雪の降る夜に

季節外れですが とある夜のお話

あれは・・寒い日の夜のことだった・・・
 「はぁ・・・」
あの日はわけもなく外をフラフラと歩いていた、別に目的があるわけでもなくただ風にあたりたくなった。
 ふと息を吐くと、白くなった自分の息に少し気を取られる。
 「何となく家を出てきたけど、外は寒いな。もう少し着込んでくればよかった。」
 季節は冬、月は11月時刻は・・・
 「もうそろそろ12時、いい加減かえって寝るか。」
 来た道を戻って帰ろうとした時、頬に触れるひんやりとした感触に空を見上げると。空から真っ白な雪がちらほらと降り始めていた。
 「雪・・・か。」
 ぼんやりと降ってくる雪を見ていると、不意に後ろから声をかけられる。
 「こんな時間に散歩ですか?」
振り向くと女の人がこちらにこんばんわと言いながら軽く手を振っている。たぶん自分と同じくらいかほんの少し年上だろう。
「えぇと、こんばんわ。」
こちらも挨拶を返しておく
「ふふっ、ごめんなさいいきなり声をかけてしまってあまり人を見かけないものですから、つい嬉しくて」
「大丈夫ですよ、あなたこそこんな時間に何をしているんです?」
「散歩です」
女の人は微笑みながら答える
「私いつもこのくらいに時間になると夜風にあたりながら散歩するのが好きなんです。」
そういうと降っている雪を見ながらふいに質問を問いかけてくる
「あなたは、雪はお好きですか?」
突然の質問に戸惑いながらも答える
「雪は、どちらかと言えば好きですよ冷たくて真白できれいだと思います。」
そう答えると女の人は、満足したのか笑顔で答える
「私も同じです。」
そういうと女の人は空を見上げた、自分もつられて空を見上げる。真っ暗な空から白い雪が先ほどよりも速度を増して降ってくる。
「あの・・・」
声をかけようとした時にはその人はもうその場所にはいなかった

雪の降る夜に

雪の降る夜に

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-28

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