落雷

遥か世界の上を

優しいいかずちが、降る

懐かしい雷鳴の匂い

遡上する憐憫

私はまだあの頃の私だ

初恋にいかづちが落ち

臍を焼かれたあの頃の私だ

例えようもなく美しい雨雲

その核の結晶

人に降る風雨

幼く身勝手で紳士的な欲情に

刺さるいかずちが

まだ私を焼いている

私のゴム靴が

電気を帰さない

あなたの足許を

滑らかに走ってゆく

幼く身勝手で紳士的な私だ

落雷

落雷

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-14

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