悪魔

代わりが居ないとよく口にする、他の人じゃ駄目だと。でも代わりが居なくても空いた穴は勝手に埋まってる、そこに付け入ろうとして近付いてくる人間は無数に居る。金か、身体目当てか、はたまた両方か。そんな事は分からないけど空っぽな人間を喰いものにする悪魔は確実に存在する。


その人じゃないと駄目だと思えるのは今生きてる時間をその人中心で回していて、そこに自分の世界がないからじゃないかなと勝手に結論を出す。異性を生きるモチベーションにすることは間違いじゃなかったとしても、それが正しいこともない。自分の人生を他人に投げて、その人を言い訳にして生きたくもない人生を生き続ける。怠惰以外の何者でもない。


誰もそれが正しいとも間違ってるとも分かるように示してくれなくて、自分の視界の届かないところで好き勝手に言い散らす。
そんな話を何処からともなく勝手に耳に入れて、


でもそんな生き方でもしないと生きることすらままならない人間もいる。そんな人に対してそれを悪だと罵倒することが自分には出来ないし、そのままでいいなんて無責任な言葉を吐くこともできない。


空っぽの人形に与えてもらえる愛なんてどこにもなくて、どうやって中身の入ってない自分を偽って見せるかに必死になる。そのために必要な言い訳を傷だらけの身体と心を使ってかき集めながら。


ほら、そうなった時にはもう立派な悪魔だ。
搾取される側からする側になって、自分の傷を人一倍大きな声で痛いと喚き散らしていたのにね。

悪魔

悪魔

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-21

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