つけるたびに
かわいいーと言ってたのであった。
ある塾の日のこと――――。
「桐野先生ってさー」
「桐野せんせー!!!」
ざわざわ
サカナ先生のまわりには何故か女子が
群がっている。
「サカナ先生今日はモテるねーww」
「……」
「紗千…?」
「……」
「紗千!?」
「!!!ん?」
「紗千大丈夫?ボーっとしてるけど…」
「ねぇ…、あの女子たち何してるのかな…」
「へ?分かんない。」
「…」
「ニヤ)何?気になるの?」
「あっ!!いや!そんなんじゃ!!!」
何故かあわてている私。
(あれ…?おかしい…モヤモヤしてきた…
サカナ先生のこと考えると…)
「じゃあ何で慌ててるのー?」
「うっ///いや、それが…私にもわかんなくて…///」
「今、どんな気持ち?」
「なんか…モヤモヤしてて…」
「ふぅん…(ニヤ」
何か美織がさっきから怪しげな笑みを浮かべている。
「美織!何か分かったの?」
「いーや。なぁーんにも♪」
「…」
(いや、前まで普通にサカナ先生と少ししゃべってたじゃん…
なんでこーなるのー!!)
「て、ててててゆーかもう帰ろうよ…っ」
「いや、まだ私は先生に用があるから先生が来るまで待ってる」
「誰先生?」
「桐野先生♪」
「うがーーーーー!!!いやっ帰ります!!さようならー」
ガシッ
「紗千?一緒に待ってるよね?(ニコッ」
「…(泣)」
サカナ先生がきた。
「あっサカナ先生!!」
美織が言う。
(いや、本人に言うのかそれ。失礼じゃない?)
「サ、サカナ?(汗)」
(あ、焦ってる!!可愛いかも!!…って私何考えて…っ///)
「先生ー、この子、理科苦手なんですよ!!教えてやってください!!」
えええええええええええええええええええええええええええええ!!!
そういう系ですか美織さんーーー!!!!
「何言って…っ」
「何が分かんないの?」
って先生教える気満々だしー!!!
「いや…私は理科得意なんで!この子が苦手なのに」
慌ててそういって私は美織を指差した。
「はぁ!?ちょっww何で…」
「あ、そうなんだ!山本さん、教えるよ」
なにやってんだって思いながら私は言う。
「あ、私、迎え着てるんで帰ります。先生さようなら」
「はいさようなら」
「…紗千?」
(何やってんだ私、なんか私、変…
サカナ先生としゃべれない…)
「紗千!!!」
「美織?」
「紗千...」
「美織…、私ね、なんか今日…おかしいの…
普通じゃないの…サカナ先生を見ると胸がくる…っ」
「紗千…よく聞いて」
「え?」
「それ、ホントなの?ホントに胸が苦しくなるの?」
「え?どうゆうこと?」
「それはね、紗千がサカナ先生のこと…好きってことなんだよ…?」
私は何も言えなかった。
―――――――――――好き。って…何?
私はその日の夜からずっとそればかり考えていた。
今まで好きな人いる?って聞かれたときは普通にいないって言えたのに
いまじゃいないっていうだけで言葉が詰まる。
私、本当にサカナ先生のこと…
ある日、塾でクラスにサカナ先生が入ってきた。
サカナ先生の顔を見るだけでいろいろ考えてしまう。
彼女はいるのかな…。
結婚してるのかな…。
何歳かな…。
好きな人はいるのかな…。
私がただ一つ理解したことは、
私は先生が好きだということ。
これが初恋なんだ。
中3にもなって初恋はおかしいだろうか。。。
いや、その初恋の相手がまさか塾の先生だったとはだれも
思わないだろう。
これから先どうするのか。
「美織!おはよー」
「あ、おはよー」
私がいつもどおりになったことに安心したのか、
美織はいつもよりもテンションをあげてくれた。
「紗千!!今日、遊べる?」
「うん!!!!」
「ねぇ…、桐野先生って何歳だと思う?」
「へっ!?」
私からまさかサカナ先生の話題を出すとは思いもしなかったので
驚いているのだろう。
「…さんじゅう………ろくぐらい…?」
「えええええ!!」
「なんでそんな驚くの…」
「そんな年には見えません!」
「じゃあ紗千は何歳だと思うの?」
「んー…28くらい♪」
「いやいや!!それはないない!せめて30はいってる」
「いってても30だよ!」
「じゃあ今度聞いてみよう!」
「いいよ!」
それから私たちはサカナ先生の話ばかりするようになった。
ある塾の日、代行で理科の授業が桐野先生になった。
「えっ!?サカナ先生!?」
「はーい、代行できました!桐野遥翔といいます」
「えーもうすぐ受験ですが、みなさん理科頑張ってますかー?」
「理科…」
ざわざわざわ
「はーい静かにー!えっとじゃあ、理科やっていきます!」
(うわー初めてのサカナ先生授業だー)
「物体の運動と力ですがー...これ、
手にもっているものを離すと落ちます。これを何といいますか」
(えーとえーと…あっ先生と目合った!キャー///)
「橋本さん」
「はいぃぃぃ!!!???」
「何といいますか?」
「えーと…じ、自由落下…?」
「そうですね、えー、これは。。。」
(ふう良かった…)
当てられたが何故かウキウキな紗千だった。
そして家に帰って理科の勉強♪
そうして毎日毎日全教科勉強し、試験まで残り3日。
(…よし、決めた。私が試験終わったら先生に告白しよう。)
そう硬い決意をし、勉強を頑張った。
試験当日。
(あ、簡単だwww)
試験終了――――。
塾に向かう。
「サカナ先生!!」
「はーい」
「あの…あの…えっと…///」
ガシッ
「ちょっと来て」
「えっ?」
何がなんだか分からなくなった。
突然腕をつかまれ突然こんな誰もいない教室につれてこられたのだから...
「あの...先生?」
「橋本さん何歳?」
「16ですけど///」
急に前が見えなくなった。
心臓のような音が響いている。
暖かいものに包まれているような…そんな感覚。
「橋本さん、受験お疲れ」
私は理解した。
自分は今、先生に抱きしめられていると・…
「先生…何で…///」
「先生、聞いたんだ、山本さんから。」
「何をですか///」
「橋本さんが先生のこと好きだって///」
「え・・・」
「でね、だんだん橋本さんのこと生徒として見れなくなっちゃって」
「気づいたら好きになってた(笑)」
(先生…私と同じだ。私も気づいたら好きになってた…)
「先生…好きで…っ」
私の告白をさえぎるように私の口をふさいだのは
先生の唇。
「言うなよww女子に告白させるってどんな男だよww」
「先生…///」
(そう…その笑顔に私は惹かれたんだね)
「好きだよ///…紗千」
「嬉しいです…///」
そのまま2人は誰もいないはずの教室で
キスをしていたのだった。
誰もいないはずの教室で。。。
--END--
君の目に見えるもの...
最後まで読んでくれてありがとうございます。
とんでもない駄作でしたが、お付き合いいただいて本当に感謝の
気持ちでいっぱいです。
最後のフレーズ、気づきましたか?いないはず。
ということは、いたという解釈にも結びつきます。
そうですね。もう分かりましたよね。
はい、この作品には続きがあるのです。
お楽しみくださいね!