ネムノキ
何か描いてみたくてとりあえず登録してみた行き当たりばったり初投稿作です。
落ちて来たものは
植木鉢が落ちてきた。
宙に浮いているんじゃないかと思える程ゆっくりした速度で落ちて来るので
ああこれは神様が最期に用意してくれた走馬灯タイムかと一人合点し、空を見上げて目を閉じる。
14年、色んなことがあった。人並みに幸せだった。
温かな家族と、優しい友達に恵まれて--ああでも。
---イクト。
「何もしてやれなくて、ごめん--
「おい、そこのバカ!何やってる!」
「・・・へっ?ぐがッッ!!」
横腹に鋭い蹴りを喰らい、勢いよくゴミ置き場に頭から突っ込む。
すぐ近くでガシャアン!と陶器の割れる音が聞こえた。
「馬鹿野郎、死ぬ気か?ふつーに避けられただろ今の」
「・・・じゃあ蹴り飛ばす必要はなかったんじゃないの?ちょっと乱暴すぎるでしょ」
命の恩人らしき人物にぶつくさ言いながらゴミをどけて立ち上がる。
うわゴミ臭っ・・・なんか酢豚の腐ったような臭いすんですけど。
「少し腹が立ったんでな、わざわざこっちの仕事を増やそうとしてくれるもんだから」
「仕事?」
聞き返して、初めて相手の顔をまともに見る。
思ったより小柄な、銀髪の少年だ---。すべすべした女の子のような白い肌に小さな唇、
目元は前髪に覆い隠されてどことなくミステリアスな雰囲気を醸し出している。
「チッ・・口が滑った、忘れろ。お前には関係ない」
「え・・・」
何それ気になる。反則じゃないかそういうの。
「じゃあな、もうこの辺で自殺行為すんじゃねーぞ」
しかし銀髪の少年はこっちの戸惑いなど意に介すことなく
苦々しげな表情を浮かべたまますたすた歩いて行ってしまった。
「・・・何者だよあいつ・・・」
粉々に割れた植木鉢を見て、その場にへたり込む。
ああ、酢豚臭い。
ネムノキ
つづく。ということで、チャプター3まで増えました。チャプターを増やす形で長編化していければいいなぁ。一応先は考えてあります。
追記:アクセス数がぽつぽつ増えているのを見るにつけ、こんな行き当たりばったり作品に興味を持って下さる方がいるのを感じてとても嬉しく思います。これからもだらだらと更新していきますので、お付き合い下されば幸いです。