後悔は先に立ってもらわないとこういう事になる。
「告白されるなら、メールと直接、どっちがいい?」
そう、君にメールを送った、中学3年の春。卒業式の前日。
なぜかわからないけど、チャンスは今しかない。
言うなら明日しかない!そう思う私が居た。
「やっぱり直接が嬉しいかな。なんで?心理テスト?笑」
子供っぽい私は、ひっかけクイズが好きだったし、心理テストも好きだった。
話のネタにしやすいし、なにより、君のいろんな表情が見えるから。
「ううん。実はーーーーーー」
あのとき、私はなんてメールの返事をしたんだっけ。
多分、「実は君の事が好き」ってことと、「告白するなら、直接言うほうがいいかなって。」っていうような
返事をした気がする。
思い出せないのは、恥ずかしくて脳が記憶を消してるのだろうか?
「そっか。それじゃまた明日。」
君の返事はそんな感じだった気がする。
このやりとりで約20分くらいだっただろうか。
とても長く感じたし、手に汗握るとはこのことか!なんて思ったりもした。
でもこのときの私は本当に馬鹿である。
そんな内容、直接本人に聞く?
しかも告白するまでもないほどに、君に好意がある事を伝えてしまっているではないか。
本当に恥ずかしい過去だ。
そして次の日。卒業式。
みんなで記念に写真を撮ろう!と騒いでいる中、
何食わぬ顔をして君と写真を撮った。
2ショットはさすがに無理だから友だちを巻き込んで。
君のポーズをバレないように真似して、低めの位置でピースした。
それから。それから。それから。
私は友だちと毎日通った道を家まで帰った。
結局、君を呼び止める事なんて出来ずに。
君が駐輪場から自転車を押して、
友だちに「ばいばい!」と笑いながら声をかける姿を見送る事しか出来なかった。
今まで気付かなかったけれど、
当時、言えなかった自分よりも、今の自分のほうが後悔している。
なぜか君はわかる?きっとわからないだろうなあ。
卒業してから、君とは一度しか会えなかった。
成人式の飲み会。
君は照れくさそうに、彼女と仲が良いことを話していた。
まだ結婚はしていないようだったけれど、左薬指に指輪が光っていた。
どうやらお揃いらしい。
私は思った。
いつか、何十年後の同窓会でまた君に会えたら、
そのときに伝えよう。
恥ずかしがらず、お酒の勢いを借りても構わない。
「君は覚えてないかもしれないけれど、中学生のとき、本当に君が好きだったんだ。」と。
そう、密かに決意した。
それなのに。それなのに。それなのに。
私はまだ実感が湧かずにいる。
君は何十年後の同窓会には来ない。
今度はあのときのように、見送る事も出来なかった。
今まで気付かなかったけれど、
なんであのとき、想いを伝えられなかったのか後悔している。
なぜか君はわかる?きっとわからないだろうなあ。
後悔は先に立ってもらわないとこういう事になる。
毎回出来の悪い数学テストの点数で競ったり、ひっかけクイズにひっかかったり、たまに真剣な顔したり。君と同級生になれてよかった。君と出会えてよかった。青春の1ページをありがとう。ご冥福をお祈りいたします。