残像

移り変わっていく景色を見て
僕らは今何思うだろう
地方は東京の
東京は外国の真似事をする
時代が作り上げたものとは
日本とは一体何だったのだろう

夏がやってくるらしい
無邪気に走る子供も
今ではあまり見かけなくなった
蝉のような短い人生を
生きている訳ではないから
僕は化けていくものに
対応適応していかなければ

誕生する命に格好悪い姿は
先に老うものとして
見せたくは無いから
一生懸命に現実の中彷徨いながら
空想へ逃げないように
夢を噛み締めて走っている

夏がやってくるらしい
退屈な時間がある17歳
いつの日か失くした純情を
複雑な世界から見つけ出して
大人の僕が待つ未来へ持っていこう
経験はかけがえないのない装備
やらぬは一生の後悔

手のひらに小川が流れ
指先に小鳥が乗り囀るとき
背は小さくなる
物事は考えられなくなる
視界は狭まる
子供になる

残像が徐々に過ぎり
誰かを信じられなくなるとき
背は大きくなる
物事は考えられるようになる
視界は広がる
大人になる

僕の全てと
僕以外の人間の全てが
変わらないまま
呼吸が止まるまで
生きていけたら
きっと幸せなのでしょう

しかしそれは
本当は不幸せであること
呼吸が止まるまでに
気付くことができたら
どんなに僕は幸せなのでしょう

残像

残像

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-18

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