【二次創作】黒子のバスケ 短編集
この小説はアニメ『黒子のバスケ』のエンドカードを見て思いつ
いたストーリーや、帝光中学・誠凛高校バスケ部の思いついた話
を不定期に書いていく短編集です。下手ですが、呼んで頂けたら
非常に嬉しいです。
第一話 『エンドカードの裏話その1』
東京、某日。
そこには、誠凛高校バスケットボール部の、黒子、火神を初めとする一年生達が居た。
「ストリートバスケ、楽しかったですね」
「だな」
「なあ、火神、黒子、またストバスがあったらさ、部活がない日にこの五人で行こうな」
「はい」
「それじゃ、俺達先に帰るから」
そう言って、降旗、河原、福田の三人は帰っていった。
「僕達はどうしますか?」
「どうしますかって……帰らねぇのかよ」
「火神くんはどうしますか?」
「お前はどうするんだよ」
「僕は少し休みます。結構動いたので、帰りまで体力が持ちません」
「……よくそんなんでバスケ続けられるよな。体力、ねーのによ」
「……バスケ、好きですから」
「ま、俺も好きだけどな」
「火神くん、先に帰っても良いですよ? 僕が一人で適当に休んで帰りますから」
そう言いながら、鞄を置き、ベンチに横たわる黒子。
「……飲みのも買ってきてやるよ。そしたら、俺は帰るからな」
「そうですか。じゃあ、お言葉に甘えて。お願いします」
おう、と言って火神は自動販売機に向かっていった。
――ポカリとかで良いよな……。
ポカリを購入し、ベンチに戻っていく火神。
――何してんだ、あいつ……。
見てみると、ベンチに寝ている黒子は、バスケットボールを回して遊んでいた。
火神は早歩きで黒子に向かい、鞄を置いて横に座り、回っているボールをがしっと掴んだ。
「あ。何するんですか」
と、ちょっと怒る気味に黒子は言った。
「お前は何をしてるんだよ。休むんじゃねーのかよ!」
「休んでいるじゃないですか」
「ならバスケから少し離れろよ」
そう言いながら、黒子の顔面にボールを近づける。
それを黒子は、左手を伸ばして受け止める。
「ボールが当たります」
「当てようとしてるんだから当然だろーが!」
――こんな感じで(黒子が時々ポカリを飲んだりなどしていた)、暫く休んでいると、黒子が、
「あ、忘れていました」
と、いきなり呟いた。
「……何をだよ」
なぜか未だに帰っていない(多分、忘れていた)火神が、イライラしながら黒子に聞いた。
「今日、エンドカードの撮影の日です」
「あっ!!」
部活が休みなので、この日に決めていた撮影のことを、黒子も、火神も今まですっかり忘れていた。
「急ぎましょう。まだ間に合う……はずです」
「何で今、間をあけたんだぁ!」
こうして二人は走って、撮影所に向かったのでした。
……ちなみに、黒子達を探しに来ていたエンドカードのカメラマンが、さっきの黒子達を見て、『これ、使える!!』と、シャッターを押し、撮影していた事を、彼らは知らないのだった……。
―第一話 完
第二話 『夏の学校の屋上で』
「く「く~っ! やっぱ、夏といったらアイスッスね!」
そう言いながら、黄瀬涼太はレモン味のアイスを食べていた。
「てか、緑間っち。その手に持っている物は何なんスか」
「何を言っているのだ黄瀬。これは今日の蟹座のラッキーアイテムなのだよ」
「……それがッスか?」
あずきのアイスを食べている緑間が左手に持っている物は、イルカのぬいぐるみだった。
「これまた随分とカワイイぬいぐるみだなぁ」
ミカン味のアイスを既に食べ終わっている青峰は、呆れ顔で緑間に言った。
「テツ、こいつの占いへの熱意はどーにかなんねーのかよ」
「僕に言われても……緑間君のことですから……」
少し困った顔をしながら、桃味のアイスを食べているのは、黒子だった。
「紫原っちも何か言って欲しいッス……って、何食べてんスか?」
紫原の方を見てみると、彼だけはアイスじゃなくお菓子を食べていた。
「ん~? まいう棒だけど……? さっきアイス買ったときに、黒ちんと買ったんだ~」
「何でお前だけアイスを食べていないのだよ」
「アイスならもう食べちゃた」
「食うのはえーな……」
「……そう言えば、赤司っちは? どこ行ったんスか?」
唯一この場にいない、バスケ部のキャプテンを捜していると、
「赤司君なら、もう教室に帰ったわよ!」
と、彼らの背後から、少女の大声が聞こえた。
「うおっ!? ……何だ、さつきかよ。驚かすなよ」
「何だとはなによぉ! 私はテツ君を迎えに来ただけだもん!」
「迎えに来たって……母親か、お前は」
「何よ! 別に良いじゃない!! 青峰君の馬鹿――!」
「何でお前に馬鹿って言われなきゃなんねーんだよ!」
「青峰君、落ち着いて下さい」
「……それで、桃井。赤司が教室に帰ったって言うのは本当なのか?」
「ん? 本当だけど。さっき赤司君とすれ違ったもん」
「……せめて一言言ってほしかったッス……」
「でも、部活のこともあるだろう。だったら仕方がないのだよ」
「そうだね~。赤ちん、元からこんな感じんだし。許してあげたら? 黄瀬ちん」
「……別に、怒ってる訳じゃないんスけど……」
「それはもういいの! てか、みんな屋上で何してるのよ!!」
「何って……アイス食ってたんだけど」
「それがどーかしたんスか?」
「何か問題でもあるのか?」
「大ありでしょ!! ここ、学校の屋上じゃない!!」
そう。黒子達がアイス、お菓子を食べている場所は、彼らが通う、帝光中学校の屋上である。
だが、そんな桃井の言葉に黒子は、
「それはいいじゃないですか、桃井さん」
と、いつもの無表情で言う。
「うっ……! それはそうなんだけどね、テツ君……」
「何で俺達とテツで態度が違うんだ――」
「青峰っち!! 落ち着くッス!」
青峰の口を必死に塞ぐ黄瀬だった。
「桃井、続けるのだよ」
二人を無視して、桃井に話を進めるように、緑間は促した。
「うん……で、まあ、屋上っていうのは良いんだけど……テツ君がいうから。でもね、みんな――予鈴、もう鳴ったわよ?」
「え?」
「あん?」
「そうなんスか?」
「ふ~ん」
黒子、青峰、黄瀬、紫原の順で、桃井の言葉に反応を示した。
「待て!! それはマズいのだよ!! 何を暢気にしているのだよ!」
「そうですね……もう本鈴が鳴るまで時間がありません。急ぎましょう」
「そうよ! テツ君の言う通り!! ほら、さっさと片づける! そして教室に帰るよ!」
「……っち。面倒だな……」
「もしかして、赤ちんがさきに一人で帰ったのって……予鈴が鳴ったことに気付いたからだったりして」
「それだったら予鈴が鳴ったっていってほしかったッス!!」
「黄瀬! 喋っている暇は無いのだよ!」
「そうですよ、黄瀬君。急いで下さい」
「ほら! 降りるよ、みんな!!」
片づけを終えた一同は、桃井を先頭とし、走って教室へと戻ったのだった。
授業に間に合ったか否かは――内緒である。
―第二話 完―
第三話 『エンドカードの裏話その2』
「……何で折角の休みなのに、日向君と撮影に行かなきゃらならないのよ……」
がっくりと項垂れながら、文句を漏らす、誠凛高校バスケ部監督、相田リコ。
「まあまあカントク、落ち着けって」
そんな彼女を慰める、誠凛高校バスケ部主将、日向順平。
某日、二人はそろって、とある場所に向かっていた。
「これで落ち着けたら苦労しないわよ……。だって、考えてみて、日向君。私達、バスケ部としては、貴重な休みなのよ? だから、私も練習のことを考えたり、ゆっくりと休んだりしたいの! それなのに、『エンドカードの撮影に来て下さい!』って……ふざけてんのか――――!!!」
――相当怒ってんな、カントク……。
彼女の怒った表情に恐怖を抱きながら、言葉を掛ける。
「いや……確かに、カントクの言うことは正しいけど……でも、仕方ないだろ。休みのときぐらいしか、撮影のチャンスがないんだからさ」
「それは……そうだけど……」
「それに、撮影するだけだろ? だったら、すぐ終わるって。ポーズとかだって、あっちが考えてくれているだろうし。それに――」
「ん?」
「この前、黒子と火神が迷惑を掛けたらしいからな……ここでちゃんとしなきゃ、マズいだろ」
「そうね……そう言えば、そんなことあったわね……」
以前、部の後輩二人組が撮影だった日。
彼らは撮影のことを忘れてストバスに行き、約束の時間の随分後に撮影所に来たらしい。
と言っても、ストバスの会場で彼らを見つけたカメラマンが、こっそり撮影(隠し撮り?)をしていたため、足を運ばなくても良かったらしいのだが……。
「行った必要が無くなったと言っても……黒子君達が撮影のことを忘れていたのは事実だからね……迷惑、掛けたでしょうね」
「だよな~……。だから、ここで先輩の俺らが、あいつらの失敗を取り替えさねーとな」
「……そう言えば、バカガミなら分かるけど……何で黒子君が、撮影のことを忘れていたのかしら……」
「確かに……あいつ、あーゆーとこはちゃんとしてるからな……」
そんな会話をしている内に、リコと日向は撮影所に到着した。
「……じゃ、入りますか」
「ええ……」
今から撮影するということに――今更かもしれないが――緊張する二人。
――大丈夫かしら……。
少し不安を抱きながら、二人は中へ入った。
☆ ☆ ☆
「……こんにちわ……」
「こんにちわ。えっと……相田リコちゃんと、日向順平君よね?」
「はい……」
スーツ姿の女性は、ニコニコしながら、二人を迎えた。
「待ってたわよ、二人とも。御免なさいね、折角の貴重な休日なのに……」
「いえ……こちらこそ、前の時、後輩がご迷惑をお掛けしました……」
「あ、いいのよ。それは。あの二人がストバスに行っていたお陰で、私達で考えていた以上に良い物が撮影できたから」
「……はあ……」
「それでね、今回、あなた達が撮影でしょ? 私達で考えたのは――」
と、説明役の女性は、一枚の紙を差し出した。
そこには、簡単に、今回の撮影ポーズらしきイラストが描かれていた。
そのポーズを見た日向は、
――このポーズ……景虎さんが見たらマズいな……。
と、心の底からそう思った。
「――このポーズなんだけど、良いかしら、二人とも」
「あたしは別に良いんだけど。日向君は?」
「え、カントク、良いのか? これで」
「別に? 日向君、嫌なの?」
「俺は別に良いけど……」
――景虎さんが怖くて仕方ねぇ……。
「なーんだ。日向君、良いんじゃない。じゃ、始めましょう」
「そうね。じゃあ、二人とも、あそこにスタンバイして」
「はい」
「……はい」
リコは乗り気で、日向はへこみ気味で撮影に臨んだ。
☆ ☆ ☆
「うん、バッチリね。一発OKなんて、さすがだわ」
「有り難うございます」
――これで、黒子君達の分も取り返せたわね。
「……有り難うございます」
――コレ、景虎さんに見せねぇよな、カントク……。
リコと日向のテンションの差は一目瞭然だったのだが、日向がテンションが低い理由が誰にも分からないので、気になっても、なぜなのかを聞く人は誰一人いなかった。
だが、撮影の時だけ、普通のテンションだった(ここの切り替えは凄いと、周りの人達は驚愕していた)。
――日向君、どうしたんだろう……。
リコも勿論、気になったが、心当たりが何一つ無い。
――休日を撮影に費やしたことに落ち込んでいるのかな。
と、リコは、この時はそう思った。
「こんなに早く終わるなんて思っていなかったけど……とにかく、二人とも、お疲れ様」
「お疲れ様でした。では、失礼します。……ほらっ!! 日向君も行くわよ!!」
最後まで落ち込み気味の日向を無理矢理動かし、二人は撮影所を後にした。
☆ ☆ ☆
数日後、相田家。
「リコ――――――!!!」
と、リコの部屋にもの凄い勢いで、父・相田景虎が駆けてきた。
「ど……どうしたのよ、パパ」
実の父に少し引きながらも問いかけるリコ。
「何なんだ、この写真は!!」
「は? 写真?」
景虎が手にしていた写真を引ったくって見てみると、それは先日撮影したエンドカードだった。
「これ……この前の……」
「あいつだからと安心していたが、これは……これは……どういうことだリコ!!」
「いや、別に何でもないけど。この前撮影しただけだし」
「こいつは良くて何で俺は駄目なん――」
「誰が一緒にこのポーズで撮るかこのバスケベ親父――!!!」
「ぐはぁっ!!」
リコのパンチがヒットし、その場で気を失う景虎。
――もしかして、日向君が落ち込んでいた原因って……。
この前の彼の落ち込んでいた原因。
それが自分の父かもしれないと分かり、少し気分が晴れたのだった。
―第三話 完―
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