こい
どんな感情?
いつの間にか誰かを目で追っている。
そんな恋がしたかった。
好きって何だろう。
嫌いって何だろう。
考えても考えてもよく分からなかった。
とてつもなく退屈だったあの日。
彼のことを好きになろうと決めた。
「彼」は、お調子者で、軽口を叩くのが好き。
私のことを独特のあだ名で呼ぶ。
その声を聞くたび、心臓が波打つ。
彼と同じ委員会に入りたい。
彼と隣の席になりたい。
彼とお喋りしたい。
憂鬱だった毎日は、何となく色を変え始めた。
ああ、なんて幼かったんだろう。
ただ、がむしゃらだった。
ガリ勉だった私は、ますます周りに溶け込めなくなった。
そんなことにも、気づかないくらい子どもだった。
こい