俺今日から異世界に挑みます2

俺今日から異世界に挑みます2

紅蓮達の初のクエスト??紅蓮は無事に終わらせたいがマリーが受け取ったクエストによって?今回はハラハラドキドキ作です。どうぞ読んでください。

紅蓮達の初のクエスト。紅蓮は簡単なクエストをやるつもりだったがまたもやマリーが…今回は臨場感たっぷり

「ここはどこだ?」

俺はふと、辺りを見回す。辺り一面真っ白い。そして真上には明るく光る蛍光灯。どうやらここは病室らしい。俺はゆっくりと上半身起こす。少し重い気がするが気にしない。

ガチャ

ドアが開く音がする。俺はゆっくりとドアの方を見る。そこには

「やっと目を覚ましたのね。まぁ、あれほど派手にやらかしたんだからこんくらいはしょうがないわよね。」

あれほど派手?俺は少し前の記憶を思い出そうとする。

「あぁ、なるほど」

俺の記憶力がすごいおかげでどうやら忘れることはなかったらしい。

「ふぅーってことは、俺はどんくらい寝てたんだ?」

「数分よ」

「数分かよ!」

こいつ俺が派手にやらかして安静にしてるのに数分で起こしにきたのか?いや、あれは自分から起きたのか。まぁどちらにしろ起きてよかった。さて、今からギルドにクエスト受けに行きますか。

んんん???

あれ?立てない。身体が重いというか、いや、重いんじゃない力が入らない。俺はふと自分の足元を見る。なぜか紐でぐるぐる巻きに拘束されてる。

「な、なんだこれ?」

「あ、それはあなたが危険人物だとギルド側から認定されましたので、身動きできないようにしてるんです。」

な、なるほど。なるほどじゃねぇ、確かに危険人物にされるほどのことはしたが、別にここまでしなくても良くない?どっちにしろ寝てたんだし。

「と、とにかくこれ解いてくれ。」

「あ、無理です」

「は?」

いやいや解けよ。解かないといつまでたってもクエスト受けられねえじゃねえか。いやそもそもクエスト受けれんのか?まぁとにかくこれを早く解いてもらわんと始まらない。

「なぜ無理なんだ?」

「それは簡単です。私が不器用だから」

「そんな理由かよ!」

またツッコミを入れてしまった。はぁー疲れる。


俺らはあの後ギルドの人に解いてもらい、とうとうクエスト受注場にきたのである。


「はぁー、つかれた。てかどこだ?クエスト受ける場所は?」

「クエスト受ける場所はあそこですけど、その前にどんなクエストがあり、どんなクエストを受けるか決めなければなりません。」

なるほどな。基本的にシステムはゲームと一緒なんだな。俺はマリーの後ろを付いてく。ちなみに、マリーとは俺をこの異世界へと連れ込み俺のガイドを務める人だ。見た目は完全に悪魔だがな。

「着きましたわ」

「なるほど、ここか。」

そこには、木の板にたくさんの張り紙が貼られていた。ここも、ゲームの世界と大して変わらない見た目だな。そして、おそらく張り紙に書かれている星の数が難易度なんだろう。

「俺はどんなクエストを受ければいいんだ?」

「まぁー初めてですから、これなんかどうですか?」

俺はマリーが指差した張り紙を見る。

「は?バカなの?なぁ、今更だがお前は俺を殺そうとしてるの?」

そう。俺が今見てる張り紙は星の数が12個と圧倒的に他のより数が多い。そして星の色が普通は黄色なのに対して、これは赤色である。明らかに最高難易度の張り紙にしか見えないんだが?

「まさか。殺そうとなんてしてませんよ。あなたの実力ならこんくらい楽勝でしょう。」

「だから、俺はお前の中でどんだけ強いイメージなの?」

俺は頭を抱えてしゃがみこんだ。こんな奴と一緒に過ごしてたら俺の命もそう長くはない。そう思った。そうこうしている間にも、あいつはその張り紙を掲示板から破り取り先ほどあったクエストを受ける場所に持ち込んだ。

「おいおい、まてまて。まだ俺受けるとは決めてないぞ?」

「大丈夫ですよーいけますよ!」

だからぁーー!!こいつはなんなんだ。本当に。一緒にいるだけでこんなに疲れるのは初めてだ。俺らはクエスト受注するところの前に着く。大して長くもない行列を並び終えた後、そこには銀髪のスタイル抜群の綺麗なお姉さんがいた。

「おぉー。」

おれは思わず心の声が出てしまった。それよりも、なんだ?俺はさっきから周りの視線が痛いんだが?まぁもちろん、あんな派手な演出をしてしまったことは悪いと思うがそこまで怒ることもなくないか?そう思っていると、一人の肉つきのいい男が

「おい。お前初めて見る顔だな。」

誰だこいつ。主人公最強のゲームで必ずやるシナリオ作りやがって。俺は別に戦うつもりないからな?

「あ、俺ですか?」

俺は自然に弱そうな喋り方をする。これで、俺が喧嘩するつもりはないってのがわかるだろう。

「お前、可愛い子連れてんじゃねぇよ」

「はぁ?」

は?意味がわからない。なに、可愛い子連れてる?あぁ、マリーのことか。別に可愛い子連れて怒ることあるのか?

「なんでお前みたいなやつが可愛い子連れてるんだよーー」

「いやいや、おっさん。別に泣かなくても。」

まぁー確かに他者からしたら羨ましいかもしれんがこいつは本当に使えないんだ。もっとマシなやつがいたら交換したいくらいだ。

「紅蓮?なにしてるんです?早く手続きしますよ?」

あ、そうだった。クエストの手続きの途中だった。

「悪い悪い」

もうこんなおっさん無視して早く手続き済ましてクエスト行っちまおう。で、手続きって主になにをすればいいんだ?まぁ銀髪お姉さんのゆうとおりにしてればなんとかなるか。

「このクエストでいいんですね?」

「はい」

「ちなみに御二方は冒険のカードって持ってます?」

「冒険のカード?」

俺はマリーに疑問の視線を投げる。もちろんこれにはマリーも気付いたが、ってえぇ?こいつ、そっぽ向きやがった。いやいや、そもそも俺冒険のカードなんて今知ったんだが?こいつ知らんぷりしやがって。

「はい。そうです。レベルの書いてあるカードのことです。主に個人の証明などに使われます。」

いやいや、すいません。銀髪お姉さん。実は俺今そのこと知って持ってないっす。なんて言えるか!こんな強そうなクエスト受けに来てるのにそもそもカード持ってませんとか。恥ずかしすぎて口が裂けても言えないわ。どうすんだよ、これ


「冒険カードですか。ちょっと待ってて下さい。はい。これです。」

いやいや、マリー。あるなら先に言えよって、はぁぁぁぁ???こいつ今紙で長方形に切ってそれにテキトーに書きやがったぞ。いやこれ絶対バレるって。それになんだこれ?俺のレベル500とかこの世界のマックスのレベルいくつだよ。マリーも何気に300とか高ーし。これ絶対笑われる。俺は覚悟を決めた。だが、

「な、なんと。疑って申し訳ありませんでした。まさかあなたたちが最強のお方だったなんて。紅蓮さん?でしたっけ?」

「あ、はい。」

「この世界の最高レベルはあなただったんですね。」

んんん?いや、違います。うん。全然違います。むしろレベル1の初心者冒険者です。

「そして、お隣にいるあなたは助っ人の最高レベル300だったんですか。驚きです。こんな方々がうちみたいな中規模の場所に来て下さるなんて。」

中規模ってことは、ギルドは他にあるのか。こいつそれ俺に教えてくれなかったな。あとでたくさん説教しよう。

「さて、クエストの手続きをしましょう。このクエストの難易度はドラゴンです。」

ど、ドラゴン?難易度ドラゴンってどういうことだ?どんくらいのレベルなんだ?

「紅蓮、言い忘れたけどこの世界にはたくさんのクエストレベルがあるのよ。ちなみにこのドラゴンは上から4つ目。相当高ランクなクエストよ」

いやいやいやいや!!!!!さっき俺ならいけるとか言ってたけど普通にお前冷や汗かいてるじゃん!なにさっきの威勢は。それに、俺らを高ランクにしたせいでもう引き下がれないんだが?はぁーまぁもう受けるしかないか。

「このクエストの内容は100階ある塔のうち60階の塔で暴れまわっている鬼を倒してもらうことです。これで以上です。そしたらそこの紙にサインして下さい。」

「これでいいか?」

「大丈夫です。では、クエスト受注完了。期限は今日までです。ではご検討を祈ります」

俺らはクエスト受注の場所から離れ、塔の入り口に来た。

「やっぱでけぇーな。この塔。上が全く見えない」

「そりゃーそうですよ。100階もあるんですから。」

俺らが今いる塔の入り口は警備員が二人、そして大きな扉が構えてるぐらいだ。そして俺らは、警備員にクエストの張り紙を渡し扉を開けてもらった。

ギィィィーーー

ものすごくでかい音ともに、めちゃくちゃこの扉が頑丈だと分かった。そして俺らは中に入る。

「なぁここから60階までどうやっていくんだ?」

「えーとそこの階段を登ります。」

階段?あぁ、この螺旋階段のことか。60ってことは相当登るんだよな?鬼と会う前に疲れなきゃいいが。

そして30分後俺らは登り続けたが一向に辿り着く気配がしない。

「これ本当に着くのか?」

「わかりませんーハァハァ…もう私疲れましたわ。」

いやこいつ疲れたとか言いながら翼生やして飛んでるじゃん。絶対肉体的には疲れてないだろ。走ってる俺の方が100倍疲れてるっつーの。てか、本当にこれいつ着くんだ?そろそろついてもおかしくないんだが?

「あ、紅蓮!言い忘れてたことがあったわ。階層ごとに何階か看板に書いてあるわ。」

「お前それ早く言えー!!!」

気づかない俺も俺だが、知っていたなら先に言うべきだろ。まじで使えない。これからは一人でやるって思った方が得策だな。

そしてとうとう俺らは60階に到達した。60階層の入り口はとても暗く、奥深くまで続いている洞窟だ。

「やっぱこれ俺らくるべきとこじゃなかったんじゃね?」

俺はもうここにきてから生きてる心地がしない。いやそもそも、ここにくることになった原因はあいつのせいなんだが。それよりもこんなとこ早く出たいからな。早めに鬼というやつを退治して帰ろう。

「んでさ、マリー。モンスターとやらの姿は一切見ないんだが本当にいるのか?」

「私もこんなのは初めてです。基本的に入り口から数分程度の場所には必ずと言っていいほど小型モンスターがいるはずですのに、今回は中型モンスター区域の場所まで行ってもモンスター現れませんね」

なるほど。この塔は階層ごとにモンスターがいて、手前から小型モンスター、中型モンスター、恐らくは大型モンスターなどがいるわけだ。ということは鬼と戦うまでに敵と当たらなくていいから無駄な体力消耗がないってことか。それはそれでラッキーだな。

「ん?洞窟の奥行ったらこんな大きな扉が待ち構えてるのか?いや、これ完全にボス部屋だろ」

「あ、もうついたのですか。敵と遭遇しなかったから全然つかれてませんね。さぁ、とっとと入って帰ろう!紅蓮」

いやいや、戦うのは主に俺なんだが??俺が戦わなくてお前が戦ってくれるなら話は別だがな。まぁそんなことも言えるわけなく俺は渋々この大きなドアに手をかける。そして手前に引く。

ギィィィーーーーガシャン

大きく開いた扉の奥には椅子に偉そうに座っている赤い鬼がいた。

「あいつが今回の討伐相手か。」

「あんな敵早く終わらせますよ?」

「馬鹿野郎めちゃくちゃ見た目強そうじゃねぇか」

こいつは怖いもの知らずなのか?大きな鎖を首から下げ、手には金棒と行ったごく普通の赤鬼だが、目の当たりにするとめちゃくちゃ迫力あるからな?身長はおよそ4メートルはありそうで、金棒にはべっとりと血?あれは血なのか?まぁいい。そして、何と言っても目がめちゃくちゃ怖い。なにあの目、絶対さっきこいつが早く終わらせるとか言ったせいだな。でも、ビビっててもはじまんねぇ。俺の持てる力を全て使い切って倒してやる。

「俺は早く帰りたいんだー!!!」

俺は足の回転数を最大限まで回し直進する。もちろん目に見える速さだ。だから簡単に金棒でロックオンされてしまう。

「紅蓮避けてーーー!危ない!」

「んなことわかってるっつーの。俺はわざと相手にロックオンさせたんだよ。」

そう俺はわざとロックオンさせた。そして、この鬼が金棒を振り下ろした時、俺はすぐさま右に重心をずらす、そしてそのまま両足で地面を思いっきり蹴り飛ばす。相手は今更金棒を方向転換できるわけもなく思いっきりなにもない地面に叩きつける。そして俺はその間に相手の後方に回り込む。俺はその場で足に力を込め高々とジャンプする。さっきのギルドの時みたいに飛びはしないがこの鬼の数倍上へとジャンプする。そして落下とともに今日買った新たな剣を背中から抜き出し剣の先に重心を置く。そして、俺は真っ直ぐに鬼の頭上から突き刺すはずだった。いや、もうギリギリまでできていた。だが、この鬼がいきなり先ほど空いていた左手を頭の上に置き俺は思いっきり鬼の左手に刺してしまい簡単に捕まってしまった。

「いやー。短い人生だったなぁ。せめて彼女の一人や二人は欲しかったなぁ」

「あ、あっちゃーー。もう紅蓮捕まっちゃったかー。ここは私の出番かな」

カチーーン

あっちゃーじゃねぇーよ!最初から手伝えやー!!!!!そのとき太く透き通る声で

「少年ども我に戦いを挑んだのは勇敢であったな。だが、今のお前らでは我に勝てん」

こ、この鬼喋れんのか…鬼が喋るのはべつに違和感ないんだがこの強面が喋るのには少し抵抗が…というか普通にいい声だし。

「また出直して来い!」

鬼はそう言って左手に捕まった俺を思いっきり壁に向かってぶん投げだ

バァァァァン

大きな音とともに俺は壁に埋め込まれた。イテテッ元々体が頑丈だったからあまり重症は負ってないが流石にこんなの食らったら痛い。

「紅蓮の代わりに!私があなたを倒します」

「威勢のいい娘だ。少しは楽しませてくれると期待するよ」

マリーはそう言って大きな黒い翼を出す。そしてバサっと飛び立つ鬼は飛んでいるマリーが珍しいのか見とれてるようだ。そしてマリーは右手に持ってるあの速剣で、鬼に向かって突き刺す。だが鬼もそんなに簡単にはささせてくれない。そのまま鬼はマリーの速剣を見切り、左手で速剣を掴む。

「あちゃーー。あいつ俺のために戦うとか、かっこいいこと言いやがって相当あっさり捕まってんじゃん」

「ふふ。なめてもらったら困りますわ。見てなさい私の強さを」

マリーはそう言って剣を離す。それには鬼も驚いたようで

「いや掴まれてなにもすることができないのは知っているが、それ手放すってことは俺と素手でやり合うのか?ふっ無謀な」

「笑っていられるのも今のうちかもね」

おい!マリーお前喧嘩売りすぎだろ。さすがに俺もこの状況下でお前が勝てるとは思ってない。マリーはまた大きく翼を広げ鬼との距離をとった。そして、マリーは何かを言い始めた。

「出てきて私の剣たち。あの鬼に向かって飛んでいきなさい」

いやいや、なに言ってんだ?こいつ周りには剣なんてなにも……っておい、マリーの周りにはいきなり異世界空間のようなものができ、そこから無数のそして様々な種類の剣が出てくる。それが一斉に鬼に向けられ

「準備はいい?さぁ行っておいで!」

その掛け声とともに無数の剣は鬼に向かって飛んで行った。

バァァァァン

「グァァァァァ」

鬼の悲鳴とともに辺り一面灰色に包まれた。そして、数分後、やっと視界が良好になっとき、鬼はその場で倒れてた。ま、まさかな。マリーが倒したのか?俺の出番なんてしょぼすぎだろ。こんなんギルドで報告するとき一瞬でやられましたとか恥ずかしすぎて言えねぇーよ、俺はその場で立ち上がる。そしてマリーのもとに行こうとしたとき、

「なかなか楽しませてもらったぞ。そろそろ本気出させてもらう」

いやいや、お前今倒れてたじゃん。別に本気出さないでそのまま倒れててくれ!鬼はそういうと、金棒を自分の口の中に入れた。

「ま、まさかな」

そして鬼はごくごくと金棒を飲み込んでいく。俺はふと気づいた、あいつの金棒についてる血って自分の血なのか?鬼は血をその場で吐きながらもなんとか全てを飲み込む。

「まだまだこれからだ。よくみとけ若造ども」

「マリーいまのうちやっとけ」

俺は率直に行った。たいていの場合ここで鬼の様子を見るけどそんなことしてられない。いやこれで強くなって勝てなくなるとか元も子もないからな。今のうちに倒すべきだ。ん?マリー?お前俺の話が聞こえないほど鬼に興味津々じゃねぇーか!こいつ、ほんと子供みたいだな。
そうこうしている間にも、鬼は完成したらしく体中が赤から青に変わっていた。ほらめちゃくちゃ強そうじゃん。マリーいけんのかよ。

「私はあなたがどんだけレベルアップしようと私には関係ない。だって私にはこの子たちがついてるから」

まぁー剣が周りに浮いてますけども、、さっきのチャンス見逃したんだから勝てるかわかんねぇーぞ?

「ふっ。大口叩けるのも今のうちだ。さぁーどこからでもかかってくるがいい」

マリーは鬼の裏手に回る。そして一気に剣を出す。その全てを鬼に向かって発射させる。だが、鬼は片手で薙ぎ払う。全ての剣が曲がったり折れたりと、無残な状態で地面に落ちる。こいつめちゃくちゃつぇーわ。俺はそう思った。そして鬼はマリーがショックを受けてる間に右手で拳を作りマリーに殴りかかる。

「おい、マリー!しっかりしろ!」

俺は大きな声を出す。だが、相当ショックなようでなに一つ動こうとしない。そしてそのまま鬼の拳がマリーにあたり地面に深い穴ができた。

「くっ…」

俺はマリーの分もやってやると思い、その場から駆け出す。鬼はそんな俺を見ないで何度もなんどもマリーがいる地面を叩いていた。

ドッンドッン

そしてたまに聞こえる悲鳴。俺は自然に声が出てしまった。

「やめろぉぉぉぉおおおー!!!」

「ん?なんだお前はこの娘と同じようになるか?」

「ふざけんなよ。マリーはもう倒れてる。それ以上殴る必要がどこにある」

俺は心の中の本音をぶちまける。なぜかわからないが心の奥で怒りが生まれる。

「そんなのは簡単だ。坊主教えてやるよ。楽しいからだ。」

そう言ってこの鬼はまた殴り始める。俺はもう耐えきれなくなった。目の前でパートナーがやられてるのをみて心の底から怒りが生まれた。そして、俺は無意識に両足が動いた。今までで一番早い速さで青鬼に向かった。

「このクソ野郎!!!」

俺は怒鳴った。そして、青鬼は右手の拳を俺も右手の拳を握り互いに拳を激突させた。

ドカァァァァァン!

周りの壁に亀裂が入るほどの激突だった。そしてもちろん。互いに無傷ではなく右手を骨折させたりと相当な力の交じり合いだった。俺はそれでも怒りが静まらなかった。自分でもなぜかわからないがこの鬼を早く殺したいと思った。

「坊主なかなかやる。俺も今回は流石に痛かった。だがお前もただでは済まなかったはずだ。」

「うるせぇ!そんなの知るか!それに俺は坊主じゃねぇーーー!」

最後の言う必要あったか?と自分でも思ったが今はそれどころじゃない。俺はすぐさま、右に走る。もちろん鬼も放っとかず、俺を目で追う。俺は鬼が目で追う速さよりも速く速く!その一心で走った。いつの間にかものすごいスピードになっていた。鬼が目で追うのをやめタイミングを見計らい始めた。俺は背中に背負っていたあの剣を抜き取る。そして、その場で急ブレーキをかけ走るのをやめる。俺の速さで流れていた風が一気に壁に当たる。そしてその壁が破壊された瞬間周りは破壊されたかべの残骸で視界を失う。俺は目を瞑りこの大剣に力を込める。そして一言。

「なぁ、俺のために力をくれ」

俺もなんで言ったかわからないが無意識に口から出ていた。剣はその言葉を受け取ったかのように黄色く光る。そしてその黄色は赤色、青色へと姿を変えてく。最終的には黒く染まる。おそらく全ての色が混ざったからなんだと思う。俺はこの漆黒の剣に全ての力を込める。そして最後にこの鬼を殺したいと言う殺気を込め一薙ぎする。

ズバァァァァァァァァン

この瞬間この空間内の空気が半分に割れた。そして、何もかもを貫いた。この部屋の壁も、塔の壁も、そして青鬼さえ。俺はついにやったんだと思った。だがその頃にはもう意識は薄く立っているのが限界だった。

「紅蓮?ねぇ!大丈夫?しっかりして!」

俺はうっすらと目を開ける。そこには今にも泣きそうなマリーの姿があった。

「あぁ、マリーか。倒したぞあの青鬼を。」

「そんなの今はどうでもいい!」

鬼を倒したことは今はどうでもいいのか。笑っちまうぜ。俺は体の限界を無視してまで動いてたんだろう。もう相当疲れ切った。さっき鬼と拳を交じり合わした時のせいか、俺の腕は完全に折れていた。どうやら右手の動脈を切っているようで出血量もすごい量となっていた。俺は本当にこれで終わりなんだと心から思った。

「マリー俺は普通に楽しかった。現実世界では味わえないことを味わった。感謝す…」

俺は最後まで言い切れず目を閉じた。


2:同じ天井


数時間後。俺はまた同じ天井を見た。あの真っ白い天井。辺りを見回しても白。そしてドアがまた開く。

「紅蓮!大丈夫???もう平気なの?」

「マリーか。心配しすぎじゃないか?こう見えても体は丈夫なんだぞ?」

「本当に良かった。」

「お、おい?マリー?」

いきなりマリーは泣き出した。俺にはこういう乙女心はよくわからないが、こういうときはそっと優しくするべきだと思った。そして俺はそっとマリーの頭に手をやった。子供をあやすかのように。

「俺は死なないし負けない。」

「うっうん。分かってる。だって紅蓮は最強だもんね」

こいつこんな奴だったけ?まぁいい。こーゆうのは深く考えるだけ無駄だ。俺はマリーが泣き止むまでそのままにしてあげた。

そしてマリーが部屋から出た後、俺は例の剣を見た。あのときは漆黒に輝いてた剣は今や普通の剣と何も変わらない色をする。俺は興味本位で話しかけて見た。

「ありがとな?お前のおかげで助かった。でもこれからも力を貸して欲しい」

俺は心から思っていることを言った。すると、どこからか

「あぁ、俺のおかげなのは知っている。まぁこれからもお前に力を貸すのは嫌ではない。」

ん?なんだ?どこからだ?俺は声の主の方向を見る。こ、この剣喋んの?いやいや、そんなわけがない。どっか変なとこ打ったかなー?

「いやいや、だから俺が喋ってるんだって。ほら目あったじゃん」

「お前目ないから一生目合わせられないわ!」

俺はついついいつもの癖でツッコミを入れてしまった。剣が喋るとは誰も想像していなかっただろう。それになんかこの剣生意気だし。

「まぁ確かに?お前のおかげで助かったけど。別に全てが全てお前のおかげとは思ってないからな?」

「あの薙ぎ払いをみてもいうか?」

「むっ」

確かにあの威力は完全にこいつのおかげだ。まさか空気まで切るとは思ってなかったが、あまりのほか威力が強すぎてこの部屋の窓からでもどこかの階層に少し穴が空いてるのがわかる。まぁーおそらく60階だと思うけど。俺はまた剣と向き合う。

「なぁ、お前の力ってなんだ?」

俺は素朴な疑問を剣に問う。

「それはこっちのセリフだね。俺の力は何もかも両断する能力。だけど、あの威力は俺だけの力だけじゃ到底できない。一体君はどんな能力を持っているの?」

すまんが、それは俺もわからん。なんてことも言えるはずもなく。俺は適当に俺に使われていくうちにわかるさ。とはぐらかしてしまった。まぁ実際そうなんだけどな。そうこうしている間にまたドアが開く。今度はナースの可愛いお姉さんが来てくれた。

「おいおい。いくら可愛いからって鼻の下をそこまで伸ばすか?」

「ばっ。伸ばしてねぇーよ。てかお前本当に目あんのかよ?」

ナースは俺に近づくと

「体調はどうですか?」

と、問う。

「おかげさまでよくなりました。」

俺がそう答えると

「それは良かったです。今ギルドの方で紅蓮さんの報酬についての話し合いをしてるのでこれそうでした来てください」

そう言い残して部屋を出てってしまった。くそー!!!連絡先聞いとけば良かった!俺は今更ながらに後悔をした。それにしても俺はあれほどの怪我を負ったのにもうピンピンしてる。塔に登る前と変わらないくらいだ。ここの医療は凄いと感心させられてしまった。

「さてと、お金の話し合いらしいから俺が行かない理由はないな」

俺はそう言って部屋を出た。
ギルドのクエスト受付場には、クエストを受けた時と同じ銀髪少女と、黒い服装の男がいた。もちろんその近くにはマリーもいる。俺はそっと近づいて話を聞く。

「だから!なんで今払えないの?そんなにここのギルドはお金がないんですか?」

「ですからマリー様、あなたたちの功績はとても素晴らしいものです。しかしながらその報酬の額があまりにも大きすぎでこの中規模ギルドではとてもじゃないけど払いきれません」

「嘘は良くない!だってあそこにあるじゃない、」

「あれは、他の冒険者たちにも配るぶんです。」

なるほどな。俺らの活躍が素晴らしかったものでそれに対する対価がここにはないと言うわけか。まぁそれはしょうがない。俺はそっとマリーの襟首を掴み、俺の後ろに引っ張った。

「なにすんのよ!」

「お前はそこで大人しくしてろ」

俺はそう言うと黒い服を着た男と話す。商談は得意なわけじゃないが決して苦手というわけでもない。俺は

「今払えるぶんだけ払ってもらえることはできないんですか?」

「それならできますけど、紅蓮様たちは他でも稼いでいらしてるから今そんなにお金が必要なわけじゃ」

いや、これが初めてのクエストなんです。なんて言えない!500レベルと公表された俺がこのクエストが初めてとか言えない!

「まぁー確かにそうなんですけど、今日の所持金があまりなくて。今日はぱっと打ち上げでもしようかと思っているのでそれなりにお金が欲しいんですよ」

「なるほど。わかりました。今払えるだけ払います。なので少しお待ちください」

良かったこの男の人が話の通じる人で。俺の助っ人とは違って物分かりが大変よろしい。そして俺らは今払えるだけの金を受け取りギルドを後にした。

「あ、あれって。」

「あぁ、あいつらだ。500レベルのやつと300レベルのやつらだ」

「いうほど見た目強そうじゃないな」

「馬鹿っ!聞こえたらどうすんだよ」

いやいや、君たち?普通に聞こえる声で話してますよ?これわざとなら今から喧嘩します?今の俺なら負ける気しないけど。まぁ確かに今の見た目は強そうには思えないな。だって、駆け出し冒険者と同じ格好をしているんだから。

「なぁマリー。防具はどこに売ってるんだ?明日この金で防具買いたいんだけど」

「まぁー思い当たるところはありますがあまりオススメしませんよ?」

こいつの選ぶ店は確かにいい品物が売っているが、見た目が見た目でマイナーすぎるんだよ。いちいち。オンボロの店だったり、これ、もう閉まってるんじゃねぇ?って思うほどのとこだったりと。

「まぁ別にいいよ。今は防具が欲しいから」

俺はそういい、多少の金を受け取ってから、宿に向かう。宿と言っても周りよりかは少し豪華な感じだ。まぁ日本で言うところのホテルに近い感じかな。俺らは軽く夕飯を済ませ部屋に向かう。

「ん?てか今俺思ったんだけど鍵一つしか持ってないんだが?同じ部屋で寝るのか?」

「あ、部屋二つ借りるの忘れてました。」

「馬鹿やろぉぉぉぉ!」

いや、待て。これはこれで普通にいい。いや逆に運がいいんじゃないか?普通に見てくれだけは美少女のこいつと同じ部屋で泊まれるんだぞ?それにこの宿はベッドは1つということは………俺は少し興奮気味に部屋に入る。中は日本のホテルと大して変わらない間取りだ。俺は今日流した汗を全部洗い落とすためすぐさま風呂に入った。

「はぁー安らぐ。」

この風呂の明かりは動くものに反応して付くタイプのやつらしい。俺はそうとも知らずその場で寝てしまった。

ガチャ

俺は目が覚め音がした方向に目を向ける。まさかとは思うが…俺の予想は見事的中した。そしてあいつが入ってきた瞬間に明かりはあいつに反応しこの場を照らした。

「なぁっ」

「あっ」

俺らは互いを見つめあった。そしてそのまま数秒相手の体を見た後意識を取り戻した。そして俺たちは盛大に叫んだ。

「なっなんで紅蓮がいるのよ!明かりは消えてたはずなのに」

「いやいや、寝てたんだって。マリーも俺の脱いだ服に気づかなかったのか?」

「なっ」

ほら!今回は俺は悪くなかったな。ざまぁーみやがれ。

「でもっ!寝てた紅蓮が悪い!」

バチーーーン!

風呂の中に盛大に響き渡ったビンタの音。あの後おれは、頰に冷えピタを貼り何故自分が怒られなきゃならないのか考えていた。でもやっぱり布団の中は落ち着くな。おれはそう思い寝ようとした時、

モサッ

隣にマリーが入ってきた。あ、そうだ。この部屋ベッド一つだけだったんだ。そして唐突に

「紅蓮。今日はありがと。私のためにあんなことまで言ってくれて。」

マリーがまさかこんなこと言うとは。おれは少し照れくさくなり頰をかいた。

「あ、そういえばマリー。お前あの後なんであんなに平気だったんだ?」

「それは、最初の一撃で地面の奥まで入ってその後の攻撃は一切私に当たらなかったからよ。もちろんその間の紅蓮の告白は聞こえてたけどね」

「いやいや、どう捉えればあれが告白になるんだ?」

こいつは本当に馬鹿なのか。まぁいい。今日は疲れたしもう寝ようと思った。

「おやすみなさい紅蓮」

「おやすみマリー」

俺はこの一言を交わしたせいで一睡もすることはなかった。


窓からの眩しい光がこの部屋を明るく照らす時、俺らは身支度をしていた。

「よし!今日も1日頑張るぞ!」

なぜ俺がこんなにもやる気があるのかというと、今日は俺の防具を買いに行く日だからだ。前の戦いで俺は防具がないせいでダメージを受けてしまった。だから、今日はダメージを受けないためにも防具を買いに行くのだ。

「マリーまだー?」

「なんか今日は随分と張り切っていますね。そんなに防具が欲しいんですか?」

「そりゃーそうだろ。男のロマンだからな」

恐らく男は一度は通る道だと思う。剣や防具に憧れる時がくることは。そして今日俺は今回の防具をマリーに案内してもらうつもりだ。マリーの勧める店は見た目があれでも店内の武具の質はいいと思う。そして俺らはこの宿を出て防具屋を目指す。細い路地裏を通り人気のないところを歩く。

「なぁ、、お前が勧める店って客いるのか?」

俺はふと疑問に思う。毎回思うがこいつが進める店って客が少ないんだよな。それに今回はそこに着くまでの道が人通りが少なすぎて、不人気な店なのか心配してしまう。

「今日の店はたくさんのお客さんがいる大きい防具店ですわ」

ほんとかよ。こんな人通りの少ない道をわざわざ通るツワモノがいるのか?そして俺らはその防具店に着く。

「おぉ。」

無意識に感激の声が漏れてしまった。こいつが今までで初めて見てくれがまともな店に連れてきてくれたのだ。

「今私が初めて見た目がまともな店に連れてきたとか思っていたんでしょ?」

「なっ……」

マジでこいつやばい。怖すぎる。こいつ思春期の敵だ!そろそろ心を読む力をどうにかして失わせねば。俺はそう勝手に自分の中で決意する。

「それにしてもここでかいな。何階建てなんだ?」

「ここは防具だけではなく、アイテム、武器、家具など全てを取り揃えてる場所ですわ。多分だけど20階ぐらいあった気がします」

こんなすごいとは……見た目は完全に東京のビルと同じ形だ。そして入り口から受付までの隅々までお洒落だ。それとともに俺は、この店の商品は高いだろうと予想する。俺は右手を懐に入れ、自分の金の量を確かめる。

「チャリ」

なんとも悲しい音なんだ。あんなに昨日頑張ったのに、二つのコインが混じり合う音しかしない!こんな高そうなとこで、俺みたいなやつは来ちゃダメだ。俺はそう思い引き返そうと後ろに振り向く。

「心配しなくていいわ紅蓮。昨日の報酬でたくさん手に入ったから。」

「お前どうやって貰ったんだ!」

俺は突っ込む。昨日はあのギルドの人間たちは金が払えないとか言ってたくせにこいつはどうやってそのギルドたちから金をもらったんだ。まさか、脅したのか?もしそうだったら今日の帰りにこいつを謝らせよう。

そして俺らは店内へと入る。

「なぁ、防具は何階にあるんだ?」

「えーと確か12階です」

俺らは高級感溢れるエレベーターに乗り12階へと向かう。そしてドアが開いたと同時にそこには200人は超えるくらいの人がいた。

「本当にたくさん客がいるのか」

「まさか疑ってたの?」

「まぁ少しな」

「最低」

そんな軽い会話をしながら奥へ進む。店の中の防具は全てガラスのケースで覆われていた。値札はブランド店によくあるような形で三角柱の黒に金色で値段が書かれている感じだ。俺はまだこの世界の金銭感覚は掴めてないが、俺でもこの店の商品が全て高いとわかる。

「本当に買えるのか?こんな高そうなとこで。」

「もちろん!昨日の報酬ならなんでも買えますよ」

本当に大量の金をもらったんだな。ギルドの受付のおねさんたち本当すいません。俺は心の中で謝る。さすがにこの金は全て使えない。少しだけ今日は使わせてもらってそれ以外はギルドに返そう。俺はそう思った。

「紅蓮!!!こっちきてちょうだい。あれ見て!あの防具絶対いいわよ!」

「なんでお前が俺よりも張り切ってんだ?」

「そんなの簡単です!防具は男のロマンですから」

こいつ、女だろ?いやまさか男だったりして。いやそんなことないか。それに朝、俺になんでそんな張り切ってるの?とか言ってきたのに。それにしてもこの店は広いな。周りの客たちはみんな金持ってんのか?見てくれは俺らと変わらない駆け出しの冒険者にしか見えないんだが?こいつらはどこから金を手に入れてるんだ?俺と同じようにクエストなのか?まぁいい。今は自分の防具を探そう。

「ねぇ紅蓮!これとこれどっちがいい?私的にはこの赤い防具もいいけどこの黒い防具も捨てがたいんだよね」

だからなんでお前がそんなに張り切ってんだ??俺はマリーを無視し適当に辺りを見渡す。なんかいい防具ないかなー。なるべく安めのそしてかっこいい防具がいいかな。

「ねぇ紅蓮?聞いてるの?あ、これはどう?値段は少し奮発するけどとても強そうよ?」

俺はマリーを完全に無視し店内を歩く。そして店の角に在庫処分と書かれていた防具があった。値段も周りのものと比べると二桁か三桁安い。色は俺の名前の通り赤く、少し黒が入っている。見た目も悪くないな。

「ま、まさか紅蓮?そんな安い売れ残りの防具買うの?それにこれ、誰が作ったか不明って完全に危ないじゃん!防具ってのは自分の体を守るためのものなのよ?」

「んなのわかってる。だからこそ俺はこれにするんだ」

自分でも何言ってるかわからないが、俺のノルマに達成してる防具はこれしかない。見た目も悪くなく、安い。それに、元はといえば、こいつのせいで安いものを買うんだからな?あとでこいつには常識ってものを叩き込まないとな。俺がそう思っていると、隣の冒険者たちが少し大きめの声で

「なぁー今日さクエストの報酬もらいに受付行ったの。そしたらさあの銀髪姉ちゃんがさ今月一杯クエスト報酬を払うことができませんとか言ってよ。ほとんどの冒険者が金欠になったんだよ。本当誰だよ。こんな時期に金全部持ってくやつは」

やっぱみんな銀髪姉ちゃんってゆうんだな。いやいや、そうじゃない。本当すいません。あとで叱っておきます。

「あ、それ俺も聞いた。今月払えなくなったらしいから冒険者たちも金が手に入らないしそのせいで商店街での売り上げも落ちるってな。俺の親の店潰れちまう」

本当すいません。潰れそうになったらいくらでも金やります。俺は申し訳ない気持ちでいた。そして、それと同時に元凶である俺の隣にいるこいつを睨む。

「ん?紅蓮どうしたの?そんな怖い顔して」

こいつ、あとで本当に叱ってやる。俺はそう心に決める。そして俺はこの安い防具を買うために店員を呼んだ。

「あのーこの防具欲しいんですけど」

「この防具でいいんですか?」

「はい」

そして店員はガラスの鍵穴に鍵を差し込み、なぜかそのままの状態で止まる。そして数秒の沈黙が流れ

「どうしたんすか?」

俺は問う

「いやーお客さん。この防具はですね、誰が作ったのか分からないんですよ。ですからこちらで保険なども取り扱えないんですよ。それでも本当にいいんですか?もっといい防具ならあちらに」

「あ、大丈夫です。俺それ気に入ったんで」

本当はもっとかっこいい防具が欲しかったんだよ!!!!!もう決めたんだから心変わりする前に早く買わせろ!!!!俺は心の中で怒鳴る。

「そうですか。わかりました。」

おい、やめろ。そのおかしな奴を見た時の目をするのは。別に俺は好きでやってるわけじゃないんだーー!!そして店員は鍵を回す。ゆっくりとガラスは開き中から防具を取り出す。よほど売られてなかったのか埃があちこちについていた。そして俺はその場で決算し、防具を持ってエレベーターに乗った。

「ねぇ紅蓮?なんでそんなに無視するの?私なんかした?」

「無自覚とはな……お前にはあとでたくさん言うことがある。とりあえず残ってる金を全てギルドに返しに行くぞ」

「い、いきなりどうしたの?紅蓮?これは私たちのお金なのよ?返す必要なんてないはずよ?」

「その金を手にしたせいで大勢の冒険者が困っているんだよ!」

そうこうしている間に店の入り口までついた。その時いきなり背中に背負っていた剣が

「おい、紅蓮。その防具どうやって手に入れたんだ?」

「いや普通に今買っただけだけど、それとお前喋るの急すぎて心臓に悪いんだよ」

「悪りぃ悪い。その防具から強い魔力を感じたものでな。だがそれは俺の勘違いだったのかもしれない。」

「強い魔力?」

俺は疑問に思う。こんな安い防具で誰が作ったのか分からないものが強い魔力を出しているのか?そんな訳がない。と俺は思った。

「まぁいい。とにかく俺も紅蓮に賛成でその金は返したほうがいいと思うぞ」

「うそーーー!私たちの金がーーー」

「お前なぁ…」

俺は心底呆れる。こいつは自分がよければ全て良しとか思うクズ人間だ。いやクズ悪魔だ。そして俺らはギルドに着く。ギルドの中ではたくさんの冒険者たちが下を向いて暗い雰囲気がギルド内に流れていた。本当に申し訳ありません。俺はこれ以上にない反省をした。なぜ俺がしなきゃならないんだ?俺は疑問に思うが、今はそんなことよりもこの金を返さねば。そして受付のお姉さんの目の前まで行く。

「あのー。昨日こいつが報酬を無理やり受け取ったらしいんですけど、今日はそれを返しにきました。」

俺がそう言うと、受付の人は目を丸くして驚いた表情で、

「本当ですか?ありがとうございます。これで他の冒険者たちに報酬が与えられます。 今日返してもらった報酬金は後日しっかり返しますので、安心してください」

「いや、もうそれあげます。」

俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。だからこの金をもらうことに抵抗があったのだ。本当は欲しいかったが。すると、またこいつが

「紅蓮!何を言ってるの?それは私たちの報酬金なのよ?なんでそれをあげちゃうの?」

「お前はいいから黙って冒険者たちに頭を下げろ」

俺はそう言い、マリーの頭を掴み冒険者たちに向かって頭を下げた。ここの冒険者たちはみんな優しく、

「別に気にすんな」

とか

「金が手に入るなら言うことねぇーよ」

とか温かい言葉を送ってくれた。なのに、隣にいるこいつは頭を下げたくないのか未だに抵抗してくる。俺は少し指に力を込めた。

「痛い痛いいぃ。ごめんなさいーもうしませんからー」

ったくこいつは。そして俺らは一通り冒険者たちに謝った後受付のお姉さんの方を向く。

「このお金本当に受け取っても大丈夫ですか?」

最終確認されると……まぁ確かにその金は返すべきだ。だが、この金を返したら俺は一文無しに。いや、まて、これからクエストをやって稼げばいい。だが、また大変な思いをしなくても……もういいや!俺は勢いで

「大丈夫です」

言ってしまったー。くそー!金欲しかった!!!!まぁ今更後悔しても意味ない。俺はそう思い、そして俺らは金を渡し受付を後にする。次に俺らが向かった場所は掲示板だ。新しい防具を手に入れたら普通は試したくなるようなものだ。俺は一通り掲示板を見る。

「んーこれといったクエストがないなー。」

俺はふと心の声を漏らす。するといきなりマリーが

「これにしましょ!」

そう言いまたすぐクエストの紙を掲示板から破り受付に向かった。

「おい!待て待て待て待てぇいいいい!」

俺は声を張り上げる。あいつはまたすぐ勝手にクエストを決めてやがる。そして、そのクエストは恐らく最高難易度のやばいクエストなんだろうと俺は思う。

「はぁ…」

俺は深くため息をつき、それと同時にこいつには何を言っても無駄なんだと実感する。

「ねぇー紅蓮?早くきてよ!」

俺はマリーの言われるがまま受付に向かう。そして受付のお姉さんからのクエストの手続きが始まる。

「今回のクエストは、えっとー。こんなクエストでいいんですか?」

ですよねぇー。めちゃくちゃやばいクエストですよねぇー。って今こんなクエストって言わなかったか?こんなってまさか、

「あのーそのクエストの難易度ってどんくらいですか?」

「えーと初心者用のクエストで星は2です。階層は5階層です。」

ん?何その簡単なクエスト。こいつがそんなクエストを選ぶとは思わないんだが?受付のお姉さん見間違いとかないっすかね。俺は疑いの目をやるが、どうやら間違いではなさそうだ。そして俺はなぜマリーがこんな簡単なクエストを受けるのか聞く。すると

「もちろんそんなの決まってるじゃない!この報酬が家具だからよ!」

「いや、より一層意味わかんねぇーよ!」

俺はツッコミを入れる。なんで家具なんかが欲しいんだ?家でも立てるつもりか?そんな金もないのに。

「ちなみにその家具はあまり出回ってないから高い価格で売れるのよ。特に初心者には」

「結局金目当てじゃねぇーか。それに初心者にはってそれ完全に詐欺だろ。」

俺はまたもやツッコミを入れてしまう。こいつはロクなこと考えない。そう俺は思った。そしてクエストの受付も終わらせまた、塔の中に入る。大きな扉を開き、階段を登る。今回は5階だからすぐにつき、

「ここが5階層か。」

そこはあたり一面氷で囲まれていた。暑さにも寒さにも動じない俺でさえここの寒さは辛かった。吐く息も白く鼻水も凍るほどだ。

「随分とここ寒いな。何度くらいなんだ?」

俺はマリーに問う。するとマリーは

「多分マイナス20度くらいだと…」

めちゃくちゃ寒いじゃねぇーか。なんでこいつはそんなに平然にいられるんだ?俺は疑問に思うが、数分後こいつは体を震わせ

「なんでここはこんなに寒いの??」

「それは俺が聞きてぇーわ!」

ついつい突っ込んでしまう。そんなやりとりを終え、俺らは討伐相手を探す。受付の人は確かゴブリンとか言ってた気がする。俺らはゴブリンを探しに歩き続けた。そして数分後、奥の方から2.3体のゴブリンが走ってきた。

「あいつがゴブリンか。相変わらず弱そうだな。」

俺はそう思い背中から剣を抜く。そして、一体ずつ薙ぎ払っていく。剣のリーチは俺の方が上なので相手の攻撃が当たる前に、相手は消滅する。そして全てのゴブリンが消えた。

「簡単なクエストだったな。そろそろ帰るか。」

俺がそう行ったそのとき、氷の地面がいきなり揺れ始めた。そして5階層の中央に小さい亀裂ができる。それが徐々に大きくなっていき、奥の方の氷が盛り上がる。

ドドォォーーーン

大きな音とともに、奥の方の氷が高く吹き飛ぶ。そしてそこには5メートル以上もあるゴレームが出てきた。全身灰色の現実世界のゲームでよくあるゴーレムの姿だ。ただ、一つ違うのは明らかに体の肉つきが異常に発達していることだ。見た目からこいつの筋力はやばいと俺は判断した。

「なぁ、マリー逃げる準備できてるか?」

「何行ってるの?紅蓮。こんな美味しい相手が出てきたんだからやるしかないでしょ!」

マリーはそう言い巨体のゴーレムに立ち向かう。そしてマリーはまた自分の周りから剣を出し、その剣をゴーレムに向かって飛ばす。だが、ゴーレムに当たった剣は無残にも折れてしまった。

「お前やっぱ弱いな。」

前から薄々気づいていたが、こいつの出す剣は数は多いもの一発一発が弱すぎる。はぁ…早く帰りてぇ。俺はそう思いながらも剣を握りしめゴーレムに向かって走り出す。ゴレームは俺に向かって拳を握り殴りかかりにくるが俺はゴーレムの拳を避けその腕を切り落とす。

「ふっ。大して強くないな。」

俺はそう思った。だがその瞬間、俺が切り落とした腕がゴーレムの方に飛び、また体とくっつく。

「こいつ、再生可能なのか?てか、そうだとしたらどうやってた倒せばいいんだ?」

俺はそう思う。そしてマリーに向かってどうすればいいのかと問う。するとマリーは

「頭でも切り落とせばいいんじゃない?」

こいつ簡単そうに言いやがって。俺はそう思い、ゴーレムの方を向く。するとゴーレムはまた拳を作り殴ろうとする。

「やっぱこんだけの巨体だと鈍くなるもんだな。」

俺はそう一言残し軽くステップを踏み攻撃を避ける。そして氷の地面を叩いたゴーレムの腕に乗り頭の方まで行く。もちろんゴーレムの動きは鈍いから簡単に頭の方まで来れた。そして俺は腕に力を込め頭を切り落とす。

「これで本当にやられるのか?」

俺はそうマリーに問う。だが返事はなく、ゴーレムの頭は即座にまた元の位置に戻ってしまった。こいつ本当の不死身じゃねぇーか。俺は心の中でツッコミを入れる。

「マリーこいつどうやったら倒れるんだよ」

「今調べてるからまって!」

なんでこいつ半ギレなんだ?こいつ俺の助っ人じゃないのか?普通こいつの倒し方知ってて当然だよな?それにこいつと戦うと決めたのはマリーなのに。俺は様々な愚痴を心の中で呟く。数秒後マリーが

「分かったわ!こいつの倒し方は両腕、両足、頭全てを胴体から切り離したあと胴体を八つ裂きにすればいいのよ!」

いやいや、それ無理ゲーじゃねぇーか!胴体から切り離せたとしてもその胴体を八つ裂きにするのは流石に初心者の俺じゃ無理だぞ?俺はそう思う。だが、無理だと思っててもやらなければ始まらない。俺は深く息を吐いたあと、足に力を込めゴーレムに向かって一気に加速する。またもやゴーレムが殴りかかってくるがそれを避け、まずは両足を一振りで切り落とす。ゴーレムは両足が切断されたことにより地面に倒れる。ゴーレムは両腕で立ち上がろうとするがその両腕をまたもや一振りで切り落とす。だがそれと同時にゴーレムの両足は体とくっついていた。

「本当にこれ無理ゲーだわ。再生能力早すぎ。本当に全てを切断しなきゃならないのか?」

俺は疑問に思う。だがそう思っている間にもゴーレムは完全復活し、殴りかかる。ゴーレムの動きは鈍いもののゴーレムの倒し方が全くわからない。何度も攻撃を避けてるうちに、ゴーレムは攻撃をやめ地面を叩き始めた。

「ま、まさかな。」

俺は嫌な予感がした。そしてその数秒後俺の予感は的中し見事に俺たちの足元は崩れ落ちた。

「うわぁぁ落ちる落ちる」

「紅蓮ー!!」

ゴーレムは自分の周りの氷を全て砕いた。マリーの場所までは砕けなかったもののゴーレムは何度も何度も叩いたおかげで深くまで穴が開いてしまった。

「暗いなここ。」

俺は周りを見渡すが、明かりが何もないせいで何一つ見えなかった。俺は手を伸ばし壁を頼りに歩く。すると

ズドォォォーン

ゴレームの拳が見事俺に命中する。

ぐはっっ

俺は巨体の重い拳をまともに受け血を吐く。

「なんでこいつ見えてんだ?」

俺はそう疑問に思った。そしてまた一発一発と何度も俺はゴーレムの攻撃をまともに食らった。俺の後ろにあった壁はもうどこにあるかわからなくなり、わかるのは自分の歩いている地面だけだった。俺は周りが暗くなったことで視覚を失われた。

「くそっ」

俺は一言呟く。小さく言った声がこだまして何度も反響していた。俺はもうここでやられるんじゃないかと思ったが、この一言のおかげであることを考える。そして俺は両目を閉じ、

「あーーーーー」

俺は叫び続けた。なるべくずっと声が出るように音の大きさの強弱が出ないようにと気をつけながら声を出した。俺は全神経を耳に委ね音の反響を聞いた。そして俺はマリーの言ってたやり方を諦め、とにかく速いスピードで剣を振る。何度も何度も諦めずにとにかく速さだけを追求して振る。だがそれも長くは続かず、途中から速度落ちていく。そしてまたゴーレムの拳をまともにうけた。

「いてぇ」

俺はとうとう立っているのが辛くなるほど身体に攻撃を食らった。俺は本当の終わりを感じた。今の俺じゃこいつには勝てないと。

「ここで終わりか…まだ色々やりたかったな。」

俺は死に際のセリフを吐く。そして俺は死ぬ覚悟をし、いつでもゴーレムの拳が来るように待ち構えていた。だが一向にゴーレムの拳が来る気配がない。それに、自分以外の物音もしない。俺は不思議に思い、四方八方に手を伸ばす。

ペタッ

少し冷やっとした温度と固い感触。俺はその時これは完全にゴーレムだと認識した。だがなぜこのゴーレムは動かないんだ?俺はそう思う。その答えはすぐにわかった。

「くかぁぁぁぁぁぁ」

暗い洞窟の中で大きないびきが聞こえる。まさか、こいつ寝てるなんてことないよな?俺はそう思う。だが、何度聞き直してもいびきをかいて寝てるようにしか思えない。俺はこれはチャンスだと思った。そしてまた剣を握り立とうとする、が、俺は立てなかった。というより体に一切の力が入らなかった。もちろんそりゃそうか。あんだけの巨体の拳を二発もまともに受けたんだからな。まだ死んでない方が不思議か。俺はそう思い、深くため息をつく。俺にはもう生きる道はないんだと改めて実感させられた。

そして数時間後洞窟の上の方から大きな音がした。俺はつい先ほどまで生きる気力をなくし寝ていた。だが、この大きな音でとうとうゴーレムが起きたのだと思った。本当に死ぬんだな。おれはまた死を覚悟した。だが、

「おーい!紅蓮ークエストの方に行って冒険者集めてきたわよ!!今から助けに行くわー!!」

ん?これゴーレムじゃないな。てかこれマリーじゃねぇか。上から今マリーの声が。それに冒険者を集めてきた?おれはその疑問を持つのと同時に上から様々な声の人たちが降りて来る。

「おーい坊主大丈夫かー?」

「死んでねぇーよな?生きてるかー?」

「よくこんな大物と会えたなー。コリャー好都合だ。報酬の一部もらってくぞー」

何十人かはいる冒険者が続々と洞窟の中に入ってきた。そしてその音に気づいたのは俺だけでなくもちろんゴーレムも気づいた。そしてゴーレムは眠りから覚め、脳を眠りから覚めようとしてた。だがそれはすでに遅く、冒険者たちは見えない中一人一人が、真下に剣を振る。

「おりゃーー!」

各々掛け声とともに剣を振る。そして冒険者たちが全員中に入る頃にはゴーレムのほとんどの部位が切断されていた。

「おーこりゃーでけぇ。」

と、一人の冒険者がライトをつけながら言う。確かにほとんどの部位を切られていながらもそれぞれの部位が尋常じゃない大きさを誇る。俺を含めた冒険者たちは倒れているゴーレムを眺める。しかし、先ほどのような再生はせず、何も起きない。

「もうこいつやられたんじゃねぇ?」

「意外に脆かったな。」

「こいつ確か相当な額かけられてた気がするけどな」

冒険者たちがゴーレムのあまりの弱さに疑問を持つ。しかし、それから数秒後、細かく切断されたゴーレムは一つ一つの部位がもとに戻ることはなく、逆にその一つ一つの部位が自立し攻撃を始めた。その奇妙な光景に誰もが嗚咽をした。どんな光景かと言うと、例えばゴーレムの足の部位ならスキップをしながらける攻撃をしてくる。腕なら指で歩きながらいきなり拳を作り殴りにかかる。などなど本当に奇妙な光景だった。

「というか、マリー?これさ、こんな感じで自立したらもう勝てないよな?」

「で、ですね」

あれ?今回は普通にマリーも諦めが早い。俺は少し疑問に思ったが特に気にしないことにした。そして俺らはすぐその場から離れようと脱出を試みるが、

「ここさ、相当深く掘られた洞窟だよな?いや洞窟というか縦穴だよな?これ抜けられなくないか?」

「で、ですね」

お、おいマリー?さっきから(ですね)しか答えてないが?お前テンパるとその口癖になるのか?いや落ち着け。今こいつを倒したとしても脱出することは恐らく無理だろう。俺は少し考える。そして冒険者たちに呼びかけた。

「冒険者どもー!聞いてくれ。今こいつを倒してもこの縦穴からは抜けることはできない。だから全員で壁際にいき、ゴーレムの攻撃を壁に当てさせるんだ。そうすれば壁に穴が空き外に出られるはずだ」

俺は洞窟にいる全員に聞こえるような声を出す。冒険者たちは安易に了解してくれ、全員が壁際に行ってくれた。そして俺らはゴーレムの攻撃を避け続け、どんどん壁が破壊されて行く。そして1時間がたとうとする頃、ほとんどの冒険者たちが疲れ果てていた。みんなの動きが鈍くなり、たまにゴーレムの攻撃を食らう奴もいた。

「これはまずいな。」

俺はそう思った。だが恐らくあと少しで壁に穴が開く。そして俺はまた冒険者に声をかける。

「今倒れてる冒険者を体力に自信がある奴背負ってやれ。あと少しで壁に穴が開く。みんな頑張ってくれ!」

俺は声を張り上げた。だが今度は誰一人俺の声を聞かなかった。

「無理だ。こんなの。もう1時間も経っているんだぞ。いくらなんでも遅すぎだ!」

「こんなこと続けてもキリがねぇ。こんなことするくらいなら戦った方がましだ。」

それぞれの意見が異なり皆、周りに散らばる。それと同時にゴーレムの各部位も周りに散らばった。そして俺の作戦は見事に失敗し、また最初からやり直しだ。俺は他にいい方法はないかと考える。だがなに一つ思い浮かばない。

「くそっ」

俺は愚痴を漏らす。だが、それを漏らしてもなにも変わらず、時間が経つにつれどんどん冒険者が倒れて行った。幸い、まだ死者はでなかった。時間がない。俺はそう思い他にいい手を探す。今立ち上がることのできない俺は自分でなにもすることができなく、悔しい気持ちでいっぱいだった。

「紅蓮。まさか立てないの?」

マリーが聞いてくる。俺は今更か、と思った。

「あぁ、お前らがくる前に結構食らってな。」

「情けないわね。しょうがないわ。今日だけ治癒魔法かけてあげる」

治癒魔法?それは回復魔法のことか?この世界にも魔法を使うことができたのか。俺はそう思った。そして今の俺にはそれはとてもありがたかった。

「お前、そんなの使えるのか?」

「もちろんよ。助っ人は皆使えるはずよ」

お前それできるなら最初からやれよ。俺はそう思う。だが今そんなことを言ってマリーの機嫌を損ねさせるのは気が引けた。そして俺はマリーに治癒魔法をしてもらうように願い、かけてもらった。マリーは詠唱を始め、その瞬間俺の体内から熱のようなものを感じた。そしてマリーの詠唱が終わるとともに、その熱も消えた。

「これで本当に動けるのか?」

俺は半信半疑でマリーに問う。だが、当の本人は当たり前よ!とか言いそうなドヤ顔でこちらを見てきた。俺はその顔を信じ、立ち上がる。

「すごいなこれ」

俺は少し慎重に立ち上がった。だがそれと同時にとても体が軽く感じた。まるで重力を感じてないような。そしてそれだげではなく、力が湧き上がるようなそんな実感も感じた。

「これ回復だけじゃないのか?」

「もちろん回復だけよ。ただその回復ってのは疲労も何もかも全てを回復させてしまうの。だから今とても体が軽いでしょ?」

なるほどな。そういうことか。俺は納得した。そして俺は腕に力を込める。よし!力が入る。これなら、、俺はそう思い、また冒険者たちに言う。

「お前ら聞いてくれ!今から俺がこの壁を破壊する。その瞬間全員走って逃げろ!」

俺はそう言う。だが誰一人と信じてくれなかった。もちろんこの結果は予想していたが本当に起こると意外に辛いものだ。こいつらに信じさせるにはそれを実行するしかないと思った。俺は全ての力を右腕に込める。そして剣の持つ部分を右腰の位置まで持っていく。そして腰の動きとともに剣を振る。

ズバァァァァァァァァン!

前回のクエストの時の攻撃むしろそれ以上の威力で壁を破壊する。壁が破壊された音ともに、冒険者たちの視線が一斉にこちらに向く。そして全員一斉に走り出し飛び出す。飛び出す瞬間にさっきは信じなくて悪かったなど謝罪の言葉が飛び交った。俺は少し気まずい気持ちになったが嬉しい気持ちもあった。

「人の役に立てるのは悪くないな」

「そうね」

俺は率直な意見をマリーに言う。そして全員が飛び出した後俺らも飛び出そうとした。だが俺が飛び出したと同時にゴーレムの腕が俺の体をつかんだ。そして破壊した壁と反対側に俺を投げ飛ばした。マリーは俺が投げ飛ばされた時もうすでに飛び出していた。つまりここには俺とゴーレムしかいない。俺はゴーレムの顔と睨めあった。そしてゴーレムの腕が飛んでくる。先ほどの巨体とは違い、バラバラになったゴーレムの各部位はスピードを増していた。俺はそれをギリギリで避ける。そして、俺は剣を持つ手に力を込める。その後に腰をひねり、ゴーレムの顔をロックオンする。そしてゴーレムの顔めがけて剣を投げる。その剣は音速を超えるほど早く、見るのがやっとだった。そして剣がゴーレムの頭に刺さった同時にゴーレムの頭は粉砕した。

「やったか?」

俺は少し期待を込めた目でゴーレムを見た。そして自立していたゴーレムの各部位は一つずつ倒れていく。ま、まさかな。そして最後の一つまでもが倒れた。

「こ、これで終わったのか?本当にあっけないな」

俺はそう思った。さっきまでたくさんの冒険者が倒れていたのに、今俺は剣を頭に向かって投げただけだぞ?それで倒せたなんて、考えたくもなかった。俺はゴーレムを後にし、破壊した壁から飛び降りる。

「ふぅー。」

俺は息を吐く。それ同時に周りからの期待の目がこちらに向けられた。ゴーレムを倒したのかどうかと、たくさんの冒険者達が問う。俺はその問いに大きな声で答えた。

「あぁ。倒してきた」

この一言によりあたり一面大歓声に見舞われた。だがある一人だけ俺のことを心配そうに見る奴がいた。

「マリー?なんだ?そんな顔して」

「紅蓮、まさかだけどゴーレムの攻撃食らってないわよね?」

俺は思い出す。先ほど俺は飛び出そうとしてゴーレムに掴まれて壁に投げ飛ばされた。俺は

「まぁ多少は食らった」

俺はそう答える。するとマリーの顔はますます心配顔になる。

「だからどうしたんだよ。そんな心配そうな顔して。」

「紅蓮言い忘れてたけど、さっき使った治癒魔法は一時的な回復なだけで、時間が経つと元の状態に戻るの。だから詠唱が短いの。」

俺は今にも頭の上にはてなマークが浮かび上がりそうな気がした。こいつは何を言ってるんだと。そしてだんだん理解をしていくと同時に、俺の意識は薄れていき、立つことも出来なくなった。そして最後の力を振り絞り

「お前それ言うの遅いわ!!!!」

この一言同時に俺はその場に倒れた。

俺今日から異世界に挑みます2

どうもこんにちは和泉 大希(仮)です。今回は前作よりもクオリティーが上がっていると思います。そして前作からちょうど1ヶ月。作者はヒヤヒヤしています笑友達にも早く早く書き上げて!など急かされるわ本当にヒヤヒヤした月でした笑
次回作は!紅蓮の防具の秘密に迫る?
読んでくださった皆様。心より感謝いたします。本当にありがとうございました!そして次回作を楽しみにしていてください!

俺今日から異世界に挑みます2

「紅蓮ー?早く行こーよ」 「お前誰のせいでこんなに行きづらいのか自覚あるのか?」 俺はマリーを睨む。 「あ、はい。私のせいです。すいません」 「分かればよろしい」 そして俺らは周りの視線が厳しい中クエストに向かっていく。なぜこうなったのか…… 今回の作品は迫力を追求しました。ドキドキハラハラ作品を目指し作って見ました。どうぞ読みに行ってください笑。 そして笑ってください!

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted