俺今日から異世界に挑みます

俺今日から異世界に挑みます

ある日、黒印 紅蓮の元に一通の手紙が届いた。その手紙の内容はなんと、異世界への招待状?そして、現実世界での異様なもの。それと出会った紅蓮は新たな人生を始める。紅蓮は異世界を守ることができるのか。

ある日、黒印紅蓮の元に一通の手紙が届いた。その内容はなんと異世界への招待状?

「こんにちは。黒印 紅蓮さん。あなたはこの世界が楽しいですか?もし、私の思っている通りなら違う世界に行って見ませんか?この手紙を破れば迎えにきます。待ってます」

な、なんだこれ。意味がわからない。もしもこれをいたずらじゃないと考える人がいるのならそいつは変人なのだろう。なぜそうなのかというと、内容は確かにファンタジー世界溢れた感じだが、その前にこの手紙が入っていた封筒がまるで黒煙の覇者とでもいうかのように、奥深く黒く、その中を見てみれば今度は普通の白にすればいいものの明らかに普通の白とは異なって白すぎる白なのだ。こんな派手なものを受け取った親もよく何も俺に言わなかったものだ。こんなの普通の家庭で受け取ったら親はまず子供の精神的な心配をしてしまうはずだ。
まぁ、うちの家庭は普通じゃないからそうはならなかったのかもしれない。

「紅蓮〜。朝ご飯出来たわよー」

「はいはいー今行く」

俺はいつも通りのおきまりの言葉のやり取りをし、自分の勉強机で見ていたあの手紙を本と本の間にしまい、階段を降りて下へと向かった。
あの手紙さえなければいつも通りの1日だったんだなー。と思い周りを見渡したが、まさかのあの手紙だけではなかった。この家のリビングは12畳の広さ。そして食卓の前にテレビがくるようににしてある。俺はふとテレビの右隣をみた。いつもなら何もないそこには、なんと全長2メートルはありそうな剣で、所々にひびがあり、その場所からは金色のエネルギーみたいなのが漏れ出していた。

「な、なんだこれ」

俺は目を丸くし家族の誰かに説明を頼む!とでも訴えるような眼差しで見回したのだが、一切気づかれない。なんだこいつらと呆れたが、やはりこれはなんなのかと、知りたくてたまらない。俺は親父の方を向き

「あの剣なに?」

とその一言だけ聞いた。そしたら

「お前何言ってんだ?」

はぁ?いや、はぁ?まったく意味がわからない。親父が見てるテレビのすぐ隣にとんでもねぇもんあるじゃえねぇーか!って今にも怒鳴りたい。親父は俺のこと何言ってんだ?と聞いてきたが、それは俺も親父に尋ねたい。なぜ、そこにファンタジー世界満載のいかにも強そうな剣があるのにこの親父は気づかないのか。

「テレビの隣に2メートルぐらいありそうな剣あるけどあれ何?」

「はぁ?お前明日眼科行ってこい」

はぁ?はぁ?はぁ?おい待て。まさか、親父はあの剣が見えないのか?あの馬鹿でかいこの家の大黒柱のようなものを。まぁいい。親父が見えてないなら母さんに聞くだけだ。

「母さんはあのテレビの隣にある剣なにかわかる?」

「紅蓮ー。明日午後空いてるから眼科行く?なんなら学校にも電話するし」

んん?なぜおれは心配されるのか。なぜおれは事実を言ってるのに家族には嘘を言ってる痛い奴にしか見えないのか。本当に意味がわからない。まさかあの剣が自分にしか見えないのか?おれは朝飯に集中できず、好奇心に負けあの剣の元に行ってしまった。

「こんにちは。紅蓮さん。やはり私は来てくれると信じていましたよ。今から色々と、この世界について説明します」

つい先ほど、おれはあの剣を右手で触り、その瞬間剣は金色に輝き包帯のように上から切れていき、おれの右手を包帯で巻くように吸い込まれて行った。
そう。ただそれだけで手紙は破っていないのだ。なのになぜ今おれは先ほど見ていた平和な家族の世界からこの自然溢れる異世界へ行ってしまったのかと。

「紅蓮さん?」

おれは呼ばれた方向へと顔を向ける。そこにいたのは、黒い翼を持ち黒い服で自分を覆い髪の毛はロングで黒く前髪はぱっつんの美少女だった。だが、それよりもおれはこいつの右手に持っていた剣のせいで、悪魔にしか見えないのだが。

「あぁ、悪い。少しぼーとしてた。」

「もー。私が説明してあげるって言ってるのに!この私からの説明を受けれるあなたは世界で一番幸せなのよ!」

おいおい。さっきのガイドのような優しいお姉さんはどこ行った??何がこの私からだ。今お前は片手に剣持ち、跪いてるおれに腰に手を当てて偉そうに言っている。はたから見れば完全に今からここで殺人事件起こりますよ!と言ってるようなものだ。

「まったく。それよりも説明しなきゃね。この世界は今ある人によって壊滅の危機にあります。そこで私たちは日本から能力を持った選ばれし勇者をこの世界に導き、その人の助っ人をするのです。」

「ってことはお前はおれの助っ人なのか?」

「そうですわよ!この私が世界でモグモグモグ。プハッ何するんですか?今一番大切なことを言おうとしたのに」

「言わんでいい」

まったく。こんなやつがおれの助っ人なのか?確かに見てくれは強そうだが中身はとても頼りなさそうなのだ。

「そういえば、おれ手紙破ってないのになんでここにいるんだ?」

おれはこの疑問があった。なぜおれはあの手紙を破ってないのにこの世界に来れているのかと。あの剣を触っただけなのになぜ来れてるのかと。

「それはもちろん。能力を手に入れたからです。あなたの家にはあなたしか見えない剣があったはずです。あなたはその剣に触れてしまい能力を得たので強制…あっこの世界に導きました。」

おい。今こいつ能力を得たから強制とか言わなかったか?まぁ、いい。能力を手に入れたからこの世界に来れた。それだけで今は十分な情報だ。それにしても、今おれはこの世界を見渡しているのだが、何一つ壊滅の危機らしきものがない。緑豊かな平和で辺り一面木なのだ。

「この世界はどんな問題抱えてるんだ?」

「説明しますね。この世界には冒険者、騎士、魔法使いなどたくさんの人たちがいます。この人たちはあそこに見える天に続く塔で、モンスターたちを倒します。そして進むにつれ上へと上へと行きます。しかし、この頃上の階層のモンスターが下の階層に来てしまい、誰も手に負えない状況でもう少ししたらモンスターは塔から出てこの世界を襲ってしまうからです。」

なんてファンタジーな世界なんだ。おれは、この世界に来て嬉しいのか嬉しくないのかがわからない。まぁ元の世界ほどつまらなくなさそうだし、少しは楽しみなのかな。おれは前の世界では、生まれながらに暗記力が普通の人と違ってずば抜けてた。例えば、一冊の本を1日で一字一句丸暗記するとか。そして、他にもたくさんの才能があった。例えば10対1の喧嘩でも傷一つなく相手を気絶させることができたり、千メートル離れたところから射撃されても避けられる動体視力があったりと、戦うことばかりに特化していたのだが。

「で、おれは今から何をすればいいんだ?」

「それはもちろん。モンスターを倒しにと言いたいとこですが、今からあなたの能力を確認します。少し背中をこちらに向けてください。」

おれは言われるままに背中を向けた。自分がどんな能力を持っているのかはとても知りたい。こいつはおれの背中に円を描くようになぞり、何か暗号らしきものを唱えていた。そして数分後その作業は終わりこいつは目を丸くしていた。

「あなたの能力を確認します。あなたの能力はえ、え、S級!!!!?あなたなぜS級能力を持っているのですか?S級で、能力の空気を操る能力?S級と驚きましたが、この能力なんです?私初めて見ました。」

S級だと…やはりおれは最強なのか?いやだがこいつはなんて言った。初めで知る能力?どゆうことだ。

「お前知らない能力とかあるのか?」

「いえ、私どもは全ての能力を勉強し暗記して来ました。しかしあなたの能力はどれにも該当しないまったくの新しいものなのです。」

おれの能力は新しい新種のもの。その時点でおれの少なからず宿っていた厨二病の心のメーターがはちきれそうだ。まぁ、はちきれる前にその能力がどんなものなのかを確認しなければならない。

「これどうやって使う能力なんだ?」

「私はこんなのはじめて見ましたわ。だからこの能力に関してなーんもわかりませんわ」

こいつ、、まさかだけど場合によって口調をコロコロ変えて最初の紹介の時はいいイメージを持たせながらいざ、助っ人ときたらこんな口調なのか。それにしてもこいつ本当に助っ人として頼れるのか?

「この能力わかんないって、ならお前なんのためにいる?」

「むっ、今言ってはいけないこと言いましたわ。私はもう何もあなたに教える気はない。」

ぷいっ

ぷいっだって。こいつ以外にも可愛いとこあるんだな。そんなことされたらいじめたくなってしまう。

「教えることがないならいいや。他にも助っ人ってのはあるのか?お前以外の助っ人に頼もうかなー?」

「むぅぅぅぅぅぅぅぅ。分かったわよ!言ってあげる。だからー私を手放さないでー」

「うわっ。なんだよいきなり」

こいついきなり人に抱きついてきやがった。何かを必死に頼むように俺の腰元に顔を埋めて叫んでやがる。まぁーこれはこれでめんどくさい。

「分かったから離れろって」

「今言いましたわね。分かったって。これで契約完了です。あなたは私を手放すことはできない。フッフッフッ

こいつの笑い方本当に悪魔みたいだ。まぁ、変な契約を勝手に結ばれてしまったが今そんなのに構っている必要はないようだ。とにかくおれは今持ってるこの"能力"をなんなのか知りたい。

「で、この能力はどうやって扱う?」

「あ、そうでしたわ。その能力は空気を操る能力だそうなので、例えば酸素を無くして見たりとか?」

ぅお!強いじゃないか。そんな能力使えたら対人相手で怖いもの無し。なんて物を!…おれは世界で今一番幸せなのかもしれない。

「で、どうやってやるんだ?」

「えーっとそれはですねー。んーと。あ!気合ですわ気合!それでなんとかなりますわ!」

こ、こいつ今気合でどうにかなると言ったな…今おれが世界で一番幸せだど感じた時間を返せー!!気合でどうにかなる世界ならこの世界もう救われてるはずだ!

「お前なぁ…他に今できそうなのはないのか?気合とかなしで」

「私に言われましても、その能力は初めてなので何ができるのか。それにそれをどうやってやるのかなんてもってのほか知りません。」

「やっぱおれ違う助っ人探してくるわ」

「待ってくださいーーー!すいませーん。私にできることなら何でもしますからー。」

まったくこいつは絶対使えない。助っ人として役に絶対たたない。今から冒険しに行ったら確実に俺は死ぬ。

「はぁ………お前なーS級のスキル持って浮かれてた俺は今現実の世界に戻されてショックで死にそうだ」

「すいません……あ、でも、S級持っていたんだからいいじゃないですか!そんなの稀の稀にしかいませんよ。」

「お前なぁ…そのS級の能力が使えなきゃ宝の持ち腐れだろうが」

「すいませんーーーー!!!」

たく。この能力を持つより普通にまともなB級らへんでよかったのかもしれない。と人生で初めてレアが低いやつのほうがいいと思った。

「まぁそれよりも!あの塔の下いきましょ!あそこにはたくさんの人たちや屋台があります!もちろん強い武器もありますよ!」

「おぉー!それはすご……それを早く言わんかー!!!!」

「すいませんーーーーー!」

今日俺は何回怒鳴ったのだろう。ストレスが溜まりすぎて禿げそうだ。あの塔の下にはたくさんの屋台がある。人もいる。ましてや武器もある。おれは今宝の持ち腐れしか持っていなく、できれば今すぐ使える宝を持っていたほうがいい。例え短剣であっても元々持ってるチート的なおれの頭脳や体で雑魚キャラは余裕で倒せるだろう。おれは早く行きたくてたまらない。

「よし今から行くぞ。あそこまでどうやって行ったらいいんだ?」

「それはもちろん飛びます」

「と、飛ぶ?おれまさか飛べるのか?」

もし飛べるのならば今すぐ飛びたい。男は人生に一度は翼を広げで飛びたいと思うだろう。でもこの世界は現実世界とあまり変わらないようで…

「飛ぶのは私だけです。だって、あなた翼ないじゃないですか。まさかあなた飛べるとでも?フッフッフッ寝言は寝て言ってください」

こいつ殺してやる。今ものすごい殺気が生まれたがおれは押し殺す。一つ深呼吸をして、

「ならおれはどうすればいいんだ?」

「もちろん走ってください」

「はぁぁぁぁぁぁ?????あそこまでどんくらいあるんだよ」

「んーあなたの世界の距離に例えますと1万キロぐらいですかね。ひと走りですよ頑張ってください!」

とうとうおれは殺気を押し殺すことができないようだ。右手を握り拳を作りこの使えない悪魔にかましてやろうとした時、あの悪魔は黒い羽と共に消えた。おれはあいつが飛んだと思い上むくが何もない。そして後ろから耳元に

「遅いですよ」

こいつ、消えたんじゃない。人間では追いつけない速さで動いたのだ。黒い羽はその時の速さに耐えきれなかった翼から少し羽がもげたものだ。だが、おれも普通の人と違い人知を超えた動体視力を持っている。これならと思いおれは目をくらます。あいつは、右に数歩ものすごい速さで動き、そして翼を使って最低限の大ジャンプをする。そして、後ろに立ちまた何かあいつが喋りかけようとした瞬間、おれは体勢を前屈みにして土下座する形になる。そして、その勢いで前回りをし、前回りが終わる頃に両足で地面を蹴り特大ジャンプを行う。あいつより早くはないがあまり速さに差もないと思う。そしておれはさっきやられたお返しで同じようにあいつの後ろに立ち耳元で

「遅いな」

「流石ですわ。でも足元をご覧ください」

なっ

こいつ、おれがこいつの後ろに飛んでいるときにさっきの速さの何倍もの速さで、こいつの持ってた剣で下に地面を開けて、その上に草をまぶせてあった。こいつどんだけ速いんだよ。そう思う前におれは掘られた穴に落ちた。ドスッ

「いててて。お前今更だけどすごいな」

「あなたに言われたくないですわ。能力を使わずにこの速さについてこれたのは私あなたしか知りません」

これは褒められてるのか?まぁいい。とにかく少しはこいつが使えそうなとこが見えた。でもどっちにしろ走るのか…。運動神経には自信があるが、自分からめんどくさい方を選ぶ運動バカでもない。

「はぁ…」

俺は深いため息をし、重い足を一歩前、また一歩前へと走り始めた。俺が走り始めたちょうどにこいつも大きく翼を広げ飛び始めた。早く終わらせたい…これは俺の率直の気持ちだった。その気持ちが体に現れたのかずいぶん早く走れた気がする。

「ほんっと速いですわね」

「飛んでるお前だけには言われたくなかった」

「この調子なら2日でつきます」

「遅いわ!」

こいつは俺をなんだと思ってるんだ?燃料さえあればずっと走れる車だとか思ってるのか?俺は人間だ。そんな長い距離を同じ速さで走れるわけない。必ず途中で息切れしてしまう。くそっ。こんな時に能力とか使えたらいいのに。

「あぁ!もう!ほら早く行くぞ。」

俺は全速力で走った。すぐ息切れするのはわかった。でも走りたかった。このイライラをどこかにぶつけたかったのだ。

「ん?」

「どうしました?」

俺は今全速力で走っているんだよな?なのになぜ疲れない?おかしい。俺はそう思いつつ足元を見た。そして走って来た後ろを振り返る。

「足跡がない…?」

「あ!本当ですね。足跡がないです。それにしても今日は風が強いですね。いきなり突風が吹いて来て飛ぶ方も大変ですわ」

いやいや、走ってる人の方が何百倍も大変だ。ん?てかこいつ今風が強いとか突風が吹いたとか言わなかったか?俺は今走ってるから周りの風にはあまり敏感ではないが、そんな風は今の自分には全く感じない。まさか、足跡がないのと、それは関係あるのか?

「なぁ、俺疲れないんだけどスピードさっきと変わらないか?」

「え?疲れないんですか?それにさっきよりも一段と速くなっていますよ?」

ん?嘘だろ。なぜ、さっきよりも速いのか。色々と頭が追いつかない。

「あ、今更ですけど、能力使えてますよ?」

「ん?あぁ、って、うぁぁぁん?」

なんて変な声を出してしまったんだろう。今の現状を把握できてない上に能力が使えてる?よくわからない。俺の能力は確か空気を操る能力。その能力が使えてるってことはまさか。

「まさかだけど俺、今周りの空気操って風出してる?」

「いえ、私が今調べた限りあなたは周りの空気を酸素とヘリウムガスだけにし、あなた自身はヘリウムガスが、周りの空気より軽いため浮いていて、そして、走るのに必要な酸素を口と鼻の周りにやっているだけです」

「それはうまく使えてるのか?」

確かに空気を操る能力だが、そんな利口に使った覚えはない。というか、風を出せてたと思うのに即答で否定しやがった。厨二病が少なからず宿る俺には少しきつい一撃だった。

「ならこの風はなんだ?俺がやってないとしたらこの風はなんだ?」

さっきも言ったが俺は風が吹いてるようには感じない。だからこの風はなんなのだ?

「あ、多分この風、私がいうのもあれですけど私が出していました。てへっ」

なんなんだこいつは。自分でなんだこの風はと言っておきながら自分が出していただと?
はぁ…こいつといると疲れる。

「で、なぜこの風は俺には感じない?」

「それは多分あなたの周りの空気はあなた自身が操っているため、私が出した風は外の空気のものですからその空気とあなたの空気が交わらないため感じないんです。」

「なるほど。つまりは今俺はお前に対してバリアを張っている状態か。」

「まぁ、風などの空気によるものなら今防いでますね」

「おぉ」

これは使えるのか?いや使える。俺のこの頭のいい頭脳を使えば余裕で使いこなせる。そして俺はすぐ塔の頂上まで行ってやる!!あ、今思ったが、こいつは風を出しているんだっけ。それを俺に。あいつのいう通りなら確かに空気は交わらないが交わらないから前に押すことができる。それを考えてやってるのか?いやそれは考えすぎか?

「おい。まさかお前このこと全部知ってて風を出しているのか?」

「あ、バレちゃいました?あなたが疲れてるように見えたので風を出して押してあげてる状態です」

なんていう気遣い。だが素直に喜べない。俺は今こいつの力を借りて速くなっているのだから。

「あ、今更だけどなぜ俺は今空気の能力を使えたんだ?」

「それは多分紅蓮が飛びたい。という思いが強く。それが能力に反映し、今の状態を作っているのです。」

なるほど、俺が何かしたいという思いが強ければ強いほどこの能力は答えてくれるのか。つまりは頭で何をしたいか考えてそれを能力に命令しろということか。楽しくなってきた。

「ニヒヒ」

「何気持ち悪い顔で笑ってるんですか?引きますよ」

「うるせぇ」

たくっ。こいつに何かしたくなってきた。それにしても速いなー。疲れないし。そういえばもうこんなに塔が近くなってる。

「え?まさか?もうつきました。」

「ん?ついたのか。やっとかー。」

「おかしいです。この短時間話してるだけでもう着いただなんて。あなたといるとおかしなことばかりです」

それはこっちのセリフだ。あ、そういえばこいつ確かにここから一万キロって言ってたな。それにしても速いな。まぁ小さなこと考えても無駄だ。速く塔の下に行って武器買って速くモンスターを倒したい。今そんな気持ちでいっぱいだ。

「ここか?確かに賑わってるな」

「そうでしょ?ここは昔からの商店街。みんな優しい方達です。治安もいいですし、ここは暮らすのに最高の場所です」

「お、おう」

こいつこんなに熱弁するやつだっけ?
それよりも本当に賑わってるなー。みんなが笑っている。それを見てるこっちまで楽しくなってきてしまう。

「なぁ、武器はどこに売ってる?」

「あ、それならあの商店街の突き当たりです。でもその前にその手間にある、焼き鳥屋さんに行きましょう」

「まぁ、別にいいけど俺腹減ってないぞ?」

「いいからいいから。」

こいつ、この街好きなんだな。でも本当に腹減ってないから焼き鳥食べれる気しない。なんとなくその場のノリでやり過ごそう。で、そのあいつが言ってた焼き鳥屋がここか。

「こ、これ本当にお店か?」

「はい!」

こんなところがお店なのか…一目見たら古くて廃墟以上に人の気配もない。それに、今にも崩れそうに斜めっており、周りの賑わっているお店と比べると古すぎる。

「店主はどこにいるんだ?」

「エギルさん!お客さん連れてきたわよー」

エギル?それはこの店の店主の名か。こんなオンボロなお店の店主がソードアート……いやなわけ、ないか。

「へいらっしゃい。お客さん。久しぶりだなー客が来るのも。」

威勢のいい店員だ……んん?んんんん?いやいやまてよ。嘘だろ?そんな。まさか本当にSAOのクリスなのか?あの、大人気小説のエ、エ、エギルなのか?いやでも、考えてみればここは異世界だ。そんなこともあるかもしれない。

「お客さん?どうしました?驚いた顔して」

「あ、エギルさん多分この子あなたの顔があっちのエギルに似てるから驚いているんだと思いますわ」

あっちのエギル?どいうことだ

「あぁ。なるほど。よく異世界から来た奴らは騙されるんだが。お前もまさか異世界から来たのか?」

「あ、そうだ。名前は紅蓮っていう。よろしくな」

適当に挨拶は済ませておき。いやでも、異世界から来た奴らは騙される?まさか。俺のこの期待は…

「あ、ちなみにこれコスプレだ!似てるだろ〜」

「ぶち壊れた!」

「ん?何言ってんだ?まぁいい。久しぶりの客なんだから中に入ってくれ」

なんてことだ。今日で何回おれは期待を裏切られるんだ。不運すぎる。とても不運だ!ん?今中に入れって?こんなとこの中に入ったら確実にこのオンボロは壊れておれは死ぬ。それに入り口が歪みすぎて入るにも入れない。どうやって入れっていうんだ?

「何をぼーっとしてるんですか?あなたは。期待を裏切られて辛いのは分かりますが、いつまでも落ち込んでたら始まりませんよ。ほら。さっさと歩いて」

「いや、どうやって入るんだ?」

「ですから、ここをこうやって。ふぁん」

ん?こいつ今変な声出さなかったか?気のせいか。いや、こいつ、あの歪んだところに平然と歩いて行きやがった。そんなことしたら狭すぎてお前じゃはさま…って、き、き、消えた?どういうことだ。

「ほら、お客さん考えてても始まらねぇ。この扉はな知る人ぞ知る扉なんだ。見た目はオンボロで廃墟のようなお店でも中はこの街一でかいぞ。」

「そ、そうなのか。いや、おれが聞きたいのはあいつはなぜ消えた?」

「はっはっ。消えたんじゃない。ワープしたんだ。簡単に言えばお前が異世界に来たようなものだ」

いや、まったく簡単ではないんだが??おれがこの世界に来れた理由がそもそも曖昧すぎて、もっとわからなくなってきた。まぁでも、とにかくここでワープしろということか。

「考えてもしょうがないな。」

「おう!その通りだ。さぁ早く行け」

はぁ……この世界は謎だらけだな。

「よっと」

あのワープするところに入ったらおれは体が歪む感じがした。そしてそれと同時に気持ち悪くなってきた。自分が自分で無くなるような。そんな感じに包まれた。

「おぇ」

あたりは世界が歪んだような光景。それとともに胃から何かが出そうな吐き気。とてもじゃないけど普通でいられなかった。そして、時間が経つにつれだんだん奥の方から小さな光が見えてきた。

「どう?初めての時空移動装置の乗り心地は?」

「気持ち悪りぃ」

さっきのを乗り越えて、別の空間に来た時はもう吐き気も歪みも一瞬で消えたが、やっぱり後味が悪い。それにこいつらはもうそれを何回も繰り返して利用しているのか?

「お前らこれに慣れてるのか?」

「まぁね。最初は私も気持ち悪かったけど、たくさん使うに連れて、もう何も感じなくなったよ」

それは慣れというよりも感覚が麻痺してんじゃねぇか?なんておれは思ってしまう。それくらい気持ち悪いのだ。さて、転送したおれはまず店内を見回す。すぐ転送して右手にはレジがあり、そこからまっすぐにカウンターが広がる。この店は長方形の形をして奥へと長い店だった。そして、左手側にはテーブル席が4つ続いてる。

「んー広いのか狭いのか。よくわからない」

「はっはっはっ。よく、言われるわ。まぁ、そこらへんの椅子にでも座っとけ。なんか飯もって来てやる」

おれは言われるがままに一番手前のテーブル席に座った。そしてその真正面にあいつも座った。

「そういや、俺お前の名前聞いてないや。名前何?」

「あ、そうでしたわ。自己紹介してないなんて、なんて無礼なことを。まぁあなたなら無礼じゃないか。」

「いや、世界一無礼だからな」

なんだこいつは。俺を何様だと思ってやがる。この俺だぞ?世界で一番すごい俺を

「んっんん。私の名前はマーキュリー。他の人たちからは最初の部分と最後の部分をとって、マリーって呼ばれてるわ」

「そっか。なぁマリーお前この店何回来たことある?」

「いきなり、呼び捨て。まぁいいわ、この店にはもう数えきれないぐらい来たわ」

「ほぉ」

こいつ。この店たくさん来てたのか。だからオススメしたのか。それにしても、こいつの名前、マーキュリーだって。本当見た目と名前だけは可愛いよな。性格はあれだけど。

「今あなた見た目と名前は可愛いけど性格はブスって思わなかった?」

「げっ、よく分かったな。」

「やっぱり!この私は世界一美女なのよ!性格も含めて。世界一なの。もっと敬いなさい」

いやいや、自分で言っちゃうあたり世界一じゃないと思うんだけど?

「へい、お客さん。当店1のオススメ商品焼き鳥だ。」

「普通の焼き鳥にしか見えねぇ」

「一本500えん」

「金取んのかよ!いやたけーよ」

たく、この店は店主の詐欺が目立つ。この店の中俺が入る前街で一番でかいとか言ってなかったか?それにエギルに変装したり、強制で焼き鳥買わせたり。はぁ…不運だ。さっさと食って武器買いに行こ。がブッ

「んっ。うめぇぇ!」

ありえん。こんな店でこんなうまいもん食えるのか。これは運がいい……いや、よくはない。この値段にしては当たり前の美味しさか。それにしてもうまい。

そして、おれらはそれを綺麗に平らげ、レジへと向かった。

「うまかった。代金は?いくらだ?」

「5000円だ。」

「たけぇ」

たった10本食っただけなのに5000円か…ほんと詐欺だよな。まぁ美味しかったから許すけど。

「てか、お前も出せよ。何おれ一人に出させようとしてんだよ」

「あ、バレちゃいました?テヘッ」

「だからテヘッじゃねぇーよ」

たく。こいつは。おれをいいように利用しやがる。武器買って多少強くなってこの街のことも知ったら、まずはこいつから逃げて一人で生きるか。

「ありがとうございました。またの来店を」

なんだかんだ言ってうまかったからな。次も来るかもしれない……いや、かの転送装置がある限り次はないな。

そして、その転送装置は飯を食った俺にとっては苦痛でしかなかった。

「これ、食ったもん出させるための装置かよ。おぇ」

「さぁ、なにしてるんですか?早く武器買いに行きますよ!」

「はいはい」

はぁ、もう、気持ち悪いし急かされるしで、疲れる。まぁ早く武器も欲しいし急ぐか。

「へいへい、らっしゃい!安くするよ!」

「今日は特別サービス!50%オフ!」

ほんと賑わってるな。ここ。ここで暮らすのもこいつが言ってるように悪くないのかもな。

「きゃ!やめてください。離してください。」

「ん?」

俺は叫び声が聞こえた方へと向く。それはちょうど建物と建物の間。暗い路地裏だった。そこでは、一人の少女が、いや美少女がいかにも悪そうな4人に囲まれていた。一人は逃げ道の退路を塞ぎ。一人は脅迫。一人は美少女を抑え。一人は周りを警戒。連携のとれた手練れのように見えた。

「おい。行くぞ」

「いきなりどうしたんですか?あぁ。わかりました」

こんな時は察しがいいんだな。まぁ、この美少女助けて、俺が本当に世界一の男だとこの街に知らせてやろう。

「なんだ?なんだ?お前は」

「見かけねぇ顔だな。まぁいい。とっととこいつ潰すぞ」

「りょうかい」

まずは、俺に向かって来た逃げ道の退路を塞いでたやつを倒すか。こいつらは俺が弱いように見えてるのか?とにかく距離を縮めることばかりに意識をしているから隙がありすぎだ。俺は拳を握り少し後ろに構える。走って来るやつから見ると、視界は狭くなるため多分見えないだろう。そして、俺の右拳が届くギリギリの場所で人知を超えた限りなく早いスピードで拳を下から上へとあげる。そして相手の顎に当たった瞬間、自分の右足に力を込め、そのまま前に飛ぶ。そうすることにより、右手からの上に向かった威力と右足の前に向かった威力で喉が完全にやられる。

「ぐはっ」

「一年は声が出せなくなったな」

よし。これであと4人。おそらく一人はこれを見てビビってるから、最後に残していい。次に来る奴は、美少女を脅してたやつかな。威勢だけはいいが、さっきのやつよりも運動神経が鈍い。おれはそいつがまっすぐに走って来ると予想し、くるりと右回りに回転する。そしてそいつはイノシシのように前に突っ走てくれたので回転の勢いをつけ、右足を下から上にむかって蹴り上げる。見事相手の横をとっていたおれは、相手の脇腹に命中。そしてそいつは、重心が右に移動したのでおれは左足に力を込め相手の右側に回り込む。そしてまた回転を利用した蹴りを入れる。相手は両脇腹を食らったから、もう戦えないだろう。

「食生活には困らない程度に臓器は潰した」

「お、お前。」

まぁ無理もない。こんな人間にあったら普通異世界だろうが驚くよな。次は誰をやろうか。とおれが前に走った瞬間目の前の敵が全て消えた。いや消えたのではなく上に吹き飛んだ。ん?よく見るとあいつが敵を全員上に持ち上げ、そして空高く持ち上げたらそこから落としているだけだ。

「勝手にあいつは…」

ほんと呆れる。おれの初めての戦いにあいつはクライマックスの美味しいところを全て持って行きやがった。それもおれよりも派手な方法で。もちろんそんな空高くまで持ち上げたら近くにいた街の人たちもこちらに気づく。はぁ…ほんとこいつと一緒にいたくはない。
そして、空高くまった相手は地面に落下すると同時に数本の骨を折ったような音を出し、恐らくは臓器が潰れたからであろう口から血を吐いていた。

「はぁ…ほんと派手にやりやがった。」

俺はこいつらが生きてるのかが心配になる。もちろん異世界だからといってひとを安易に殺していいわけがない。

「今日は少しやり過ぎちゃいましたわ。でも。こんな悪いことしたらダメだよ?次やったら命の保証はできません」

「いや今の時点で命の保証はできねぇよ」

この先が本当に思いやられる。やっぱり俺は不運の塊なんだろうか。


そんなことを思いつつ、数分後俺は武器屋についた。

「ここが武器屋か…なんというか、趣があるな」

「無理に褒めなくても大丈夫ですよ。私もこの武器屋はオンボロだと思っているので」

まぁ、確かにこいつのいうとおり褒める要素が何もない。古めかしくて趣があるわけでもなく、古都のような風景でもなく、ただただ普通の店がボロボロになっているだけであった。

そんなことを思っている間にも、店の奥から何か大きな影が現れた。

「いや…これ…」

「こんにちは店主さん。今日は武器を買いに来ました。」

「そうか。まぁゆっくり見てってくれ」

いやいや…これ…みるからに人間じゃない。さっき奥から来たのは大きくて黒い熊だったのだ。それに、この熊現実にいるような熊ではなく、ジブリ映画に出て来そうなアニメに近い熊だったのだ。

「さぁ。何をしてるのです?早く行きますよ?」

「おいっ」

いや、俺はもう幾つも非現実的なことを体験して来たのだ。もう慣れなければこれから生きてけない。それに、そもそも隣にいるこいつがまず非現実的なのだから。今更驚くことはない。

「自己紹介してなかったな。俺の名前は紅蓮だ。異世界から来た人間だ。よろしくな」

とにかく冷静を装っていうしかない。こういうでかい相手をした時ビビっていたら相手になめられる。逆に堂々としてればそれだけで何もしてくることはない。

俺はそんなことを考えていたが、そんなこと考える必要もなかったのかもしれない、

「紅蓮か…あの紅蓮か…まぁいい。俺はこの店の店主だ。武器を製造することだってできる。この辺りじゃ有名なはずだ。」

今こいつ、俺の名前を何か知ってる風に言ってたな。俺の何を知ってるんだ?いや、そもそも俺はこいつと昔にあった記憶がない。いや会っていないだろう。でも何か引っかかる。

「何を考えてるんです?この私を無視して。早く行きますよ?」

「引っ張るなって。わかったちゃんと行く」

「分かってない!」

なんだこいつは。プスっと頰を膨らまして、少し考え事しただけで何故そんな不機嫌になるんだ?俺何かしたのか?いや今はそんなこと考えるのはやめよう。ここに来た理由を果たさなければ。

「この店でオススメなやつはなんだ?」

「うぅぅん…お主の使う剣にもよる。例えば力に自信があるなら大剣とか太刀とか。そしてスピードに自信があるなら双剣。アイテムを使いつつ戦うなら片手剣や短剣っておい!人の話を聞いてるのか?」

「あーわりぃわりぃ」

今俺はこの店主が誰もが知ってるようなことを言ってたから剣を眺めていた。俺は興味のない話はとことん聞かない人間だからな。ん?
俺は今かすかにある剣から何かを感じ取った。何かを訴えるような電流が全身に流れた感じのそんな感じに見舞われた。その剣はなんなのかは俺自身わからない。

「おい。まさかお主運命の剣とやらを見つけたのか?」

「運命の剣?なんだそれは」

「まさか知らないとは。まぁしょうがないわよね。異世界から来たこの世界をまだ何も知らないど素人なんだもん」

こいつの言ってることは正論だが無性に腹立つ。今すぐ一発かましてやりたい。

「運命の剣というのはな、選ばれしものだけが使える剣なのだ。」

どういうことだ?選ばれしもの?でも俺は異世界から来たからこの剣が造られた時にこの世界にいないはず。だから選ぶも何もできないはずなんだが。

「選ばれしもの…俺がか」

「まぁーそれは言葉の綾だ。気にするな」

いやこいつわかりにくいな。一瞬選ばれしものって言われた瞬間興奮しちまったじゃねぇか!その興奮返せや

「簡単にいうとな、普通の剣は使う人間が選ぶ。だがな、運命の剣というのはな使う人間が選ぶのではなくその剣が使う相手を選ぶのだ」

なんてワガママな剣なの!??まぁ剣を選んで俺らもワガママか。そんな剣と俺は運命を感じたってことか?なんか、変な気分になるな。

「店主よーちなみにその剣が人を選ぶってのは具体的にどういうことだ?」

「ふむ。運命の剣はな人間の性格や、体力学力健康全てを感じ取ることができる。つまり運命の剣は自分と相性のいい人間を探せることだ。」

なるほどな。つまりその剣はパソコンみたいなやつか。人の情報が全てわかる剣、強いのか弱いのか分からない。

「でもよ、別に誰でもその剣使えるんじゃねぇか?」

最初からなんでも情報を得られたとしても、使う人を選ぶってのは流石に無理があるだろう。俺はそう思っていたがこの世界の理は随分と違うらしい。

「この剣はな、いわば気分屋なのだ。自分と相性のいいやつしか本領を発揮しない。普通の人間が使うと普通の剣と変わらない。だが、選ばれたものが使うとそいつが本気を出してくれるんだ。」

「剣の本気ってのはどんな感じなんだ?」

俺は素朴な疑問を言ってみる。

「この世界には人によって異なる能力を持った人間がいる。それはお主もわかるよな?」

まぁ自分が空気を操る能力を持っているらしいからなんとなくわかる。

「そしてな、この世界は人間が能力を持っているなら物にだって能力があってもいいんじゃないか?という結論に至ったのだ。」

この世界作ったやつは誰だ?ちょっと、後先考えないで好き放題やりすぎじゃね?
俺はこの世界に対して少し呆れた。

「でな、だとしても全てのものに能力なんて宿ったら大変なことになっちまうだろ?だからな剣というものだけに特別能力がついたのだ。つまりは剣の本気ってのはな剣が独自の能力を解放してくれるってことだ」

「おぉっ」

俺は素直に驚いてしまった。今まで、能力というもの自体に驚いていた俺だが、剣という思春期の男子には魅力的なものもあり、さらに能力までついてしまうとは夢にも思わなかっただろう。

「で、話戻るがこいつが俺の運命の剣なのか?」

「いやまだそれがお主の運命の剣なのかは分からない。運命の剣なのかを確かめるにはそいつ本人に一度その剣を使ってもらうしかない」

なんだよ。また期待しちまったじゃねぇか。こいつら期待させておいてその期待を全部ぶち壊すのが好きなのか?性格黒すぎだろ。

「まぁとにかく、俺はこの剣を使ってみればいいんだろ?」

「あぁ、そうだ。早速やってみるか?」

「もちろん。やってやる」

て、俺は大口叩いたけど実際剣なんて使ったこともないし使い方さえ知らない。そんな俺が本当にこの剣が運命の剣なのか確かめられるのか?本当に運命の剣だとして、その能力を導き出せなきゃどうすんだよ。


「なーに心配してんの?あんた今更本当にこの剣使いこなせるかどうかとか思ってるんでしょ?」


「バレたか」


やべっ、こいつ何もかもお見通しだ。こえぇー。まぁ、心配しても無駄だな。結局はやって見なきゃわかんないし、それに剣を見つけないと何も始まらないからな。

「そりゃ誰が見たってわかるわよ。あんたの顔に書いてあるもの」

なんだこいつ。いちいち腹立つな。

「まぁ、ありがとな。教えてくれて」

なんだかんだ行って背中押してもらってるんだよなー。

「な、な、何もあんたに感謝されることなんかされてないわ」

「で、どこなんだ?その剣を試す場所」

「それはな、この店の奥だ」

この店の奥?いやどう見てもこの店には道が続いてるようには見えないんだが?まさか…いや考え過ぎか…

ポチっ

ん?今こいつなんかのスイッチ押したな?この店主なにしたんだ?俺が思ってたことが本当にあるのか?

「なぁ、店主。どう考えてもこの店の奥はあるようには見えないんだが?」

「まぁ、見てろ」

キィーーーガシャ、キィー

この店内がずれてるような音がする。あちこちからからくりのように。右にあった商品が後ろに行ったりと。ん?これってやっぱ

「店主!これはまさか、からくりの店なのか?」

「ふ、驚いたか?」

「あぁ!」

まさかなー。日本生まれの俺でさえもからくりの店を見たことないのに。さっきまで絶対ありえないと俺は心で思ってたのに、ほんっと異世界ってすごいな。

「紅蓮??今日はなんか色々と驚きすぎですよ?さぁはやくいきますよ?」

「いや、驚く理由は大半はお前にあるんだが?」

俺は思わずツッコミを入れてしまった。
そして、俺らの目の前には広大な緑の自然が広がった。

「本当すごいな」

先を見ても壁が見えない。そんくらい広い場所だった。

「さっそくだが、試してみろ」

もうやるのか…俺は剣を手にする。そして一振りしてみる。

「ん?」

俺は普通に剣を振っただけのにものすごい勢いで地面に空気がぶつかったような。そんな気がした。次は強く振ってみる。

バァーーーーーン!

「………」

まぁ言葉が出ないのもわかるぞ店主。俺も正直今の現状を把握できてない。ただ、こいつは俺の運命の剣ということだけがわかった。今俺らの前には一振りした剣によって先が見えないほど長い亀裂が地面に入った。

「お主……これほどの強さを持つものは初めて見た。お主はまさか…」

「店主さん。それ以上はダメですよ?まだ紅蓮はこの世界に入ってきたばっかので」

「あぁ。すまない。すまない。私としたことが」

ん?俺に知られてはいけないことがあるのか?まぁいい。それよりもこの剣は俺と運命の剣なのか。興奮しちまうな。それにこの剣両手剣という大きな剣のくせにとても軽い。なのに見た目はとてもじゃないけどゴツすぎる。まぁかっこいいからいいんだけど。

「この剣もらっていいんだよな?」

「お主これをタダで渡すと?」

「あぁ。もちろん。この剣の能力じゃ売れなさそうだけどな」

この気分屋の剣は相手がいない限り絶対売れない。見た目でだけで欲しがるコレクターもいるだろうが、さすがにこの店にまで入って手に入れようとは思わないだろう。

「この剣はな世界で唯一1つししかない剣なんだぞ?そんな剣をタダで渡すとでも?」

「あぁ。もちろん」

「お主というやつは…まぁこの剣相手が見つかって嬉しいだろう。今回は特別にくれてやる」

「ありがとよ!」

そして俺らはこの武器屋を出た。

「今からどこに向かうんだ?」

「ギルドに向かいます」

ギルドかぁ。昔やってたゲームによくあったクエストを受注するための、集会所だ。昔はそこでよくいろんな人とチャットしたっけ。そんなとこに今から俺が行くなんてとてもじゃないけど楽しみすぎて喜びを隠しきれない。

「で、そのギルドってここからどの辺なんだ?」

「すぐそこですよ。」

ん?こ、ここがギルド?俺が今見てるのは大きいコロッセオのような闘技場に似た場所だ。まぁ、たまにこういう場所がギルドってこともあるからな。深く考えない方が身のためか。

「で、入り口はどこなんだ?」

「それはこの上です。」

こ、この上?いやいや、コロッセオみたいなギルドで上から入れといわれても高さは軽く一つのビル超えるぞ?どうやってこの高さを登るつもりなんだ?

「心配しなくても大丈夫。普通に登ればいいんだから」

「その普通の登り方がわかんねぇんだよ」

またツッコミを入れてしまった。いやいや、その前にこれをどうやって…。普通にってまさか、原始的に登れってことか?いや、まてよ?あそこにハシゴがある。んんん??よく見るとあのハシゴにたくさんの人がいるな。

「おい、みんなあのハシゴに登って上に行ってるんだが?」

「まぁ、普通の方々はハシゴを登って上に行きますね。」

なんてめんどくさいことを。このギルドはなぜそんないちいち余分なことをしてるんだ?

「今、なんて無駄なことを…なんて思いましたね?」

「……くっ」

なぜバレた。やっぱりこいつすぐ心を読み取る能力が。そんな能力思春期の男性には辛いんだが?

「大丈夫です。そんな人の心を読み取る能力なんて持ってないから。ただあなたがわかりやすいだけ」

俺表情に出てるのか?これからは無表情で過ごそう。うん。無理なのは知ってる。でも、エッチなことを考えてる時だけは隠そう。

「話戻すけど、なんであんな無駄なことをしてるんだ?」

「それは簡単です。このギルドは一定以上の能力のある人にしか入れないようにし、そして、その人たちにクエストを受けてもらうのです」

なるほどな。このギルドは力のないやつだとすぐ死ぬから使えないと。そして強いやつだと死なないし使えると。その見分けをするためのやつか。まぁとにかく俺ならいける。

「早速ハシゴに向かうか。」

「何を行ってるんですか?ハシゴなんてめんどくさいじゃないですか。さぁ、飛びますよ?」

「と、飛ぶ?」

こいつは一体何を言ってるんだ?俺は飛べないと前に言ったはずだが?

「心配ご無用!私は普通に飛ぶけどあなたはジャンプすればいいんです」

は?ジャンプ?いやいや、届くわけないじゃん。バカなの?いやバカなんだ。高層ビルを軽く超えそうな高さを軽くジャンプで超えろと?そんな身体能力はさすがに俺でも兼ね備えてない。

「考えてても始まりません。行きますよ。」

「だから俺飛べないってーーー」

「ほら、早く!!クエスト無くなっちゃいますよ?」

「あのやろうーー!!自分が飛べるからって。後で一発殴ってやる」

くそーー!もうヤケクソだ。どうせ届かないのは知ってる。やるだけやって見て、結局無理でしたー。早く俺を連れてってくださいー。って言ってやろう。あぁ!もういい。早く行くか。

「おりゃーーーーー!!!」

俺は足に力を込める。全体重を足の裏にやり、地面にそれを送るように意識をする。つまり上から下に力が流れるように。そして、マックスに伝わったら下に向かって流していた全体重を上にって、

ドカッーーーン

「ああああぁぁぁぁぁーー!高すぎ!!!!高すぎだからーー!俺死ぬーーー!」

俺が飛んだ位置を確認すると半径2メートルほどの円が空いている。大きな音を出しすぎたせいか、周りの目がきつい。そりゃーそうですよね。ハシゴで精一杯登ってる人にとったら俺なんてチートで簡単に登ってるようなもんなんですから…

「ほんっとすいません」

もう少しでコロッセオの高さを超える。ってえええぇぇぇ?もう随分コロッセオの高さ超えているんだが??これいつ落ちるの?てか、落ちるの?俺の脳内には自分が死ぬ瞬間しか思い浮かばない。そして、この街が石ころの小ささに見えた頃。俺の加速はおち、下に向かってって

「ぎゃぁぁぁぁぁー!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」

まるで隕石のような速さで落ちて行く。ん?なんかあったかい?んんん?いやこれめちゃくちゃ熱いんだ。隕石が周りに火を放ちながら落ちる感じに俺も今そんな感じにって

「あつあつあつあつあつーー!!!燃え尽きるーー!!」

俺はとうとうコロッセオの中に入った。光の速さを超えるかと思うほどの速さでギルドの地面を貫いた。

ドカッーーーン

飛び立つ時と同じ音だ。そして、ついでに俺の意識ももうはっきりとしていない。

俺今日から異世界に挑みます

初めまして。和泉 大希(仮)といいます。この作品は初めて作った作品です。ちなみに僕が本文を書き友達に修正してもらったものです。まだまだ、おかしな部分や表現足らずな部分がたくさんあると思いますが、温かい目で見てください。
そして、月一でこの作品の続きをあげれるよう努力します。
次回はとうとう!初のクエスト!紅蓮達は無事クリアーできるのか?
最後に、この作品を読んでくださった皆様。心から感謝致します。

俺今日から異世界に挑みます

初めまして。そして初めて小説に挑戦したものです。日々良い作品をかけるよう努力しています。作品を読んでくださった方。感想やアドバイスをお願いします。ついでにこの作品を好きになってください笑笑 みなさんが、続きを読みたいとおもえるような作品を作るよう努力していきます。これからもどうぞよろしくお願いします。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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