指示


マグネットに引き寄せられる砂鉄があるでしょう?あれと同じなの。それも、その一粒一粒が違う種類の、違う形で、出来上がっていくもの。そんなものが、その数だけ存在するなんて考えたら、すごくない?人生のすべてをかけて、見てみたいよね。その世界。どんなものになっているんだろう。こうして動かして、引き寄せて、ほら。これが私たちの一端なんだよ。


なら、それなら、こうして息を吹きかけて、『砂鉄』を落としていく作業はなんて評する?都合のいい解釈?見たくないものに蓋をする?払い落とすという手作業まで伴うなら、そういう側面がより際立つ。当否の判断なんて、先ずはいい。どう思うかが今の関心事で、お互いの価値判断は傍に置いておこう。鎧か、甲冑みたいに?そう例えることが可能であろうとも、それに鍛え上げられた自身なのかもしれないよ。その逆もまたしかり、と祖父は言うのだろうね。そう、ボトルシップを作るのが好きだった、あの祖父だよ。
話を戻して、ボクならこう評する。確認と再現、それと証明。集めた『砂鉄』に息を吹きかける、そうしてまた集める。集まる一粒一粒はさっき言われた通り、違うものなのだろうさ。集まる形もそうなのだろうさ。でも、それを差し向ければ、必ず集まるのだろう?その一粒一粒が、世界からばらけて、その一点に。それを認めることが出来るボクたちの中に一体何があるのか(ボクの予想では、集め続けて、残し続けた砂鉄もどきか、擬似マグネットがあるのだろう)、それに対する答えがあってないようだけれども、ボクたちはそれを目視しているし、耳を傾けている。同じに見える時があるし、同じに聞こえる時がある。それを不思議と思うんだよね。初めて見た、瓶の中の船と同じで、その造りを知っておきたい。いざという時に役に立つような気がするから。それはどういう時だって?
例えば、二足歩行のワニに出会った時に、世界を股にかける謎かけを問いかけられても、気の利いたダジャレを返して、お互いに笑い合うとか、そういう関わり合い方が出来る、そういう時。瓶の向こうの世界との邂逅。
そういう、世界の生っぽさが現れる時、背中に隠したマグネットが、手の中で温かくなっていく。有意味が無意味になる。
赤と青の両極端。


まっすぐ育って、言葉になる。ワタシは船に興味がない。でも、その旅には行ってみたい。そこに矛盾はないから、ワタシはその豊かさに触れる。手短な手段による、大いなる一歩。発すれば、意味が増える。遊ぶ順番に従った遊び方。
互い違いの作用に生まれる。


ありきたりでも、何でも、はためく風と帆の膨らみなら、見えない形のいい例えになる。ピンセットを摘んで、瓶の中の姿と形を完成させる。引き寄せられる。
豊かな航海。それもまた、あり得る例えの一つになる。ボクとワタシ。
これ、を指示する主役が喜ぶ。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-03

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