人生辞典
半世紀ほど前、親になった知人は子供達に生きていく為の術を編んだ
“人生辞典”なるものを手渡した。
それは知人が子供の頃に両親から受け継いできたもので、
その両親も、知人の祖父母から譲り受けーー
長い間脈々と残されてきたそれは、発行元など分からないほど古い辞典となった。
今では改正版が何冊も出ているようだが、その数を把握する事はできていない。
“人生辞典”は人の手に渡る度、改正されるようだ。
時代によって、人柄によって、扱いによってーー
様々な境遇を潜り抜け、子供達の手に渡り、そのページを重ねていく。
私は度々“人生辞典”の実物を目にしては、その本の厚みに息を呑む。
これからも新版の辞典がいくつも出てくるだろう。
生きる術が必要になれば子供達はページを開き、いつの日かオリジナルの“人生辞典”を編んでいく。
閉じた原本はそれをどこかで見守っているのかもしれない。
人生辞典
さて、人生辞典とはなんでしょう?