かなしいひとの石像

かなしいひとの石像




   


  



   


  





歌なく金曜の朝

遠く走る高校生

曇天

静寂


静寂のなか

遠くなった昨夜の夢を思い出せず

厚い雲


カラス一羽の電線

静か過ぎた朝

音を求め

出る裏庭


淡々と移ろう

今日の気分はどこにいるのか

普通の寂しさ


畑の農夫 一人

僕の寂しさが

彼を寂しくする

視野の図


昨夜の僕は どこにいたのだろう

気持ちは戻らない

チャイム聞く


離れ去った人と麻雀していた 午睡の中の二次会の夢


唐突な思慕が降りてくる

午睡のあと

路地の小学生を見る


歩きながら

次の一歩の

足取りを

転ぶかもと

悩んで

転ぶ


不安は視野の狭窄

稲植えの水田で

春の風 感じたい


招き猫の女を

番犬のように見つめている

月が一緒に


詩を書かずに侘しい短歌ばかりが降る

雨より陽射しになりたい


「詩を書かなきゃな・・・」

ため息で

自動車税納税通知書 眺める


純粋な寂しさだけがほしい ベンゾジアゼピン抗不安薬


これも人生

あれも人生

人生の交錯は切なくもあり


わだかまる思いもまた

刹那の欠片

消えるかもしれない

切ない


とわに支えるのか

片時支えるのか

この距離 この稀の望み


たそがれ

愛し合うためのベッドなく

別れるための公園もなく


告げられない言葉

しみじみと

濃淡を漂い

なるがまま

尽きる


恋と愛は違って恋が愛を勝るときもある宵の静けさ


離別ならたそがれ時の公園がいい

叶わない

名前すらなく


歌詠みは

はかなく散る菜の花でよいさ

物言わず

そっと消えるさ


切ない夜

煙草の紫煙は見えず

ただ身を焼く 耐えづらさが染みる


名も知らぬ

遠き町の少女

雪の葉に唇の味すらなく


人を裁かず

詩書きはやがて消ゆる

終の時は

清濁すらなく


刹那に移ろう人がつらく

愛してしまう重みは なお切ない


あの人に我が身でよいかこの身は人への鎖か

月の夜に

問う


我が身

人をやめたい時もある

やめれば 心なき石になりたい


春の疲弊

枯れた冬を抜ける苦しみ

冬の狂気を懐かしむ


千年考えて

千年後に 石になった

心の苦を殺して


想いが悪魔でも

想いに生きざるをえなかった 憐れみを受けて


みずからを  殺すべく  殺すべく  みずから  堕ちる


詩も朽ちて

後は死ぬだけ 死んで かなしいひとの石像になるだけ


詩は残さずともよい詩が残っても誰も分からぬ墓碑銘になる





   


  



   


  

かなしいひとの石像

かなり以前に作り置きしていたもの。好きな作品ではない。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq38

かなしいひとの石像

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-11

Copyrighted
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