壊れた音

大好きな人とのビデオ通話中、画面の向こうの笑顔が固まった。
なんだろうと振り向くと、後ろにはトモダチたちが立っていた。
さりげなく画面を隠すとトモダチにそれはそれは傷つくことを笑われながら言われてしまった。
言葉を吐かれるたびに唾が飛んで来る。それはとても嫌だったが、それを言えば傷つくのはトモダチだろうからへらへら笑っておく。
するとみんなは何を思うのか一緒に笑う。
音量ボタンの調節ができずに暴走するリモコンのように笑う。
その瞬間は確かに友達のようにも見える。

飽きればまたトモダチたちはどこかへ消え行く。ようやく静かになったと画面を向き直ればきれいな飴みたいな2つの目は静止画のように動かない。

笑い続ければ平気なように見えるはずだから口角をあげ、優しく目元を緩めたのに
大好きな人はそれを許してくれない。

「きみのトモダチはどこか壊れているようだね。君は壊れたふりをして仲良くしてあげているんだね。」

笑うことはできなかった。
くしゃりと作り上げた笑顔は崩れていった。
無機質な画面は機械的に温かい。

「どこまでも優しいんだね。大好きだよ。」

画面はプツリと音を立てた後なにも映らなくなった。

壊れた音

壊れた音

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-15

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