collar

読み応えはないですが、サクッと読んでいただけるかと思います。
最近そんなに短編を書いていなかったのもあって、リズムがおかしいです。これが今の自分の即興です…。頑張ったよ…。

がしゃん、がしゃん、と鳴り続ける洗濯機。この中身を干し終わったら、ここから出て行こうと決めていた。
「あー…頭の中に色がない。」
なんだか、イライラして。無計画ではあるけれど、兎に角たくさんの色を頭に詰め込もうと思った。先ずは、北へと進んで、海を見に行こう。断続的に聞こえる水の音を聞きながらそんなことを考えた。そんなに、大袈裟なことではない。ただただ、お腹が空いたみたいな、睡魔が襲ってきたような、そんな感覚。だから、お腹がいっぱいになったら、目がすっかり覚めてしまったら、またここに帰ってくる。そのときを見据えて、ベッドを整え、洗濯物を干して出かける。
------ピー、ピー。
脱水の終わった洗濯物を、洗濯機から取り出して、窓辺に干した。

スニーカー。細身のジーンズ。軽めのTシャツ。ゆるゆるのカーディガン。それと、ちょっとしたナップザック。メガネは僕自身の一部。家の鍵を閉めると、幕が閉じた、というイメージが浮かぶ。若しくは、電源を切ってしまったような。家に、休憩させるような気分でもある。
白縹の空…久しぶりに色が広がっている…!感動というか、安心感というか、同じ世界に生きていることに改めて気づいた。

海は、水色、覗色、それと紺碧の混ざった色。空と混ざりそうで、上手に混ざれなかった色。僕はずっと、混ざれなかった。いや、混ざろうとしたことがなかったということかもしれない。その点、海はすごい。違う色が、一つにまとまっていて、こんなにも美しく見える。そしてただただ、だだっ広い。そんなことを考えていると、すり抜けるような風が吹く。随分と前髪が伸びてしまったものだ。ここ数ヶ月…ではなくきっと数週間ほど、何にも見えていなかった。見たいと思う余裕もなかった。目の前の文字、文字、文字、に目を落とし、文字、文字、記号、に目を移す。ただそれだけの毎日。そんな日々を、恨むことはない。自分で選んだ道を、否定してはいけない。そうすることは自分自身を否定することになるからだ。

いつでも僕は、自分を守ろうとした。言葉なら、幾らでも擁護できる。色も、その一部であってほしかった。だから、月曜の朝が曇天であると、随分と裏切られた気分になったもので、余計に気分が落ち込んだ。

太陽は、純粋に赤い。そして、僕に最も足りていない色。

------ぐー。

色彩でいっぱいになった体は、お腹が空いてしまったみたいだ。人間、綺麗なものだけじゃ足りないんだってこと。


僕の家は、無色ながら僕の大好きな場所だ。
鍵を開ける。
太陽の赤を目一杯吸い込んだ洋服達の匂い。
お風呂から出て、ベッドに倒れこむ。
疲労が広がる。
生きてる。

collar

また、ちょくちょく書いていこうと思っているので、コメント、アドバイス、リクエストetc待ってます。

collar

短編です。シュールです。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-28

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