知るも知らぬも
夕方おそらく18時
河川敷を男女が歩いていた
女には沢山の流れ星が見えた
男には見つけにくい
男女が同時に見つけられたのはたったの一つ
流れる星はずんずん流れ
川の向こう側を走る
小さなトラックにこつんとぶつかった
トラックと星は弾んだ川へ落ちた
男女は川の向こう側へ
ゆっくりと一人の老人が浮いてきた
どこからか集まった人々
覗き込む人々
囁き合う声々
救急車を呼ぶ女
意識を戻した老人
大丈夫を何度も発しながら
道化師みたいにおどけてる
焦る女
来ない救急車
隣を歩いていた男は既にヘラヘラ笑っている
女は気がついた老人の中を流れている星に
女は立ち去った
老人は輝いた
男と人々は溶けた
知るも知らぬも