短編
▽日常
今日も、学校に行く
今日も、仕事に行く
今日も、家事をする
今日も…
”日常”は、毎日同じ事を繰り返して出来ている
変化することなく、ただ、単調に。
そんな日常に
『おい、』
ちょっとした変化をもたらしたのは紛れもなく貴方で
『置いてくぞ』
小走りで彼に追いつけば、
子供の手を握るお父さんのように、すかさず手を握る彼
「そんな急いで繋がなくても歩けるよ」
『そーゆう問題じゃない』
手を握る力が強くなった
『大事、だから』
離れんなよ、って引かれた手は
「私も」
新しい日常になっていくのかな
□テスト
「ねえむりだった」
『毎回その台詞聞いてる気がする』
進級して初っ端のテスト
意気込んで臨んだはずなのに
「だーって思わぬところが出たんだもん」
『あそこ俺が教えてあげたとこだったじゃん』
幼馴染も呆れ顔
「あーダメだ、絶対慶ちゃんになんて勝てっこない」
”テストの点数が高い方が相手の言う事を一つ聞く”
こんな賭けをしてしまった以上、引くに引けないしやるしかなかった
『別にいいじゃん、俺の言う事一つ聞けばいいんだよ?』
「やだよ!そんなの!どうせこれ奢れとか言って高いもん持ってくるでしょ」
『そんなことしません。だって俺決めてるもんもう』
「え?何するの私」
彼は立ち止まって振り返った
『俺の女になる』
「え?」
『だから、俺の女になってもらう』
だから負けらんね、と彼は単語帳を開いた
もう、テスト勉強はしなくていいか…なんて
短編