僕と君と想い寄せと空と 第3話
多少、なんだこの展開??と思うかも知れませんが
どうぞごゆっくり…
おしゃべり
夜9時
両親におやすみを言うと、2階の自分の部屋に入った。
そこには、布団を敷く駕楠の姿があった。
「手伝おうか??」
「いいよ、後これ敷くだけだから。」
「りょーかい。」
乃湖は自分の布団の中に潜り込むと、近くに放り投げてあったマンガを手に取り読み始めた。
隣でやっと布団に入った駕楠を少し見た。
白い肌に薄い紅色の頬がぼんやりと光る。
「ホント、アタシの部屋なんかでよかった??」
「うん、いーよ。田中さんと話せるし……なんて呼んだらいい??」
「…うーん。名前で呼んでよ。」
「…乃湖サンで…いい??」
「大丈夫。呼んでくださいな。」
「俺のことは駕楠でいいから。…乃湖サンがいいんなら。」
「じゃあ、家(ここ)ではそう呼ぶ。学校じゃ多分関わらないし。」
「なんで??」
「分かんないねぇ、駕楠…くん。学校でそんな呼び方したらクラスの女子が恐い、恐い。」
「うん、まぁ…。」
「駕楠くんは好きな人とかいないの??」
「///…いないよ。」
「照れてるwwいるんでしょ??」
「…///」
「…大丈夫だよww深入りはしないから。」
「どーも。」
素直に、駕楠くんの好きな人は誰なんだろ?? そう思った。
アタシじゃあないな。 それだけは確かだと言えた。
だってつい最近までろくに関わりなんてなかったのに、好きになるとこなんか1つもない。
「でも、駕楠くんの性格だったら分かりやすいかもね^^」
「…そういう乃湖サンこそ好きな人いないの??」
アタシはその言葉にドキッとした。
この話の展開ならそう言われることは分かりきっていた。
でも、ココロの中を見透かされているようで緊張した。
「…いるよ。」
正直になった。
駕楠くんなら男子達に話すことはないだろう。
話す必要も多分ないし。
「…そっか^^…俺もいるよ。」
「お、言ってくれた」
「名前は言えないけど。」
「そこまで、アタシに言わなくていいよ。あんまり関わり合いないし。」
「…ありがとう。」
そこまで話すと、急に眠くなってきた。
おやすみと小さく言うと、アタシはマンガを置いて静かに目を閉じた。
頬に当たる枕に柔らかい感覚と体温が心地よくすぐに眠れた。
意識がなくなる前、駕楠くんの小さな『おやすみ』が聞こえた。
眠気と悲劇
朝、携帯のアラーム機能で目が覚めた。
乃湖は背伸びをしてから駕楠を見た。
まだ寝息を立てて、眠っている。
ベッドからノソノソと出ると、携帯を持って1階に下りていった。
「おはよう、乃湖。」
「おはよー姉ちゃん。」
「…はよ。」
「駕楠くんは??」
「未だ寝てるよ。」
「もうちょっと経ったら起こしておいで。ご飯出来るから。」
「うん。」
洗面所に行き、顔を洗う。
「眠みいなー。」
今日は土曜日だ。
最近曜日に感覚がなくて休んでる気がしないのだった。
土曜日は乃湖の1番大好きな日だ。
夜更かししても、明日は休みという余裕があるから。
洗面所の近くの窓からは綺麗な雲のない澄んだ空が見えた。
心地よい冷たい風が吹く。
「乃湖ー駕楠くん起こして来て」
「ういーす。」
2階に上がっていく。
暖房が効いたリビングと違って階段はシンとした冷たさがあった。
乃湖はこの空間が好きだ。
自分の部屋の前に行くと、ドアを開けた。
「駕楠くーん起きてくださーい」
しばらくして駕楠が眠そうな顔のまま大きく背伸びをした。
「かわいい…かも^^」
そう言って乃湖はしゃがんで、駕楠の肩を叩いた。
「おーぅい。」
その時だった…
駕楠が乃湖を抱きしめていた。
その顔は眠気なんか感じさせなかった。
「駕楠くん…??何やってんの??」
「未だ本気じゃない、でもからかってないから。…早く下に行こう。」
駕楠の顔は真っ赤に染まっていた。
乃湖も同じだろう。 いきなりだ。
初めてまともに話したのが昨日だったのに、こんなコトになるなんて思わない。
「気にしないで。」
駕楠がもう一度そう言った。
「うん、大丈夫。」
そうは言ってもココロの中のドキドキと駕楠の体温の暖かさが
混じって、落ち着いてはいられなかった。
僕と君と想い寄せと空と 第3話
ああぁ、自分でも緊張しながら書きましたよ;
駕楠くんが大胆だ…
駕「お前が書いたんだろ」
そうですけど…