屋上の人
“ごめんなさい。ごめんんさい。ホコリだから”
“全部あたしが悪い。汚いホコリ”
ただ一緒に生きたい
必要な人 だれよりも なによりも
たとえホコリでさえ 魂はあった
“眠ると家じゃ怒られるの”
“眠ると塾じゃ怒られるの”
“眠ると学校じゃ怒られるの”
いつ眠っているのかと思った
本当に眠っていない人を知った
立ったまま眠らされる人
自己肯定力に飢え
自己否定に削り取られ
社会 見棄てられ不安
社会 強度の依存
社会 日々送りつける罪責
責 任 所 在 不 明
立派な生産
立派に飼う
立派に屠殺
立派な社会
いつか立派な社会人
この子が死んでも
だれが本当に悔やむだろう
だれが生涯憶え続けるだろう
“あなたにだけは眠っても怒られたくないの”
“ころしてくれてもいいのよ。あなたなら”
“立派な人間でなくて良かった。だれも困らない”
死のつい先端
死のつい寸先
死を思っていた
屋上の人
屋上・・・・・・
生きてていいの?それすら、もう、わからなくて、ただ、涙ばかり出てくる、また、腕切ろうと思った、でも、それも、夢なのかわからない、ただ、あなたに悪いなと思うだけ、もうすぐ、眠れるかな? 寝て起きたら、少しは、元気になるかな、わたしをやめないでいて、あんまりおこったら、ゆるせなかったら、いっそ、殺めてね、あなたになら、そうされたいし、どうせ、もともと、わたしは、いつも屋上にいた、欲張って、あなたをほしがったから、バチがあたるのかな、神様、意地悪だ、援交も万引きもしない、タバコも吸わない、ピアスだけ、あんまり、悪いことしたつもりはないのに
悲哀に憤怒と涙をこめて書く
でも
こんな暗みでしか
救いをあげられなかった
違う
違う
ち が う
本当は
本当は
ほ ん と う は・・・・・・
こんなんじゃなく
おれは
いいたい
交わって
潤いで
紡いで
そのさなかで
耳元に吹き込みたい
身体の奥に
注
ぎ
入
れ
た
い
― だいすきだ
― しあわせだ
― あいしてる
― ずっとそばにいる
― 息が切れるまで・・・・・・
お
れ
が
み
え
る
か
?
お
れ
を
み
つ
け
ろ
!
!
!
おれは
わかっている
おれが
わかっている
屋上の人
黙々と書く。
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