夕日の帰路
君と遊んだ帰り際。
別れたあと、ふと振り返ってみる。
今日も彼女はいるのかな。そう期待して。
夕日を背にした君が、こっちを向いて微笑んでいる。
嬉しいような驚きのような、複雑な気持ちで、ばいばい、と手を振る。
すると君も、またね、といって手を振り返してくれる。
再び君に背を向け、僕は帰路に着く。
この光景は、何度目だろう。
ふと、デジャヴのような感覚に襲われる。
いつだって振り返れば、君が微笑んでくれた。
それが当たり前の日常のようになっていた。
けれど、なぜだろう、という疑問が思い浮かんだ。
なぜ、彼女は僕に微笑んでくれるのだろうか。
…
君と遊んだ帰り際。
別れたあと、その場に立って君を見送る。
君はまた、もう一度、振り返ってくれるよね。そう期待して。
ふとこちらを振り返った君が、眩しそうに目を細める。
君が手を振る。そうしてくれるのが嬉しくて仕方なくて、私も手を振り返す。
そのやり取りが終わると、彼は私に背を向けて帰ってしまった。
寂しくもあったが、また明日会えると思うと、明日がとたんに楽しみになった。
彼が見えなくなったあたりで、私も帰路に着く。
この光景は、何度目だろう。
君は、いつだって振り返ってくれた。
それが嬉しくて、つい笑顔になってしまう。
それが当たり前の日常のようで、そうではないようで。
複雑な感覚になりながらも、確かにそれは嬉しい。
なぜ、彼は振り返るのだろう。
ふとそんな疑問が頭によぎったが、すぐにそれは忘れてしまった。
彼が振り返ってくれる。その日常的なことが、あまりにも嬉しく思えたから。
夕日の帰路