箱を被った人間?タローのテキトー旅。

箱を被った人間?タロー。そんなタローが出会う物語。

どんなものにも常識があるし、決められた法則がある。逆にそんな法則を破るし、ご都合主義に愛された人物がいたとしよう。そんな人物の物語。
なお、この話はご都合主義に主人公補正を重視したストーリーです。
まずは、本作品の主役を紹介します。私の名前は、ありません。外見は、人間。服の格好は……適当でいいや。いや、この際想像しやすい白のワイシャツにしよう。そんな人間のチャームポイントであり、アイデンティティーである部分を紹介しよう。顔を隠すように被っている箱だ。もちろん目の穴は、二つ開いている。これでも結構見えますよ。そうだ、私の名前をタローにしよう。覚えやすいし。
そんな私には、たくさんの能力があります。まあ、色々とできますと書いておきましょう。その方が後付けが楽だし。
そんな感じでストーリースタート。

ある日、タローは考えていた。
別に、世界情勢や経済のことなんて考えていませんよ。しょーもないことです。
「何のパンを食べようか……」
タローは呟く。
それだけですよ。別に何のパンでもいいのにね。
「よし、決めた。大通りの食パンにしましょう」
タローは、立ち上がった。むくりと立ち上がった。
『ほら、なんとか大地に立つみたいな。あんなのかっこいいよね』
ちなみにタローがいる場所は、薄暗い路地。
『ほら、アメリカンストーリーでよく見る薄暗い路地があるじゃないですか。シルバーのゴミ箱とか。あれを想像していただけるとわりかし簡単。』
「よう、そこの兄ちゃん?訳の分からない格好をしている奴」
タローは、声を掛けられた。相手は、エキセントリックな格好した三人組だ。
絶対、こういうヤツラってどこにでもいますよね。なんででしょう?
「私ですか?」
タローが答える。
「そうだ。お前、金持っていないか?」
男の一人が言う。
「持っていませんよ。むしろ、ください」
タローは、要求する。
「ああ?なんで、テメェにやる義理があるんだよ?」
もちろん男は怒る。だって、こちらが要求しようとしたのだから。
「ここで会ったのもなにかの縁ですから。恵んでください。お慈悲を」
タローは、膝を着き、両手を握る。
「やるか、クソ乞食(こじき)が!」
「バカジャネーノ」
男たちは、吐き捨てるように言う。
「ケチ、おケチ」
タローは、子供のようにブーブー文句を言う。
「なんでだよ」
「もう、こいつに関わらない方がいいぜ」
「気持ち悪いしな。頭おかしいんじゃないのか?」
男たちは、タローから離れようとする。
「まあまあ、ここで会ったのもなにかの縁ですからぁ」
タローは、一人の男に抱き付いた。
「うわっ、離れろ!」
男は、タローを引き剥がした。
「いやん」
今度は、別の男に抱きついた。
「気持ち悪い」
その男もタローを剥がした。
「ついでに、あなたも」
タローは、残りの一人にも飛び付いた。
「離れろ!」
タローは、剥がされ、投げ飛ばされた。思いっきり地面に叩きつけられるタロー。
こう見えて私、受け身が取れないのですよ。
「イタイ」
「逃げろ!」
男たちは、逃げていった。
「うーん、人からお金を盗るなんてサイテーですね」
タローは、三つの財布を持ちながら言う。その財布は、さっきの男たちの物だ。
実は、私スリの技術があるのですよ。別にハワイでオヤジに習ったわけではありませんよ。
「これで、食事としましょう」
タローは、財布からお金を抜き取った。ついでにクレジットカードなどいろいろと抜き取る。
みなさん。財布を落とした時にやることを教えましょう。
その1
警察に届ける。
基本ですね。
その2
クレジットカードなどのカード機能の停止。
レンタルビデオのカードも止めておいた方がいいですよ。勝手に使われて延滞料とかとられる可能性もありますので。
その3
個人証明書の再発行。
そんなところです。

さて、タローはもちろんそのような知識があるので、
「分身!」
タローは、分身した。そして、たくさんのタローが出てきた。
正直、たくさんの自分って気持ち悪いですよ。自分が自分じゃないみたいで。いや、ホントに……。
「カードは一枚ずつ持ちましたか?」
タロー本体が尋ねる。
「「はい、もちろん!」」
タローの分身が先程の三人組から盗んだカードを一枚ずつ手に持った。
「それでは、上限まで使い切ってください。集合場所は、行こうとしたパン屋で!」
タロー本体が指示を出す。
「「はい!」」
返事をするタローの分身。
「解散!」
その合図で分身たちは、解散した。その間、本体のタローは、パン屋でパンを買い店前でもしゃもしゃと食べていた。

しばらくしたのち。

「何、買ってきました?」
「私は、ファンキーファッション担当でした」
「私は、ビデオ屋でポイントを使って任侠映画を」
「私は……」
「私は……」
分身たちが集まる。
「……」
タロー本体は、黙る。
ね? 正直、気持ち悪いでしょ。
「それでは、消えてください」
「「はい」」
タローの合図で分身たちが消えた。そして、置かれるたくさんの荷物。それと同時にたくさんの記憶がタローの頭の中に入ってくる。
「ホント色々な店に行ってきたのですね。オエー」
一気に入ってきた情報に耐えれないタロー。
これ、本当に辛いんですよ。
「さて、次に行きますか」
荷物も席に放置するタロー。そして店をあとにした。放置された荷物には、プレゼントと書かれたカードが置かれていた。
「あー、面白かった」
タローは、ノビをしながら歩いていた。
「さて、このカードは……。適当にポーイ!」
タローは、カードをばら撒いた。そして、人ごみに紛れていった。

箱を被った人間?タローのテキトー旅。

箱を被った人間?タローのテキトー旅。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-15

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