水嵩の理由

水嵩の理由

 ある日、父は私を呼び出して告げた。「大叔父は殺人鬼だった」と。そして、古い手紙を渡された。

『気付いたのは三人目だ。井戸に桶を放り込んで、水音まで三秒。四人目を殺った後は二秒。五人目で一秒。そうさ。得体の知れねえのが俺に迫ってやがるんだ。
 さっき六人目を殺った。まだ殺り足りねえが、井戸の底からの奴に殺られるくらいなら、俺は自分で死ぬ。
 あゝ畜生、何なんだあれは。あゝ畜生、死んだ後も殺せればいいのに!』

「その後、山間の大叔父の家辺りで土砂崩れが起きて、街は湖に沈んだ。TVで不思議な湖だとか紹介されてたが、あれは我が家の業だ」
「水嵩、年々増えてるんだってね。あの紅い湖」
 TVで観た映像に、私は独り震えた。

水嵩の理由

水嵩の理由

あらすじ: 不意に切り出された話は、大叔父の罪について。古い手紙に書かれていたのは――。 備考: Twitterで開催している「300字ss」に参加した際に書いた作品です。 お題は【かさ】。 超! のつく短編です。 割と気持ち悪い話になってるかもしれません。 さくっと読めますので宜しければどうぞ。 超備考: 新作書いたらTwitterで告知してます。宜しければ。 http://twitter.com/drawingwriting

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-15

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