雨のような涙

雨雲が少しだけ羨ましい。

本当に、雨のような涙だった。

悲劇の人を知って流す涙も、人の痛みを思う涙も、やさしすぎる涙も。
伝う頬を選ばない、曇る場所を選ばない雨だった。

私はそんな涙を流す人を見て、目頭と心の体温が同じになった。
まだまだ人は捨てたものじゃない。

けれど、雨が降って嫌な人はいる。湿っぽいから、予定が中止になり外に出られなくなるから。
けれど、雨が降る事を良く思う人もいる。私もそうであるように。
けれど、何を言ったところで、たくさんの雨が地上に恵みをもたらす事実ばかりは揺るがないはずだ。

たとえ雨雲を静めることができなくても、指で拭われ消えてしまう程の涙でも、雨雲の目に触れる事のない雨だとしても、
それは尊いものだと私は言おう。
その恵みがいつか心を潤すと私は何度でも言おう。雨雲が遠くの空で泣き止む日を思いながら。

雨のような涙

さて、雨雲とは?

雨のような涙

雨を降らせる人でありたいですね。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-19

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