俺の命は七日だけ?

趙海如

  1. 異世界に来たヒーローは必ずヒロインと出会う
  2. 母娘なら親子丼
  3. 何故装備を全部外しても全裸にならないんだ!
  4. 胸は借りるもの、経験は隠すもの
  5. モブに名前を付けても覚えきれない
  6. 童貞な女の子と処女な男
  7. 強者が敗北する理由?ググれ
  8. 反抗期の娘の心が読めない...

異世界に来たヒーローは必ずヒロインと出会う

 やった...
 やった!!!!
 異世界に来たぜ!!!!!
 ここから、俺のハーレム人生が始まる!
 よっしゃあああああ!

 まずは女だ!女を探そう!
 こんな山ん中、人気が居なさそうだから、とりあえず山を降りよう。
 村を見つけたら、きっと女も見つける。
 可愛い子を見つけたら、とりあえず口説こう。
 今まで成功したことがないけど、異世界ならきっと通用する!
 大丈夫だ!俺は世界一ナンパ師!

 ???「よう、お兄さん。どこに行くのかな?」

 女の声だ!
 まさかこんな早く女に会えるとは!
 声は後ろからくるもの、なら振り向けば、きっと美少女がそこにいる!それは「王道」という!
 よし、振り向くぞ、振り向くぞ!
 ......

 ???「あたしらにあったのがおめぇの運が悪い、大人しく服を脱ぐな」

 何だ、この不細工ら...
 三人いる。
 一人が三秒見つめれば吐きたくなるブス、一人は俺よりも高いデブ、最後の一人は顔は一番まともなのにハゲている。

 俺「パス」
 大人しく山を降りよう。

 ブス「あたしらを無視してんじゃねぇよ!殴られたいのか。」
 しかし回り込まれた。

 うぜぇ...
 ブスに用は無ねえんだよ!

 俺「通してもらえます?」
 ブス「そうはいかねぇ。たっぷりあたしらを楽しませたら、帰してやってもいい」

 うぜぇ...
 俺、フェミニストなので、女を殴らない。
 だから、無視して強引に通ろう。

 ブス「だから、帰す訳ねぇっつの!」

 いきなり襟を掴まれた。
 ブスの顔が至近距離で、しかもさらに近づいて来た。

 プチ...
 俺、フェミニスト辞めるわ。
 ブスの手首を掴んで、軽く力を入れた。

 ブス「いてぇ、いてぇ、いててててて」
 早はえぇ!もう痛がっている。
 手を放して、そのままブスを突き飛ばした。

 ブス「このぉ、男の癖に調子に乗りやかって...お前ら、やっちまえ!死なねぇ程度にな」

 デブとハゲが襲ってきた。
 ハゲは剣で、デブは拳。
 俺は別に空手をやったことはないが、流石に女には負けない。
 しかもこんなにもゆっくり来る攻撃は、例え刃物でも全然怖くない。

 ハゲの剣を白刃取りで止めて、そのまま横にして折った。ぼけっとしたハゲに蹴りを入れて、遠くまで飛ばした。
 次に攻めて来たデブの拳に、そのまま自分の拳をぶつけた。拳と拳がぶつかり合った結果、デブの腕が変な方向に曲がって、俺の拳はデブのお腹に入った。

 ブス「ひっ」
 俺はブスに向かってゆっくり歩き始めたが、何歩もしない内、ブスが仲間をおいて逃げ出した。
 ひでぇリーダーだな...

 再び山を降りようとした時、突然馬が走っている音が聞こえた。

 ???「間に合わなかったね」

 白い馬に乗った女騎士が現れました。
「馬」ビンゴ!俺耳好い!

 しかし、「間に合わなかった」?
 ってことは、さっきの奴らの仲間か。

 俺「何が用?あいつらの敵討ち?」
 結構な美人さんなので、顔以外を狙って殴ろう。そして、「返り打ちレイプ」だ。

 女騎士「違う違う!あなたを助けようとして来たんだ!」

 助ける?
 幾ら三人がかりでも、俺は女に倒されるほどヤワじゃないけど、その心遣いは嬉しい。

 俺「ごめん!誤解した。ありがとう」
 女騎士「いいえ、結局助けは要らなかったね」

 凛々しい女騎士...よいぞよいぞ!ハーレム候補第一号にしてやる。

 ハーレム候補1「しかし、よくぞ女三人を目の前にして、怯えなかったね!しかも戦って勝つとか、男なのにすごいね」

 女騎士はちょっと俺を見下している。(-_-メ)
 でも、男勝りな女騎士なら、寧ろ男を見下している方が、落とし甲斐があるというもの。
 ならば許そう!

 ハーレム候補1「貴方、どこの村に住んでいるの?」

 村?
 つまりここは剣と魔法の世界?
 イェエ!

 ハーレム候補1「ここら辺はよく夜盗が出るので、家まで送ってあげよう」

 家?
 無いな!
 何か作り話をしよう。

 俺「実は、俺の住んでいたところはとても遠くて、もう親しい人間はいない。今は一人で旅をしている、旅人だ」
 決めポーズ...キラッ!

 ハーレム候補1「可哀想に...もしよかったら、私の家に来ますか。貴方のピンチに間に合わなかったお詫びとして、一晩泊めててくれ」

 あれ?俺の「決めポーズ」をスルー?カッコよくなかった?
 ショック!

 ...まあいい。
 俺は寛大な人間なので、「スルー」をスルーしよう。

 俺「そんなの悪いよ!例え今晩路頭に迷うとしても、木の下であれば雨を凌げます。雑草を集めば寝台を作れます。大丈夫!」
 全然「大丈夫じゃないこと」を口にして、何とか彼女の家に泊めよう!

 ハーレム候補1「立派な男だね」

 あれ?何か話がここで終わりそう!
 ダメ絶対!

 俺「久しぶりにまともな寝台で寝たいけど、お金が無いので仕方が無い。三日も食べていないけど、仕方が無い。どこかに優しい人がパン一枚でもいいから、俺にくれたら、また三日頑張れます」
 ハーレム候補1「やはりしばらくの間で、私の家に住もう!弱い男子を助けることが我が家訓である」
 俺「そこまで言うのなら、仕方が無い。しばらくお世話になります」

 よっしゃ!一つの屋根の下!同居同居!同棲同棲!男女一つのお風呂!
 イェエエエエエエ!

 ハーレム候補1「では、私の手を掴んで」

 手袋しているけど、綺麗な手だと分かる!
 指長い!手コキ上手そう!

 俺「では、失礼して」
 俺は女騎士の手を掴んで、一気に彼女の後ろの方に座った。
 そのまま態勢を崩して、豊満な両胸を鷲掴みした。

 一秒、素晴らしい感触を堪能、柔らかさを確認!
 二秒、乳首を弄り、感度を確認!
 三秒、手を放し、謝る!

 俺「すみません!うっかりしました!そんなつもりじゃないんです!ごめんなさい!」
 ハーレム候補1「いいよいいよ!そこを掴んだら落ちないなら、ずっと掴んでていいよ」

 え?掴んでいいの?
 これなんてエロゲ?
 でも、「掴んでいい」というのなら、遠慮する方が失礼じゃない?
 ならば!
 ............
 ......
 ...

 俺「遠慮いたします」
 理性が勝った...

 ハーレム候補1「そう?ならしっかり腰を掴んで。行くよ」
 女騎士の「ハイヤー」の掛け声と共に、馬が走り出した。

 いきなり本性をばらし過ぎたら、間違いなく引かれてしまう。引かれて、距離を取られてしまう。
 折角ちょろそうな女が現れたんだ、確実に仕留めないと、逃げられてしまう!
 だから、今は我慢!
 初日にいきなりベッドシーンを望んじゃあーいけない!

 だったら、俺は何をすれば良いんだ?
 ......
 覗きだな!
 お風呂シーンを覗いたり、着替えを覗いたり、ついてに干していない下着の匂いを堪能しよう!

 よし!
 今夜から忙しくなるぞぉ...

母娘なら親子丼

 早速二人目のハーレム候補が現れた。
 やっほおおおおお!オーロロリホー!

 ハーレム候補2「お帰りなさい、姉様」
 ハーレム候補1「た、ただいま。久しぶりですな、カトリア」

 どうやらハーレム両候補は姉妹らしい。
 ちなみに、俺は今中世ヨーロッパにあるような建物の前にいる。
 やはりここは剣と魔法の世界!まだ魔法を見たことはないが、間違いなくここは剣と魔法の世界!
 俺の予感はよく当たる。もう「予知」と言ってもいい。
 俺が預言者になったら、他の預言者は路頭に迷うことになるでしょう。

 それはともかく!
 今現れたこの少女は姉同様、めっちゃ美人!
 もう、あれだな...美人!超美人!
 言葉では説明できない程な美人。決して俺の言語力に問題があるわけじゃない!

 ハーレム候補1「めずらしいな、こっちに来てるんだなんて、何か用事でも?」
 ハーレム候補2「あら、用がないなら来ちゃあいけないということなの?」
 ハーレム候補1「そんなことありません!大歓迎です!」
 ハーレム候補2「ま、用もないのに、姉様のところに来ないけどね」

 二人は仲が悪い様だ。
 それはいけない!美人姉妹丼が食べたい!

 俺「二人共止めろ!姉妹なら仲良くならなきゃ!」
 二人の手首を掴んで、強引に握手させた。
 柔らけぇ...暖けぇ...すべすべぇ...気持ちぃ...
 にぎにぎ、にぎにぎ...

 ハーレム候補1「あ、あの、もう手を放しても...」
 嫌だ!

 俺「仲良くする?」
 ハーレム候補1「す、する」
 俺「本当?」
 ハーレム候補1「本当」
 俺「本当に本当?」
 ハーレム候補1「本当に本当」

 ちっ、姉の方は落ちるが早い!

 俺「妹は?」
 ハーレム候補2「そもそも、貴方は誰ですか。」
 俺「俺?お前の夫」
 ハーレム候補2「は?」

 最終的にはそうなるから、言っても構わんだろう。

 ハーレム候補2「姉様、誰ですか。この天然男の子こ」
 ハーレム候補1「え、えぇっと、今日、彼が盗賊に襲われそうになったところ、助けようとした時に会った人?」
 ハーレム候補2「『助けよう』?結局助けたの?」
 ハーレム候補1「えぇっと...間に合わなかった?」
 ハーレム候補2「は?」

 よぉし、二人は口論している。
 手を動かして、二人の手を触ろう。
 細長くて、しかし柔らかい!
 女の子の手は最高だ!

 ハーレム候補2「ふぅ。おい、男。いい加減、手を離さないと、大変な目に遭うわよ」
 俺「え、何か。」

 美少女に睨まれても怖くないもんな!
 寧ろご褒美だ!
 もっと睨め!蔑め!それすらも今日のおかずにできる!

 ハーレム候補2「軽々しく女の子の手を握ったら、その気があると思われかねない」
 俺「む?」

 どういう意味だろう?
 その気?M属性のことか。
 それは無いけど、美少女の為に目覚めても良い。

 ハーレム候補1「あの!素敵な殿方。私達はちゃんと仲良くしますから、もう手を放してください」
 俺「えぇぇ~」

 仕方ない、放してやるか。
 にしても、この姉妹は本当に美しいな。
 双子じゃないみたいだけど、どことなく似ていて、美人揃い。
 姉が長髪、妹が短髪じゃなかったら、見分け付かないな。
 嘘、二人は結構色んなところが違う。
 胸が...
 ......
 妹、頑張れ!

 そして、お風呂の時間。

 ハーレム候補1「光一さん、先にお風呂に入っていいですよ」
 俺「いいえ、テレサさんが先で構わん」

 ちなみに、俺が「光一」で、女騎士は「テレサ」、妹さんは「カトリア」。
 ...名前は、ただの記号に過ぎない...
 そんなことを言う奴はアホだな。「テレサちゃん」とか、「カトリアちゃん」とか、可愛いじゃない?
 二人が俺を「光一」と呼ぶ日が待ち遠しい。

 ハーレム候補1(テレサ)「お客さんに後でお風呂に入らせるような失礼はできません。どうか、お先にどうぞ」
 俺「そ、そう。じゃあ、お先に」

 クソッ、お風呂は後でも覗けるけど、美女・美少女が入った後のお湯を楽しめるのは、「後」でなければならないのに...
 ちくしょう...

 パパッと服を脱いで、ササッとシャワーをして、お湯に入った。
 露天じゃない風呂に魔法の蛇口。
 後ろにホースを付いていないのに、どこからお湯を出しているのだろう。

 ふぁ...
 ......
 ...
 む、殺気!
 ふふっ、愚かな。
 この俺が、そのくらいのことに気付かないとでも?
 残念だったな!
 俺はこう見えて、気配を察知できる「サイヤ人」、甘く見られちゃう困るぜ。

 俺「そこにいる奴!姿を現せ!」
(無音)

 俺「ふっ、逃げたか」
 仕方ない、今回は見逃してやろう。

 俺「お風呂いただ~しゃ」
 ハーレム候補2(カトリア)「では、次は私が入りますね」
 ハーレム候補1(テレサ)「くすんっ、どうぞぉ...」

 何でテレサちゃんが泣いてんの?

 しかし、妹さんが先に入ったのか...
 胸が残念だけど、貧乳じゃないから、それなりに覗く甲斐があるな。
 よし、覗こう!

 俺「いやあ、気持ちよかったぜ、お宅のお風呂」
 ハーレム候補1(テレサ)「そ、そう?毎日入っていいよ」
 俺「うん」

 そろそろいいかな。

 俺「ちょっとトイレ」
 ハーレム候補1(テレサ)「え、えぇ、どうぞ」

 抜き足、差し足、忍び足。
 我こそが、この世に残し最後の忍び、名は「くのいち」。
 さあって、妹さんの入浴シーンは...

 ハーレム候補2(カトリア)「これが、光一さんが入ったお風呂のお湯...」

 何故か妹さんはこちらに背中を向けて、俺の入った後のお風呂のお湯を飲んでいた。
 変態か!

 しかし、いい尻だ。
 白くて、ぷにぷにしてて、割れ目が見えそうだ!
 アワビ?
 いや、残念ながらまだそこまで見えていない。
 やはり両足が閉まっている状態だと、割れ目が見えにくい。
 だから正座は嫌いだ!!!

 クリちゃんはもう少し腰を曲がれば見えるのかな?
 ......
 む、殺気!
 俺の前にいる妹さんは顔をお湯に突っ込んで、水泳の練習をしているから、とても彼女が殺気を放っているとは思えない。
 そんな間抜けな彼女に、殺気を放つ奴もいないでしょう。

 ふっ。
 やはり俺目当てか。
 仕方ない、相手になってやろう。

 一歩、二歩、「散歩」。
 湯室から厠、厠から庭。

 俺「ここまででいいでしょう。さあ、どっからでもかかって来い」
(無言)

 ハーレム候補1(テレサ)「何時から気付いたの?」
 俺「え?」

 女騎士テレサさん!
 どうしてここに!?

 ハーレム候補1(テレサ)「初めて会った時から、只者じゃないと思っていましたが、まさか私の存在を気付けるなんて...貴方、何者?」
 俺「え、いや、えぇ!」

 見られた?
 一人芝居見られた!
 恥ずかしい!!!!!!

 俺「俺の正体を知りたいか。それなりの覚悟はあるのだろうな」
 ハーレム候補1(テレサ)「(唾を飲む音)」

 さて、どこかに穴はあるのかな。ないならスコップでもいいので、自分で掘ります。

 ハーレム候補1(テレサ)「あのぉ...」

 くそぉ、いい加減現実から目を逸らさないでおこう。
 現実なんてクソゲーだ!

 俺「それより、何でテレサさんが俺の後に付いて来ているんだ?」
 ハーレム候補1(テレサ)「え!いや、別に」
 俺「怪しいのぅ」

 テレサちゃんが「テレ」ている、「サ」あ、どんどん攻めよう!
 逆切れして、何か悪い!

 俺「俺の後を付いて来て、何か良からぬことでも企んでいるんじゃないか。」
 ハーレム候補1(テレサ)「ご、ごめんなさい。覗くつもりは、ないのです」

 覗く?妹の入浴シーンを?
 こいつ、ユリ科?
 本当ならショックだが、こいつは使える。

 俺「覗きは犯罪だよ」
 ハーレム候補1(テレサ)「いや、本当に覗くつもりは...」
 俺「嘘おっしゃい!見たいでしょう?」
 ハーレム候補1(テレサ)「そ、その...」
 俺「はっきり答えんか!」
 ハーレム候補1(テレサ)「す、すみません!」

 ふふん♡
 やっぱ、俺Sだな。

 俺「今回は見逃してやるけど、次にまた同じことをしたら、ちょっとおしおきするよ」
 ハーレム候補1(テレサ)「わ、わかりました」

 むちぃ、ろーそく、なわぁ、まーすく♪
 再犯が楽しみだな。

何故装備を全部外しても全裸にならないんだ!

 朝になった。
 初日は耐えると決めたが、それでも少し凹む。
 ハーレムのまだ候補の姉妹と一緒の朝ご飯は静かなものだ。二人共居心地悪そうだった。

 でも、今日はあの姉妹がモンスター狩りに外出なので、無理に言って連れてってもらった。

 テレサ「危なくなったら必ず逃げろよ」
 男の俺を心配する酔狂な女騎士。

 カトリア「男なのに、よくこんな危険なところに来る気になったね」

 この姉妹は強そうなのは確かだが、基本的に俺をバカにしている。
 寧ろ男全員をバカにしている。

 俺「あ、死んだ」
 うっかり蛇っぽい何かを踏んだ。

 テレサ「光一さん!大丈夫?怪我はなかった?」
 俺「え?大丈夫だけど?」
 何、この過保護ぶり?俺はか弱き少女かよ!

 なんだか二人はバンバンモンスターを殺していたけど、俺が手を出そうとすると庇ってくる。何をするにしても、先に俺の方に気を配る。
 つまんねぇ...
「妻んねぇ」?
 奥さん、俺と楽しもうねぇ!
 エロい...

 む?
 遠くに何か人影のようなものが...
 あ、何かが女騎士に高速に近づいていく。
 とりあえずにそれを掴んだ。

 テレサ「え?」

 何だこれ?弓矢の矢?
 俺、飛んで来た矢を素手で掴んだのか。
 あり得ねぇ...
 男だから、確かに女の子に負けないと思うが、それでも飛んでくる矢を捕まえるような達人には成れないと思う。
 思うんだが、現に俺、たった今「矢」を掴んだんだ。自分はすでに武道の達人になったことを、認めるべきじゃないのか。

 テレサ「それは『矢』?」
 俺「そのようだ」

 つまり、本当にアサシンが居た。
 目標は俺ではなく、女騎士であるが...
 不愉快だ...
 先ずは矢を射た人を捕まえよう。

 先の人影に向かって...
 走る!

 ???「え?」
 俺「あれ?」
 俺はアサシンの目の前に来た。
 ...早すぎない?

 ???「っ」
 アサシンは木を飛び降りた。俺から逃げようとした。
 俺はいつ木を登った?
 ......
 どうやら、俺はチートな力を手に入れていたみたい。
 飛んでくる矢を捕まえる、一瞬で人との距離を詰めれる、そして攻撃を遅く見えるくらいの反射神経。
 つまり、俺は「高速移動」と「瞬時反応」の二つのスキルを身に付いている、ということ?

 ばららばっばばーん
 光一のレベルが上がりました。
 スキル:「高速移動」、「瞬時反応」を習得しました!
 ......
 別に要らねぇんだけど、くれるっつったのなら、貰っておこう。
 俺は別に要らねぇんだけどさぁ~、どうしてもって言うもんだから、仕方なく、ね。

 おっと、いかん。
 アサシンが逃げる!
 まったく、俺から逃げられる訳がないのに...

 ???「放せ!」

 意外にも、このアサシンちゃんはエルフであった。
 金髪で、長い耳。
 柔らかそうだったので、遂、耳を抓って戻った。

 俺「ただいま」
 テレサ「光一さん!どちらにいらっしゃったんですか!」
 俺「矢を射た犯人を捕まえて来た」
 カトリア「犯人?」

 結構な距離の為、俺に耳を抓って歩かされたエルフちゃんは涙を浮ばせていた。
 弓矢もナイフも没収されて、せめての抵抗で俺の腕を掴んで、自分の耳を放させようとしているが、俺は痛くも痒くもなかった。

 テレサ「エルフ...」
 カトリア「どうしてこんなところにエルフか...」
 ハーレム候補3「......」

 かなり可愛い顔をしていたので、勝手にハーレムの候補に入れた。

 俺「二人はこのエルフと知り合い?」
 テレサ「まさか!」
 カトリア「汚らわしいエルフと知り合いな筈がありません」
 ハーレム候補3「人間め」

 仲が悪いな。
 憎みあっている。

 俺「じゃあ、どうしよう?拷問で情報を吐かせる?」
 カトリア「そんなの要らない。さっさと殺すべきです」
 テレサ「拷問で吐かせる奴らじゃないからね、しても無駄です」

 解ってないな。

 俺「拷問は、大事なのは『結果』じゃなくて、『過程』なんだよ。それがわからない?」
 電気椅子でびりびり、アイアンメイデンで滅多刺し、処刑台で火炙り...
 そんなことをしたら死なせてしまうから、もうちょっとソフトのやつにするけど...

 テレサ「ごめんなさい光一さん。光一さんの話がよく分からない」

 だろうな。
 解ったら、それはそれで怖い。

 カトリア「では、光一さん、少し離れて。その汚らわしいエルフを殺すから」
 俺「ダメ!」

 殺すなんて勿体無い!

 俺「こういう時は『身包みを剥す』のが普通でしょう?」
 カトリア「『身包みを剥す』?」
 俺「そうよ。命を奪わない代わりに、手荷物も武器も、鎧もアクセサリも、全部剥ぎ取るのだ」
 テレサ「それは流石に可哀想じゃ...」
 俺「何を言ってんの?危うく殺されるところじゃないか。命を残してあげただけでもありがたいと思うはずじゃないか。」
 テレサ「そう、なのか。」
 カトリア「でも、このまま帰したら、姉様がまた命を狙われるかもしれないじゃないのか。」
 俺「その時はまた俺が守るから、そして、もっと酷い目にこのエルフちゃんに遭わせてやるから、それでいいだろう」
 カトリア「...」

 さて、エルフちゃんは?
 耳を引っ張って、至近距離で顔を覗き込んだ。
 お目々大きい、いい匂いがする。
 葉っぱの匂いの中に、微かに甘い香りがして、舐めたくなった。

 俺「よかったな、エルフちゃん。命だけは助けてやる」
 ハーレム候補3「同情なんて要らない。さっさと殺せ」

 気の強い女だ。実に落とし甲斐がある。

 俺「さあて、先ずは上着だ」
 びりびりに破いた。

 ハーレム候補3「っ!」
 カトリア「剥ぎ取るんじゃなかったのか。」
 俺「手が滑った」

 びりびりに下も破いた。
 エルフちゃんはパンツ一丁になった。

 ハーレム候補3「こんなことをして何になる?」
 俺「別に」

 髪を止めるゴムを取った。
 ポニーテールがロングになった。
 まるで森の河に入浴しようとして、パンツ一丁の時に変な音を聞き、音の正体を確認する為に少し池を離れて、森を入った幼気な少女のようだ。

 ハーレム候補3「なぜゴムを取る?」
 俺「気分だ」

 最後はパンツ。
 丁寧にゆっくりずらして、太ももから降ろして、足を一本ずつを上げて、パンツを剥ぎ取った。
 流石にというか、ようやくというか、エルフちゃんは顔を赤らめた。
 可愛い!!!

 テレサ「光一さん、恥ずかしくないの?」
 俺「え?何が?」

 いや、待て!
 もしかして、女騎士は俺を軽蔑したのか。
 それは良くない!実に良くない!

 俺「一番重要なのは、このエルフちゃんに二度とテレサさんに近づかないようにすること。恥ずかしいのを我慢した」
 テレサ「そんな!私の為に無理をしなくていいのよ!」

 よっしゃ!誤魔化した!
 っていうか、女騎士ちょろ!ちょろすぎる!

 ハーレム候補3「何時か殺す...」
 俺「ゴムだけなら返してあげても良いよ」
 あっちの方コンドームね。

 ハーレム候補3「...返して...」
 胸と下を隠しながら言った。
 エロい!

 ただのゴムなのに、ほしいのか。

 俺「ほい」
 ポイ捨て。

 ハーレム候補3「っ!」
 ナイスキャッチ。
 胸ぽよん最高!

 俺「じゃあ、もう帰っていいよ。あ、パンツは返さないから」
 ハーレム候補3「忘れないからな」

 胸とお尻を踊らせながら走って逃げた。
 いい眺めた。

 カトリア「もういいでしょう。さあ、帰りましょう」
 俺「狩りは終わったの?」
 テレサ「えぇ、結構前に終わらせた」
 俺「そう。何もした気がしない」
 テレサ「光一さんは何もしなくていいから、私達に任せてください」

 お前は俺のお母さんか!
 ...む!そのシチュエーションも悪くない!
「お母さん、おっぱい吸わせて...」
 ...素晴らしい...

 テレサ「それと光一さん」
 俺「はーい」

 あ、しまった。お子様気分で返事した。

 テレサ「か、可愛い...じゃなくて!どうしたの、光一さん!」
 俺「いや、お前がどうした?顔赤いぞ」

 お前まで恥ずかしくなるような「返事」じゃないだろう!何で恥ずかしがるの?
 まるで、俺が滅茶苦茶恥ずかしい奴になったんじゃないか。

 テレサ「こ、これは!別に光一さんが可愛いから、『可愛いな』と思ってるわけじゃないからね」
 ツンデレか!

 カトリア「そこ、イチャイチャしない!」
 テレサ「す、すみません」
 俺「いや、してないけど...」

 したいけど...

 カトリア「光一さん。貴方はもう少し気を付けるべきです。少し女に対して無防備すぎます」
 俺「はぁ...」

 いや、意味わかんないんだけど...
 何で可愛い女の子に警戒しなきゃいけないの?騙されるかもしれないから?
 いやいやいやいやいや...

 カトリア「確かに光一さんは強いですけど、それでも光一さんは男の子です。そんなでは、何時・何処で襲われてもおかしくないからね」
 俺「はぁ、すみません」

 反論が面倒くさいから、適当に返事したが...
 おかしいでしょう?
 襲われる?誰に?
 そもそも、この百六十八センチの大男をつかまえて「男の子」?
 女騎士よりは確かに低いが、カトリアちゃんより高いよ!
 だから、「男の子」は止めろ。二回言われたら、キスするぞ。
 ......
 男には、言いたいことを言えない時がある。
 さあ、二回目カモーン!カモーン!

 カトリア「解れば良い。今後気をつけてくださいね。私だって、我慢しているのだから」
 俺「トイレか。」
 カトリア「違ああああう!」

 うわお、怖い...
 別にトイレ位、我慢しなくていいのに。
 俺だって、そこまで女の子に幻想を抱いていない。
 寧ろちょっと見たい...小までなら...

 カトリア「光一さん。次、変なことを言ったら、襲うからね」
 俺「え?」
 テレサ「ダメ!光一さんは私が守る」
 俺「え?」

 あれ?この二人?
 肉食系女子だったの?
 清楚な顔をして、男を食いまくってんの?

 俺「わ、わかった。気を付ける」
 ちょっと引いた。

 ビッチなの?処女じゃないの?
 まさか、そんな...
 ......
 まさか!

 テレサ「光一さん」
 俺「ひゃい?」

 しまった!裏声が出てしまった!

 テレサ「あ、あんまり、可愛い声を、出さないで、ください...」
 俺「わわかったごめん」

 やっぱあ、姉の方も...

 テレサ「実は、家に帰ったら、少しお願いがあるんですけど」

胸は借りるもの、経験は隠すもの

 テレサ「光一さんの胸をお借りしたい」

 俺の胸を借りたい?
 触りたいのかな。
 でも、何で庭で?
 秘め事は普通部屋でするものなの?
 ...青姦?
 変わったご趣味をお持ちのようで...
 仕方ない、付き合ってやるか。

 俺「さあ、どうぞ」
 上着をはだけた。

 テレサ「こ、光一さん!」
 俺「どうした?触らないの?触りたいなら、幾らでも触っていいから」

 男にとって、胸は決して性感帯ではない。
 性感帯ではないからな!

 テレサ「ほ、ホントにいいの?」
 俺「胸くらい、別にいいけど?」
 テレサ「じゃ、じゃあ...」

 テレサが俺に向かって手を伸ばしてきた。

 カトリア「姉様...何をしているの?」
 俺「うわ!」
 テレサ「ひっ」

 怖ぇ!めっちゃ低い声を出したよ、カトリアちゃん。

 カトリア「今、光一さんに変なことをしようとしてるでしょう?」

 あれ?責められたのはテレサちゃん?俺じゃなくて?

 テレサ「違っ、私はただ...」
 カトリア「ただ何?何をどうしたら、光一さんが半裸になるの?」
 テレサ「ホントッ、私は変なことを言っていなくて...」
 カトリア「なら、どうして光一さんの胸に手を伸ばしているのかな?」
 テレサ「それは、光一さんが『触っていいよ』って」
 カトリア「光一さんがそんなことを言う筈がありません」

 あぁ、抱きつかれている。
 妹さん、めっちゃいい匂いする。

 カトリア「大丈夫ですよ、光一さん。もう怖くないからね」
 俺「え、あぁ」

 いや、何に?

 俺「別に胸を触られるくらい、どうと思わないんだが...」
 カトリア「ダメよ!光一さん、そんなことを言っちゃう。子供にお乳をあげることくらいしか使え道のない女の胸と違って、男の胸には夢と希望が詰まってるんだよ!」

 何それ怖い!
 ミルクを出すことすらできない男のおっぱいに、そんなものが詰まってる訳ないじゃん!

 カトリア「ごめなさい、少し興奮してました」

 あ、離れた...
 短い幸せだったな...

 カトリア「それより、どうして光一さんが服を脱いでいるのですか。」
 俺「いや、それがさぁ、テレサさんが俺の胸を触りたいと言ってきて...」
 カトリア「姉様!」
 テレサ「違う!そんなことを言っていな...」
 カトリア「黙れ、このスケベババア!」
 テレサ「...っ」

 カトリア「光一さん、姉様...バカ姉の言葉を一々従わなくていいのですよ。それとも、何か弱みでも握られたのか。」
 俺「いや、さっきも言ったけどさ、別に胸くれぇ触られても平気だよ」
 カトリア「はぁ、光一さん...光一さんは無防備すぎます!光一さんのような可愛い男の子はね、簡単に人に素肌を見せてはいけないのですよ」
 俺「可愛い男の子?」(-_-メ)
 カトリア「光一さんのような可愛い子は皆から狙われます。もっと気を付けてください」

 彼女の言葉は良く分からなかった。
 いや、解るけど、解りたくなかった。
 つまり、俺は男共に狙われてるから、掘られないように尻をちゃんと守れ、ということだろう。
 くそぅ、彼女いない歴イコール年齢なのに、異世界に来たらホモに狙われる?
 神よ!何故、このような試練を俺に?

 俺「...わかった、気を付ける。でも、ここに俺達三人しかいないから、大丈夫じゃない?」
 カトリア「だから危ないじゃない!」
 俺「は?」
 カトリア「光一さん!確かに光一さんは私達の予想よりお強いですが、それでも男!一人で女二人と居るんだよ、襲われないように気を付けろって言ってるの!」
 俺「襲われる?何で?」

 逆じゃねぇ?

 カトリア「襲われますよ!現にバカ姉に襲われそうになったんじゃないか!何でわからないんだよ!」

 いや、お前の方が意味分かんねぇよ!

 テレサ「あのぉ...」
 カトリア「誰がじゃべっていいと言った、バカ姉?」
 テレサ「お願いだから、私の話を聞いてください」
 カトリア「...なに?」

 テレサ「光一さん。私と手合わせを願えないでしょうか。」
 俺「え?別にいいんだけど、どうしていきなり?」
 テレサ「その、実はさっきもお願いしたのですが、どうやら光一さんは少し勘違いしたみたいです」

 む?勘違い?

 テレサ「『胸をお借りしたい』というのは『手合わせしたい』という意味で、胸を見たい・触りたいとかではないのです」

 ......
 ...
 ...む?

 テレサ「すみません、光一さん。もう少し解りやすい言葉にすべきでした」
 俺「えっ」
 テレサ「私としたことが、光一さんが男であることを忘れ、光一さんに恥を掻かせてしまいました。もう少し気を配るべきでした」
 俺「べ、別に知ってるし!わざとわからないふりをしたし!ちょっとしたおちゃめだし!馬鹿にするな!」
 テレサ「そ、そですね。すみません」
 俺「謝るな!まるで俺が本当に知らないみてぇじゃん!」

 今日熱いな!熱中症かな?氷を貰わないと!

 カトリア「つまり、姉様は別に光一さんに『服を脱げ』と迫った訳ではない、ということなの?」
 テレサ「そう。ただの誤解」
 カトリア「では、何故それを最初に言わない?」
 テレサ「言おうとしたけど、言わせてくれなかった」
 カトリア「そうじゃなくて...何故光一さんが服を脱いだ時に言わなかった?何故光一さんの胸に手を伸ばした?」
 テレサ「そ、それは...」
 カトリア「...やっぱり『スケベババア』」
 テレサ「ごめんなさい」

 はぁ...
 死にたい...
 ハーレムを作る前に、恥ずかしさで死ぬ...

 カトリア「光一さん、大丈夫ですか。」
 俺「カトリアちゃん...」
 カトリア「『ちゃん』っ!やだもう、光一さんったら。それより、姉様との手合わせはどうしましょう?」
 俺「あぁ、する。けどもうちょっと待て、すぐに立ち直るから...」
 カトリア「いっそ、この辛さ、姉様にぶつかってみたら?」
 俺「え?」
 カトリア「姉の頑丈さだけは人一倍なので、ストレス解消には便利だよ」

 なんて妹だ!
 でも、そうだな。
 確かに、「一人で抱えるより、二人で分かち合った方がいい」と、どっかの偉人さんが言ってたっけ?

 俺「よし!テレサ、来い。ちょっと遊んでやる」
 テレサ「その意気です!光一さん」

 決めた!
 テレサを怪我しない程度に回してやって、気を晴らすめんと。
 今の俺は、手加減できないよ、「いじめ」に関して...


 結果から言うと、意外といい勝負でした。
 妹の言う通り、姉の方は確かに頑丈だった。
 五十回背負い投げされでも、平気そうに立ち上がった。
 俺ほどではなかったが、力もそれなりにある。
 見た目も美人だし、頭は...俺ほどではなかったが、良さそうだ。
 ここまで見ると「完璧超人」に見えるが、どうもこの姉妹は少し「痴女」っぽい。
 まだ処女なのかな。
 清楚な痴女はヤリマン、それ常識。
 超気になるので、晩飯にさりげなく聞き出すことに決めた。

 俺「二人は、まだ処女か。」

 はい、俺のバカ!ド直球で言った...
 終わった!色々終わった!ここから追い出される!

 テレサ「しょ、処女ちゃうわ!モテモテですし、めっちゃ経験豊富ですし」
 俺「なん、だと」

 終わった...色々終わった...ここから逃げ出したい...
 そっか、テレサちゃん、処女じゃないんだ...
 どいつに散らせた?ぶっ殺してくる。

 カトリア「光一さん。私は処女ですよ」

 ふわぁ~
 この世はまだ捨てたもんじゃないな。
 よし、姉に代わり、カトリアちゃんがハーレム候補第一号にする。
 姉のテレサの方は、ハーレム候補第百号にまで下がった。

{百号って、どんだけ入れるつもりだよ}
 神様は黙ってて。

 例え処女じゃなくても、寝取りものとして楽しめる。
 彼氏からか、婚約者からか、夫からか...
 とにかく、俺はテレサを手放す気はない。

 テレサ「光一さんは、処女でもいいの?」
 俺「当たり前だろう。寧ろ処女の方がいい」

 俺何言ってんの?
 女の子に向かって何言ってんの!

 テレサ「わ、私、処女です!まだ処女ですよ!」
 俺「え?あ、うん。わかった」

 テレサちゃん何言ってんの?
 男を目の前にして何言ってんの!

 テレサ「本当だよ!嘘じゃないよ!」
 俺「うん、うん、わかった。わかったから、落ち着け」
 テレサ「本当のことなのに...」

 俺の変な質問に、テレサちゃんが壊れた。
 申し訳ない。

 カトリア「...バカ姉...」

モブに名前を付けても覚えきれない

 三日目。

 俺「お姫様に会いたい」

 ポカンとする二人。

 テレサ「光一さんはこの国の王女様に会いたいのですか。」
 俺「いるっしょ?一人や二人くらい」
 テレサ「光一さん!そのような言い方、決して私達二人以外な人がいる場では使わないでください!」
 俺「え?あぁ、わかった」

 まぁ、「大不敬」とか、そういうことを気にしてるんだろう。
 下らねぇ、同じ人間なのに...

 テレサ「それで、光一さんが王女様に会いたいのは、どうしてですか。」
 俺「会いたいから」
 カトリア「お知り合いですか。」
 俺「いや、会ったことがない」
 テレサ「なのに会いたいの?」
 俺「だめ?会えないの?」
 カトリア「私達は光一さんに真意が知りたいの」

 めんとくせぇな。

 俺「王女様の顔を見たことがないから、見てみたいんだ」
 カトリア「なるほど、有名人に会いたいみたいな感じですね」
 テレサ「ならば、どうして国王陛下ではなく、『お姫様』に会いたい?」
 俺「いや、国王に興味ないから」

 どうせ、髭まみれの爺でしょう。
 その奥さんもどうせ婆でしょうから、同じく興味ない。
 ...む?
「王」はわざわざ「婆」を妻に残すの?
 絶対若くて可愛い女の子を愛人にするから、年取った婆は普通捨てるっしょ。

 俺「でも、王の妻になら、興味あるかも」
 テレサ「ぷっ、光一さん、陛下に妻などいませんよ」

 え、そうなの?
 可哀想に...
 でも、どうしてテレサは笑って返したの?


 まあ、そんなこんなで、俺達は今町の大通りにいる。
 どうやら、今日偶々この国の遠征軍が戻ってきて、王とその子息が迎え入れる日であって、俺は運よくお姫様に一目会えるらしい。
 やっほー!ラッキー!

 テレサ「今、一番先頭にいる人は、この国の第一王位継承者、リア王女殿下です」
 ふ~ん、イマイチだな。

 テレサ「その後ろに続くのは、将軍、カ...」
 モブはパス。

 ......
 テレサ「あの方は、第三位王位継承者、リア王女殿下の兄君、リック王子殿下です」
 俺「へ~」
 テレサ「そして、あの方は...」
 パス

 遠征軍の中に姫一人いたが、大したことがなかった。
 所詮「美しいお姫様」はおとぎ話の中のもの、現実にも、異世界にも存在しない。
 そして、王が登場らしいので、一応片膝を地面に付けて、頭を下げた。

 テレサ「光一さん、人にばれない様に、少し頭を上げて覗いてもいいよ」
 俺「あ、そう」

 期待が大きければ、失望も大きい。
 だけど、ちょっと上げた。

 テレサ「今、王の左に控えているのは、第二位王位継承者、セレヌ王女殿下。右に控えているのは、ジェン王配殿下。そして、今姿を現した人が、国王のアイラ陛下」
 俺「へぇ~」

 セレヌちゃんは良いね、可愛い。
 まだまだカギだが、将来が楽しみだ。
 しかし、「おうはい」ってなに?聞いたことがない。
 真ん中の国王は女々しい、女みたいな豚野郎だな、スカート履いてるし。
 隣の男はなよなよして、気持ち悪い。そもそも、何で国王の娘と同じ立ち位置に立ってるの?

 国王「我が愛しき娘よ!長らくの遠出、大儀であった」

 俺「女!」
 どういうこと?国王が女だけど!

 その他大勢「???」

 やべぇ、みんな俺を見てる。
 俺、超見られてる。

 カトリア「光一さん!」

 カトリアちゃんに無理矢理頭を押さえられて、地面に擦り付けた。
 痛い...

 テレサ「ご無礼を致して、申し訳ありませんでした、陛下」
 国王「テレサ...」

 むご~ん
 何、この静けさ?怖いんですけど...

 国王「...下がれ」
 テレサ「は!失礼します」

 カトリア「さあ、光一さん、行くよ」
 俺「わ、わかった。引っ張らないで」

 大臣、将軍、兵士、一般市民など、様々な人間が集まっているこの大通りから、俺達三人だけが去っていた。

 俺「テレサ!王が女ですけど?」
 人のいない所まで来た途端、俺は疑問をぶつけた。

 テレサ「はい、そうですよ?」
 何の疑問も感じずに、テレサが返事した。

 二人は何故そんな目で俺を見る?まるで俺がおかしなことを言ったみたいじゃないか。

 カトリア「そうなことより、光一さん!何故あの場で立ち上がって大声を出したんですか。私達と一緒じゃなかったら、死罪になってもおかしくなかったよ」
 俺「いや、だって女...?」

 待て...
 ずっと前から感じていた違和感を思い出した。
 まさか...だけど...

 俺「テレサ、カトリア。一つ聞きたいことがある」
 テレサ「はい、何でしょうか。」
 カトリア「光一さん、私の話、聞いてます?」
 俺「もちろん聞いた!だからこそ、先に聞かなきゃいけないことがある」
 カトリア「それは?」
 俺「この世界ここは、もしかして、男より女の方が上なのか。」

 二人が止まった。

 テレサ「光一さん。この国は男女平等の理念を掲げています。男性も女性も、等しき働き、平等に生活できる国です」
 俺「あぁ、いや!そうじゃなくて...聞きたいのは、その、例えば食事の時、先に座るのは女性とか、同じものを買う時、女性が先に買っていいとか、デートの時、男がお金を払うとか、そういうもの」
 テレサ「そのような不平等はもうありません。いや、法律上で禁止されています」
 俺「そうじゃなくて!俺の例えが悪かったのかな...例えば、夫婦で喧嘩した時、最終的にとっちに従う?」
 テレサ「それは...良く知らないが、私は光一さんの意見を尊重しますよ」
 カトリア「姉様、光一さんはそんなことを聞いていない。ただ、確かに私達には経験がなくて、一般論となりますが、結局親か友人に助けてもらって、お互いが納得した結果になるんじゃないのかな」
 俺「ごめん、カトリアちゃん。まだちょっとずれてる。そうね...子供ができた時、もし、どちらが仕事を辞めなきゃいけなくなったら、どっちが辞める?」
 カトリア「それは、場合にもよりますが、基本男性の方が辞めて、専業主夫になるんじゃないのか。」

 やはりか...

 俺「一家の長は男?女?」
 テレサ・カトリア「女」
 俺「レイプ魔は男?女?」
 テレサ「どうして『レイプ魔』という単語が出てくるのか...女の人が多い」
 俺「俺が一人で路地裏に入ったら、襲われる可能性は?」
 テレサ「ある!」
 カトリア「幾ら違法だと解っても、女は欲望を押さえきれない生き物です。あまり危険な場所に行かないでくださいよ、光一さん」
 俺「俺と一緒にお風呂に入りたい?」
 テレサ「!!!」

 テレサ赤ぁい...

 カトリア「光一さん、あんまりそういうことを簡単に口にしないでください」

 カトリア怖ぁい...
 そして、俺もようやく事情がわかった。
 ありえないと思えることだが、この世界、男女逆...
 それでようやく、今までの「違和感」が...
 ......

 俺「男に会いたい...」
 カトリア「それは、どのような意味でしょうか。」
 俺「別に...他の男性に会ってみたい」
 カトリア「それだけですか。」
 俺「うん...」
 カトリア「ならば、私が聞いた男の子がよく集まる場所を教えます」
 俺「うん...」
 カトリア「光一さん?大丈夫?」
 俺「うん...」
 カトリア「とても大丈夫には見えませんが...何が欲しいものあります?」
 俺「別に、何もない...」
 カトリア「そうだ!私が知ってる美味しい店、連れててあげましょう!きっと元気になります!ぶつぶつ喋る姉様をここに残して、私達だけで行きましょう」
 俺「うん...」

 そして、俺はカトリア二人だけの時間が始まった。

童貞な女の子と処女な男

 テレサ「こーいちさ~ん、カトリア~、どこですか~、出てきてくださ~い...」
 泣きながら俺達を探すテレサの所為で、カトリアとの二人きりの時間が、あっさり終わった。
 俺も、まだ完全に立ち直ってないのに...

 テレサ「それで、光一さんはどうして急に他の男性に会いたいと思ったのですか。」
 俺「会ったら教える」
 カトリア「着きました。ここです」

 公園?
 カップルが一杯。
 そして丁度「待ち合わせカップル」に出会った。

 女性「ごめん。待ちました?」
 男性「遅~い!ずっと待っていたんだからね!」
 女性「ごめんごめん。お詫びに、パフェを奢る」
 男性「イチゴの高いやつね」
 女性「うん、いいよ」

 ......
 気持ち悪わりぃ!!!!!
 何あれ?
 とてもファンタジー世界に見えないシチュエーション、加えて言葉が男女逆!
 男気持ち悪い!女の子優しい!

 俺「ねぇ...あれ、ナニ?」
 テレサ「バカップルです。死ねばいいのに」
 俺「テレサちゃん?」
 テレサ「何でもないです。忘れてください」

 美人なのにモテない?

 俺「というより、カトリアちゃん?ここは男女のたまり場だと思うんだが...」
 カトリア「ごめなさい。私は女なので、男の子の溜り場は実はよく知らないのです」

 えっと...ここは逆に考える。
 ...「俺、男なので、女の子の溜り場はよく知らない」...
 ンな感じか。

 だけどさ~、俺の場合:「女の子はよく行くデザートが美味しいお店、女性用下着売り場」とか、女の子の溜り場として使われていることを知ってるし、そういった場所に行けばいいじゃん?
{それは偏見だよ、お兄さん}
 神様は黙っててください。

 ...どこまで「逆」なんだろう?

 俺「カトリア、甘いものは好き?」
 カトリア「甘いものですか。あまり好きじゃありません」
 テレサ「私は好きですよ!あ、でも、光一さんの作ったものなら、何でも食べれます!」

 テレサのこの俺に対する態度もようやく理解できた。
 あれだ:彼女に飢えている童貞君、みたいなもの。
 初日の、あのかっこいい騎士ナイトはどこに行った?

 比べて、カトリアは結構冷静だ。
 紳士的に、俺を色んなものから守っている。
 だけど、俺の入った後のお風呂のお湯を飲むとか、そういうことをする変態紳士だな。

 俺「可愛いものは好きか。」
 カトリア「特には...」
 テレサ「好き好き!大好きですよ!光一さん」
 俺「あぁ、もーう!テレサうざい!静かにして!」
 テレサ「しゅ~っ」

 カトリアの反応から、この世界の女性は甘いものが苦手、可愛いものに特別な感情はない。
 どういうこと?味覚も感性も、完全に男女逆なのか。
 だとしたら...

 袖をずらして、肩の素肌を見せてやった。
 テレサは唾を飲んだ...
 カトリアは顔を背けたが、チラチラ見てくる...

 男だ...女を見る男の目をしている...
 はぁ、そうか...
 俺はとても変な世界に来たのだな...
 男女逆転した世界...
 ......
 素晴らしいではないか!!!!!!!

 俺「テレサ!」
 テレサ「はい?」

 胸を掴んだ!

 テレサ「光一さん?」
 俺「重くないか。」
 テレサ「いいえ、もう慣れました」

 俺「カトリア!」
 カトリア「うん?」

 カトリアの胸を掴んだ!

 俺「重くないか。」
 カトリア「(-_-メ)...そこまで大きくないので、重くないです」

 あれ?ちょっと怒った?

 カトリア「それより光一さん。前も言いましたが、こういうことをしていると、『その気がある』と思われます。軽々しく女にしないでください」

 逆に考える...
 もし、可愛い女の子が俺の胸を揉んだら...
 じゅるり...
 なるほど。
 揉まれても気にしないが、揉まれると勘違いをする。
 そして、「その気」はM気ではなくヤる気だ。いやらしい「男」と思われる。
 俺はいやらしい女に迫られたら、相手が美女なら絶対OKする。そして、テレサの反応から、俺は多分「美男」だろう。
 テレサが「ちょろい女」だと思っていたけど、この世界では寧ろ俺が「ちょろい男」のようだ。

 俺「あはは、ごめん、カトリア。そしてテレサ。どうして俺がこんなことをするのかを説明する」

 この二人には好感を持ってる。だから自分のことを説明した。
 黙っていればいい思いが簡単にできるが、俺は基本紳士なので。

{紳士チキン}
 神様何が言った?

 脳内神様はとりあえず置いておく。

 テレサ「良くわからないよ、光一さん」
 俺「まあ、理解するのは難しいだろう。俺もこれに気付くにはかなり時間をかけた」
 カトリア「異世界の存在もとても理解し難い。世界は二つもあるなんて、ありえない話だ」
 俺「俺は信じていたよ。世界は二つ以上あると」

 でないと、異世界に来る為に、あんな恥ずかしいことができないからな。

 テレサ「ですけど...一つだけわかったことがあります」
 俺「ほう、なんでしょうか。」
 テレサ「光一さん、私に欲情しているんだ」

 テレサの頭は下半身に直結しているらしい。

 俺「このおっぱいか。この大きいお団子の所為か。」
 俺はテレサの胸を掴んだ。

 テレサ「や~ん」
 テレサは満更でもなかった。

 しかし、揉んでいる途中で、俺の手はカトリアに叩かれた。
 痛っ!

 カトリア「光一さんの無防備な振る舞いの理由がわかったが、だからってこんなことして良いという訳ではありません。気軽に異性の体に触ることは良くない。慎みを持ってください。どんなに可愛くても、淫乱な男は女に嫌われます」
 俺「なに?嫉妬?」
 カトリア「(-_-メ)まだ私が光一さんのことが好きとは決まっていません。でも、確かに言えることは、私は浮気性な男性は好きじゃありません。結婚するなら、私に一途の男を選びます」
 俺「いいじゃん、別に。カトリアちゃんだって、可愛い・かっこいい男の子に囲まれたいでしょう?」
 カトリア「ほ、法律上、一人の女性は一人の男性としか結婚できない!私も、浮気は絶対しません」

 ほほーう...
 珍しいことではあるが、ガードの高い男はきちんといる。
 この逆転した世界では、カトリアちゃんはそういうタイプの人らしい。
 ふむ、落とし甲斐がある!

 だが、テレサは「落とし甲斐のない女」になっちまったな...
 この世界に来てから、見た人の中で一番の美人なのに、なんだかなぁ...
 まあ、いただくけどさ。

 テレサ「あ!それで光一さんがあの時に、変な声を上げたのか。」
 俺「あの時って?」
 テレサ「ほら、遠征軍帰還の時」
 カトリア「国王陛下が女性だと知って、びっくりしたのか?」
 俺「あ~、うん、そうだ。俺が知ってる『国王』は基本男性、女性の場合は『女王』だからな」
 カトリア「『女王』...変な単語ですね」
 俺「変か。」
 テレサ「えぇ、とっても変」

 まあ、そうなるよな。

 カトリア「だけど、厄介なことになりました」
 俺「厄介なこと?」
 テレサ「えぇ。光一さんは知らないことですけど、実は我が家は、王家と仲が悪いです」
 俺「ふ~ん」
 テレサ「あれ?あんまり興味はない?」
 俺「いや、実感がないだけだ。なに?国王に嫌なことをされたの?」
 テレサ「いいえ、私達はまだ何もされていない...ただ、母がね...」
 カトリア「国王の婚約者を寝取った、だそうだ」
 俺「......」

 なにを言えばいいだろう。

 テレサ「......」
 カトリア「......」
 俺「......」

 ダメだ。
 言葉が出てこない。
 デリケートすぎる話だ!

 テレサ「......」
 カトリア「......」

 無理だ!
 この空気に耐えられない!

 俺「ごめん、俺、ちょっと寄りたい所があるので、先に出るね」
 テレサ「あ、光一さ...」
 カトリア「...」

 俺を追おうとするテレサを止めるカトリア。
 気遣いパネェな、この娘こ。

 それで、一人になれる場所を探していたら...

 ???「すみません、殿方。何も言わず、私達と一緒に来て頂きませんか。」

 俺は衛兵みたいな人達に囲まれた。

強者が敗北する理由?ググれ

 俺「なに?何か用?」
 衛兵A「なにも聞かずにご同行を願います」
 俺「知らない人について行っちゃういけないと、お母さんが...」
 衛兵A「それでも、私達について頂きます。逆らうようでしたら、力行使も厭いません!」

 へぇ、力行使。
 正直、俺を人を使って誘拐できる人間と言えば、まぁ、幾らでもいるでしょうけど...この世界に来てまだ三日目、しかもほぼテレサとカトリア姉妹と一緒、出会いなんてなかった。
 俺を知ってる人間はそんなに多くないというか、この二人だけと言える。それ以外に俺のことを知っていそうなのは、今日大通りにいる人達だろう。
 俺が「不敬」な行動を取ったから、顔くらい人に覚えられているでしょう。

 俺「俺を連行して、どこに連れて行くつもりだ?」
 衛兵A「それは知らなくていいことだ。つべこべ言わず、ただ私達についてくれればいい」
 俺「宮殿でしょう?」
 衛兵A「...勘のいい男だ。ならば、大人しく来てくれるか」

 チートな力を持っている俺に、この程度の相手に遅れは取らないと思うが、話に乗ることにした。

 俺「わかった、ついて行く」
 衛兵A「では」

 手錠?袋?

 俺「あ、手錠は嫌だ、掛けるな。袋は何?まあ、何でもいい、袋も嫌だ」
 衛兵A「あまり私達を困らせないでください。男に暴力振るうのは好きではありません」
 俺「ぷっ、『男に暴力』...はははぁ、おかしい。やっぱおかしいよ」
 衛兵A「何がそんなに面白い?」
 俺「いや、ごめん...く、君達はなにも、俺が勝手に笑っていただけだ」
 衛兵A「変な男だ。さあ、手を出して」
 俺「いや、だからぁ...」

 手錠を奪い、引き裂いた。

 俺「嫌だって」
 衛兵B「き、貴様!」

 五つの矛が俺に向けた。

 衛兵C「反抗するなら、容赦しないわ」
 俺「あぁ、いや。別に『行かない』と言っていない。ただ手錠が嫌だって。もちろん袋も」
 衛兵C「......」

 すっかり警戒されちまった。
 まあ、無理もない。手錠を破壊できる人が怖くない筈がない。
 チート能力のない俺はおもちゃな手錠も壊せない。それが今じゃあ...

 衛兵A「......」
 俺「このままここで時間を潰す?俺は構わんが、お前の主はどう思うでしょう」
 衛兵A「ッ」

 む~ぅ、ますます警戒されちまったな。
 いっそ全員倒して、家に帰るか。
 まあ、もう一回説得してみる。ダメだったら、宮殿に入るのを諦める。

 俺「俺は抵抗しないよ。お前達に従って、お前達の主の所に行くだけ。お前達だって、手ぶらで報告するのは嫌でしょう?」
 衛兵A「ッ...」

 息が荒い、顔が赤い。緊張しているのが目に見えてる。
 やっちまったな。
 いきなり強い力を手に入れた人は、力に酔い、滅ぶアニメは一杯見たが...なるほど、ただ「強い」だけでも、人に怖がられるのか。
 こいつらは今なにを考えているのだろうな。
 俺のことを「化け物」として見ているのだろう。

 俺「わかったわかった。俺はもうなにもしない。袋を使いたければ使えばいい。もう逆らわないから」
 衛兵A「...変なことをするな」

 ようやく少し警戒を解いた衛兵は、俺の頭に袋を被せた。
 何で?
 頭に袋を被せる理由がわからないまま、俺は連行された。
 余程俺を怖がっていたが、歩いている間一度も俺を催促していなかったし、そもそも体も触ってこなかった。
 俺に矛の後ろを掴ませてから、言葉も喋らず、静かに歩いた。

 俺「ねえ、今はどこ?」
 衛兵A「......」
 俺「あ、いい匂い!焼肉食べたい」
 衛兵A「......」
 俺「お母さんは幾つ?」
 衛兵A「静かに歩けないのか、お前は」
 俺「お前の反応が見たい」
 衛兵A「......」

 結局それ以来、俺がなにを言っても、返事は来なかった。

 衛兵A「殿下、連れて参りました」
 ???「ご苦労」

 殿下?陛下じゃなくて?

 ???「袋を外しなさい」
 衛兵A「は!」

 袋を外されて、一人の女性が現れた。
 第一王女様だ。

 姫様「おう、これはこれは。遠くからでしか見えなかったけど、近くて見るとやはり美しい」

 美しい?
 ぅうぅ...蕁麻疹が出る。

 姫様「お主、名は何じゃ?」
 俺「光一」
 姫様「光一か。良い名じゃ」
 俺「普通だな」

 残念ながら、このお姫様は美人から一歩離れている。頑張っていい評価を上げても五十九点だな。
 つまり、赤点を超えたけど、合格点には達していない。
 残念だな。

 ハーレム不合格者(第一王女)「普通とは何じゃ?」
 俺「ブスじゃないが、美人じゃないということだ」
 ハーレム不合格者(第一王女)「童を『ブス』と称するか。」
 俺「いや、もっとプロポーションに気を遣って、ちゃんと自分に似合う化粧をすれば、美人になれる...かもしれない」
 ハーレム不合格者(第一王女)「なんと!...鞭を!」
 衛兵B「は」
 ハーレム不合格者(第一王女)「躾が足りぬようじゃの。童が躾し直して呉れよう」

 鞭が迫ってくる。
 遅いので、掴んだ。

 ハーレム不合格者(第一王女)「な!」

 しゅしゅしゅしゅしゅ~っ
 矛に囲まれた。

 衛兵A「今すぐに殿下の鞭から手を放せ」

 衛兵の反応早ッ!
 すげぇ...
 その凄さに免じて、手を放した。

 ハーレム不合格者(第一王女)「お主、一体何者じゃ?」
 俺「え?」

 何者?
 む~ぅ...

 俺「さぁ」
 ハーレム不合格者(第一王女)「『さあ』って...ぷっ」

 あ、笑った。
 意外と可愛い!
 そうか、女が笑えば、可愛くなるんだ。

 ハーレム合格者(第一王女)「気に入ったのじゃ!早速母上に会わせてやる」

 姫様は俺の手を掴んだ。

 衛兵D「殿下!陛下はまだ会議中で...」
 ハーレム合格者(第一王女)「そんなこと、童には関係がない」
 衛兵D「殿下!」

 連れて行かれた。

 ハーレム合格者(第一王女)「母上!リアです!お話があります!」

 大きなドアが開かれた。
 中には一杯人がいた。全員女だ。
 そして、全員ブタだ、国王陛下(女)を含めて。
 壮観だな。逃げ出したくなるくらい壮観だな!

 大臣A「リア殿下!今は会議中...」
 男?「口を慎め!」

 あ、男いた。
 あの時、国王の右にいた人だ。

 国王「どうしたの、リア。我が愛しき娘よ」
 ハーレム合格者(第一王女)「童、この人を婿とします」

 俺を指さした。
 なんか、話が大きくなった。
 どうなるのかが気になるので、黙ってみていた。

 国王「そっこの男、名は何と?」
 俺「...」
 国王「聞こえんかったのかのう。おい、そっちの男、名を名乗れ」
 俺「ブタと話す趣味はないな」
 その場にいる全員「!!!」
 ......

 国王「リア、その男はそちが選んだ婿か。」
 ハーレム合格者(第一王女)「そうじゃ。面白い男じゃろ!」
 国王「面白くないわ!!!」
 国王ぶたが叫んだ。

 国王「今すぐに、その男を牢にぶち込め!沙汰は後で伝える」
 ハーレム合格者(第一王女)「母上!どうしてなのじゃ?どうして童が選んだ婿を牢屋に閉じこむのじゃ?」
 国王「リア、今は大事な会議中だ。理由は後で話す」

 俺は衛兵に引っ張られて、連れて行かれそうになった。

 無理もない。
 一度でいいから、お偉い人を見た瞬間、その人を罵ってみたかった。
 理由もなく、ただその人が偉いというだけで、罵ってみたい。
 そしたら、こんな状況になるのも容易に想像できる。
 自分と母が侮辱されたのに、面白いと思える第一王女と違って、俺も国王も常識を持った一般人だからな。

 だから、大人しく連れて行かれても良いと思ったが、ふと耳に「エルフ」という単語が入ってきた。

 俺「悪いな」

 俺は二人の衛兵の鎧だけ全部外して、彼女たちを下着姿にした。

 衛兵D「な、なにがあった?」
 衛兵E「どうして服が勝手に?」

 俺はそのまま「会議室」に戻り、第一王女を自分の懐に入れた。

 俺「王よ、今何の会議をしているのかを、詳しく聞かせてもらおう」

反抗期の娘の心が読めない...

 国王「何じゃ、貴様!どうやって拘束を解いた!」
 俺「それはお前が気にすることじゃない」
 大臣B「何と無礼な!そこに直れ、叩き切ってやる!」
 俺「おっと、動かない方がいいよ。王女様がどうなってもいいのなら」

 何が知らんけど、俺に人質とされてるのに、王女様がちょっと喜んでいるっぽい。

 国王「リア、お主も何故なにもしない?早くその男から離れぬのか!」
 王女様「あ~れ~、お助けを~、母上~」

 棒読み乙!
 パッとしない筈なのに、意外と面白い娘だ!
 よし、ハーレム候補第三号に入れてやろう。合計四人!

 俺「さあ、どうする?国王陛下?」
 国王「おのれ...近衛兵!なにをしている?此奴こやつを捉えろ!」
 近衛兵A「しかし、リア様はまだ...」
 国王「構わん!小娘の火遊びに付き合う義理はない!早く此奴こやつを捉えろ!」
 近衛兵A「は!」

 女兵士合計五人が俺に向かってきた。王女様が人質にされてるのに...
 ま、遅いので、丁寧に、一つずつその手先の矛をへし折って、再び王女様を懐に入れた。

 国王「...なに?」
 近衛兵B「あれ?矛が...!」
 近衛兵C「どうなってんの!何故矛が折れてる?」
 ハーレム候補3(リア)「母上。童が選んだこの男おのこは童よりも格段に強い。そして、恐らく此奴こやつは、あの遊騎士ゆうきしテレサでも勝てんのじゃろう。それは即ち、この国では、此奴こやつより強い人間は居らぬ、ということじゃ」

 良いね、リアちゃん。べた褒めは好きだぞ!
 ご褒美に、お凸にキスしてやろう。

 ハーレム候補3(リア)「えへへ、もっとなのじゃ~」

 俺「さて、国王よ。いい加減に観念して、俺に会議の内容を教えてくれない?」
 国王「くっ............わかった。特別に教えてやる」
 大臣B「成りませぬ、陛下!例えリア殿が人質に囚われてでも、大事な作戦を漏らしてはいけませぬ!」
 国王「煩い!朕ちんの決定に異議を申すのか。」
 大臣B「例え王の決定であっても、この作戦は全国民の将来が関わっております!どうか、お考え直し下され」
 国王「近衛兵!此奴こやつを牢にぶち込め!」
 近衛兵A「は、はい!」
 大臣B「陛下!どうか、お考え直し下され!陛下!」

 大臣Bの叫び声が響く。
 お可哀想...
 暗君を補佐する人間はとても不憫だが、俺の邪魔になるから、助けないよ。

 国王「お主に大事な作戦内容を教えるが、その前に、リアを放せ」
 ハーレム候補3(リア)「嫌じゃ!」

 リアちゃんが先に反対した!

 国王「我儘を申すな、リア!早うこっちに来ぬのか!」
 ハーレム候補3(リア)「嫌じゃと申しました!」
 国王「リア!」

 俺「あの、ヘイカ?リアちゃんは『人質』として囚われていることを、お忘れなく」
 内容聞くまで、お姫ちゃんを放す訳ないでしょう。

 国王「お、のれ...近々、我が王国軍はエルフの里に攻め込み、人間・エルフ・オークの三つ巴を打破するつもりだ。上手く森に隠れていたが、遂に先日、その居場所が判明した。そこに我が精鋭を送り、エルフを殲滅し、後にオークにもトドメを刺し、世界を統一する」

 エルフを...殲滅...?

 俺「ダメ絶対!したら、お前の精鋭を皆殺し」
 国王「き、貴様!エルフの間諜 かんちょうか 。」
 俺「違うけど、それでもダメ」
 国王「おのれ!誰か、此奴こやつを捉えられる人間は居らぬのか!」
 俺「止めた方がいいよ。ここにいる人間は勿論、恐らくお前の全軍隊を俺にぶつけても、俺に勝てないだろう。無駄なことをやめようぜ」

 ハッタリで~す!
 流石にこれはハッタリだ。
 多分二十人までなら楽勝だろうけど、二千人になったら無理だろう。
 どんだけ凄くても、俺の体力は無限じゃない。それはテレサちゃんと手合わせの時に気付いた。
 だけどなぁ~...

 俺「それでもエルフを攻めるのなら、俺はヘイカの軍が出陣する時に、城門の前にヘイカの邪魔をする。何人無事に自国の城門を出られるかは知らないが、少なくともエルフを攻めるほどの力を残らないだろう」
 国王「くっ」

 国王無言。
 俺の本気に気付いていたが、それでも王のプライドが許さない。
 そんな感じかな?

 テレサ「騎士テレサ。陛下への参謁をお願い申す」

 テレサちゃん?

 国王「テレサ...」

 おおう、あからさまな怒り顔だな。
 仲が悪い、ね~。

 国王「何の用事だ、テレサ。朕ちんはお主を呼んだ覚えはないぞ」
 テレサ「私の家臣が陛下に迷惑をかけていることを聞き、急ぎ家臣を連れ帰りに参上しました」
 国王「家臣?誰のことだ?」

 テレサ「光一さん。もう大丈夫ですから、こちらにいらっしゃい」

 正直、よくわからない喋り方をするテレサが別人のように見えたが、俺を呼んだ時に予想外に懐かしさを感じて、テレサちゃんが輝いてるように見えた。
 先まで、お姫様のリアちゃんを可愛いと思っているのに、やはりテレサとは天と地の違いだな。
 悪い、お姫ちゃん。俺、可愛い方に行くよ。

 ハーレム候補3?(リア)「あ、婿殿...」
 テレサ「大切な会議をお邪魔してすみません。これにて、失礼致します」

 手を引っ張られた?なんだかちょっとかっこいい?

 国王「待て、テレサ!」
 テレサ「まだ何か。」
 国王「其奴そやつ、先ほどとても許し難いことを朕ちんに申した。場合によっては反乱を企てているとも考えられる。そのことについて、『遊騎士ゆうきしテレサ』は何が申すことはないか。」

 反乱を企ててる?
 いやいやいや、ブタ国王に興味ないから、お前を犯す為に反乱する筈ねえよ!
 何だかこのブタ、とんでもない勘違いをしている。

 俺「あのな、ヘイ...」
 テレサ「もし!」

 うわぁ!
 いきなり大声を出すなよ、テレサちゃん。
 びっくりした...

 テレサ「もし、私の家臣が反乱を企てているのなら、それは即ち、私が反乱を企てている、ということ!」
 国王「!!!」

 おいおい、テレサちゃんはなにを口走っているんだ?

 テレサ「私は、これまで通りに、陛下に忠誠を尽くす所存です。我が家臣の言葉を間違った捉え方をしませんでしたか。陛下」
 国王「テレ、サッ...」

 国王が怒りで鬼の形相。
 仲が悪くても、国王と臣下。
 なのに...
 何か立場逆転していない?

 大臣C「陛下。テレサ様は独自でオーク共の情報を追っております。その最中に、エルフに関する何か重要な情報を掴んだ可能性があります。それ故に、それを伝える為に、ご自身が抱える家臣を派遣したやもしれません」
 国王「...」
 男?(王配おうはい)「続けてください」
 大臣C「しかしながら、それを直接伝えられない理由があるかもしれません。加えて、家臣であるその男が口下手な為、上手く伝えられずに、我らがエルフの森に進軍を止める為に、陛下の怒りを買うような言い方をしました。『反乱を企てている』と勘違いをされる危険を顧みず、陛下の臣下・兵士・民を守る為、陛下に無礼を働いてしまいました。陛下、どうか今一度、此奴こやつの言葉を吟味し、その奥に隠してる意味を考えて見てください。儂にはもうこれ以上、此奴こやつの言葉の裏を読み取れんが、陛下ならきっと、此奴こやつとテレサ様の真意に気付きましょう」

 大臣Cの爺すげぇ...
 良くわからないけど、美化されてます?
 それにしては、「テレサ様」?

 国王「テレサよ。お主の真意にすぐに気付けない朕ちんを許せ」
 大臣B「おおう、陛下!臣下の許しを求めるとは、何と懐が深い!」
 テレサ「...この場で全てのことを報告できないこのテレサめを、お許しください、陛下」
 国王「良い。もう下がるが良い」

 気持ちわりぃ!
 下手な三文芝居、本っっっ当に気持ちわりぃ!

 テレサ「では」

 テレサ「行きましょう、光一さん」
 俺「え!あぁ...」

 俺への声がめっちゃ優しい!
 甘えたくなる...

 第一王女(リア)「光一殿!お待ちくだされ!」
 俺「うん?」
 第一王女(リア)「童...童との婚約は?」
 俺「あぁ、えっと...」
 第一王女(リア)「童はこの国の第一王女!将来この国の王になる女じゃ!童の夫に成れば、生涯の幸せを約束しよう!童も、一生二人目の夫を持たぬと誓おう!どうじゃ?童の元に来ぬのか。」

 ちょっと泣きそうになっている顔が俺のスケベ心をそそるが...

 俺「ごめん。俺、テレサ...殿の家臣なので」

 美人姉妹の方に就こう。
 まあ、その内に迎いに来るから、待っててね。

俺の命は七日だけ?

俺の命は七日だけ?

男女逆転したファンタジー世界での物語

  • 小説
  • 短編
  • 成人向け
  • 強い暴力的表現
  • 強い性的表現
  • 強い言語・思想的表現
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