缶
どちらへと捻ればもとに戻るのかわからないからついてこないで
白い対角線をしっていますか 縦状の精神を貫く
言い訳がちゃんと祈りに聞こえても心の底から許さずにいて
膝をつく 手は胸にあてる どうしてもわたしにはわたしを見つめられない
夕立ちをものにしてゆく確率が同じ数字で生命をうむ
穴のないベルトはうそをつきやすい 昨日とおなじわたしはいません
悲しみが息をひきとる瞬間のほんとうのかなしみが缶をあけます
ことばには美しいと注釈がつく 生きれば花にも似てしまう
砂の手をさしだしている遠くでは月のふりしたひとが振り向く
両膝をひたいにあてて わたしはだれのためにも泣きたくなれない
缶