君が振り返ってくれたから

お題を『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot 様よりお借りしました。

先生に怒られた。
今日で3回目だ。
慣れているはずなのに、こう多いと気が滅入ってしまう。
自分が悪いということは分かっているのだが。
「なぁなぁ」
「どうしたの?」
前の席の奴に話しかけると、笑顔で振り返って僕の話を聞いてくれる。
この何気ない日常に、僕は癒される。
君が振り返ってくれるから、僕は前向きになれるんだ。
そう、言いたかった。
いつか言おうと思ってた。

それからしばらく経った、11月の或る日。
彼女は、死んだ。
あいつが死んだなんて、正直実感が湧かなかった。

今日も怒られた。
「なぁ、今日も怒られた…」
言いながら前を見て、
彼女の笑顔を期待して、前を見て、
そこにある空の席と、机の上の花を見て、やっと気が付いた。
もう、彼女はいないんだ。
僕の前に、ではない。
この世界のどこを探しても、もう二度と会えないんだ。
そう、気が付いた。

君が振り返ってくれたから、僕は前向きになれたんだ。
君が振り返れってくれなくなった今、
君がいない世界を、どうやって生きればいい?

君が振り返ってくれたから

君が振り返ってくれたから

君が振り返ってくれるから、僕は前向きになれる。 『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot 様よりお題をお借りしました。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-19

CC BY-NC
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