アルカナ・グリモワール
更新遅くなってすみません…。もう少し更新頻度を上げられるように頑張ります!
プロローグ
(ここは、どこだろう?)
目の前には、昨日までと全く違う景色が広がっていた。
私は、昨日のことを思い出そうとした。だが、思い出そうとすると、頭にとてつもない痛みが広がり、倒れそうになった。
(とにかく、周りを探索してみよう。なに かわかるかもしれない。)
周りを見渡すと、数メートル先には、とても広い街のようなところがあった。
(よし、あそこに行ってみよう)
私は、その街に向かって歩き出した。
第1章 城下町アルクス
(着いた!!)
私は、30分ほど歩き、目指していた街に着いた。
街の門の隣に、
『ようこそ、幸せと活気に満ち溢れた、アルクスの城下町へ!』
と書かれている看板がある。どうやらここは、アルクス城というお城の、城下町らしい。
(まずは、ここらへんにいる人に、ここはどこなのか聞いてみよう)
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
「初めまして、冒険者さん。ここの街は初めて?」
この人は…誰なのだろう?とにかく、聞かれたことに答えようと思った。
「あぁ、はい。初めてです。とても広いですね。」
「そうでしょう?びっくりした?」
「はい。とても驚きました。」
「ここはね、冒険者さんが多く訪れる、情報収集にはもってこいの場所なのよ。」
私は、ここに来て正解だったようだ。ひとまず、お姉さんにお礼を言い、情報収集をしようと思った。
「あの、ここで一番情報がえられる場所ってどこでしょうか?」
「情報収集したいなら、街の中心にある、ギルドに行くといいわ。あの、とても高い建物よ。今日は何人も冒険者さんを見かけたから、たくさん情報を得られると思うの。」
「いろいろ教えてくれて、ありがとうございました。ギルドに行って見たいと思います。」
「あ、そうだ。ギルドの受付の人に、アリシアから紹介してもらったって言えば、冒険者登録もできると思うわ。」
「わかりました!ありがとうございました。」
「また会えることを祈ってるわ。」
私は、お姉さんと離れて、ギルドに向かうことにした。
第2章 初めてのギルド
ギルドに向かって歩いていると、いろいろなお店が目に留まった。
(ここは…武器屋…ここは…焼き菓子屋…たくさんあるなぁ…)
こんなことを考えながら歩いていると、すぐにギルドに着いた。
(高っ!)
ギルドは、とても高い建物だった。一体何階まであるのだろうと思いながら、ギルドに入って行った。
ギルドの中はうるさくて、耳が痛くなった。
入り口を入ってから、まっすぐに進んで行くと、受付のようなカウンターがあった。
(あのお姉さんが言っていた受付ってここでいいのかな…)
ひとまず、カウンターに立っていた方に、聞いてみることにした。
「すみません、受付って、ここであってますか?」
「あ、はい。ここは受付です。なにがご用ですか?」
どうやらあっていたみたいで、ホッとした。
「えっと…アリシアさんに紹介されたので来たんですが…」
「えっ!?アリシアさんが!?」
(アリシアさんって、そんなに偉い人だったのかな…)
「か、かしこまりました、アリシアさんのご紹介なら…。失礼いたしました。ご用ななんでしょうか?」
私は、何が何だかわからなかったが、とにかく、用件だけ言おうと思った。
「えっと、アリシアさんが、冒険者登録をしたほうがいいと言っていたので、お願いしたいのですが…」
「そういうことなら!お任せください!まず、お名前を教えていただきたいのですが、あなたのお名前は?」
名前…。私の名前…。あ、頭が痛い。た、倒れー…。
第3章 私の名前…。
(う…頭が痛い…。ここは…どこだろう…?)
「あ、お気づきになられましたか!?」
(この人は…確か…)
「ギルドの受付の方…」
「マリアンです!私がお名前を聞いた後、あなたが倒れてしまったので、ギルドの宿で寝かせていたんです。ちょうどご飯の時間だったんで、部屋に運んで来たところです。」
「そうだったんですね…。ご迷惑おかけしました。」
「いえいえ、あなたこそ、大丈夫ですか?」
「あ、はい。おかげで楽になりました。」
「よかったです。ところで、もう一度、お名前をお聞きしても…?」
嫌な質問が来た。私は名前すら思い出せないのだ。
(マリアンさんには、話しても害はない気がする。)
私は、マリアンさんに話すことにした。
「そ、そのことなんですけど…。」
私は、今までのことをすべて話していった。
「そんなことが…。無理矢理お名前を聞いて、すみませんでした。」
「い、いえいえ!!こんなことになった経緯を、もっと早くお話ししていれば…。」
「それにしても、どうしましょう?冒険者登録には、お名前が必要なのですが…。」
(名前がないと、冒険者登録できないのか)
私は、いいことを思いついた。
「な、なら!マリアンさんが、私の名前を決めてくれませんか!?」
「え?」
「冒険者登録には、名前が必要なんですよね?名前が無ければ、登録できないわけで。マリアンさんが決めてくだされば、支障はなくなりますよね?」
「わ、わかりました!あなたのお名前はー…」
第4章 冒険者登録完了!
「あなたの名前は…エミリアさんで!」
「エミ…リア…?エミリア…、エミリア!!可愛い名前!ありがとうございます!」
「いえいえ、これで冒険者登録できますね!おめでとうございます!」
「そっか…。私もついに冒険者…!」
「まずは、冒険者登録だけ済ませてしまいますね。あ、あと、誕生日が必要なので…エミリアって名前がついた、今日にしましょう。水/50/3-2…と…。」
(誕生日わからないや…みず斜線50斜線3の2…?)
「えっとですね、これは、ここでの日付を表していて、毎年毎年、火、水、風、土の順に回っていて、50というのは、水が今年で50回目ということなんです。なので、去年からの4年間は、50の年ってことです。」
「へぇー、そうなんですね。」
「で、3-2というのは、1年を15にわけて考えた時に、3個目の、2日目ってことなんですよ。」
「そうなのか…。私の誕生日、覚えておきます!」
私とマリアンさんは、ギルドの受付に戻った。マリアンさんに書類を書いてもらったおかげで、私は、正式に冒険者になることができた。
「ありがとうございました、とても助かりました!」
「いえいえ、困っている方を助けるのは、当然のことですから!」
マリアンさんが優しい人でよかったと思った。
「これからこの街を出て冒険に行くのならば、装備を揃えて行ったほうがいいですよ。モンスターを狩ればお金が出るので、それを貯めてください。ギルドに来てくれれば、オススメなどお教えします。」
私は、マリアンさんに従って、モンスターを狩りに行くことにした。
第5章 モンスターは強かった
マリアンさんにオススメの狩場を教えてもらい、早速行ってみた。そこには、オークと呼ばれるモンスターがいて、お金が手っ取り早く稼げるらしい。
だが、現実は厳しい。オークは棍棒を持っているのに、私は銅でできた短剣しか持っていない。マリアンさんから、銅の短剣はもろいと言われていたため、オークと戦うのが怖かった。
一旦家に帰りたいと考えていた時、気がついた。
(あれ…これ、私の家ないんじゃない?)
こんな時、他の人ならどうするのだろうと思いながら、またマリアンさんのところに行こうと思って引き返した時…。
「グォォォォォ!」
(え…!?)
戦わずに帰ろうと思っていたのに、気づかれてしまった。こうなったら、倒す以外に手はない。
(よし!私なら勝てる。私なら勝てる。私なら勝てる。)
そう念じながら、突進して来たオークに向かって短剣を振った。すると…
「グォォォォォ」
という、気がついたときと同じ声を出しながら、姿を消した。私は何がおきたかわからず、立ち尽くしていた。その時…地面で、チャリッという音が聞こえ、地面を見てみるとー…3枚の銅貨があった。
(これがお金…。)
その銅貨を取ろうとした時…さっきのオークが出した声で、私に気がついたオーク6匹が、私めがけて突進して来た。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴とともに、私は、逃げかえるように街へ帰った。
第6章 金稼ぎの鉄則
オークに追われて、街へ逃げ帰った私は、またもやギルドに行き、マリアンさんにオークが強かったことと、家がないことを伝えた。
「え、家、ないんですか?」
「はい、恥ずかしながら…帰るところも、休むところも無くて…。」
「んー…じゃあ、ギルドから家をお貸ししましょうか?」
(どういうことだろう…?)
「えっとですねぇ、月の儲けの一割をギルドに寄付することで、家を借りることが出来るんですよ。」
「そんな制度があるんですね…!」
(どうしよう…。月の儲けの一割…。今日みたいな感じで、銅貨が3枚しか手に入らなければ…。)
「あ、あとですね」
そんなことを考えていた私に、マリアンさんは、違うことを言ってきた。
「オーク1匹倒して、銅貨3〜5枚得られましたよね?その、オークを5匹倒すことで、ご飯一食分ですね。」
(ご飯ってそんなに高いのか…)
「ちなみに、その他のモンスターだと、オークよりも安い、銅貨1枚や2枚しか出しません。オークが強くても、倒していかないと、お金が永遠に手に入らないんですよ。」
そんなこと、初めて聞いた。
オークを倒すことは、金稼ぎの鉄則らしい。
第7章 再びのオーク
私は、マリアンさんの話を聞いて、再びオークに挑むことにした。
街を抜けて、湖の近くを右に曲がると、オークの出現ポイントになっている。
今回は、他の人もオークを狩っていて、数がそんなに多くなかった。
すると、1匹のオークに気づかれたため、短剣を取り出して、倒した。やはり、オークから出るお金は、3枚が限度のようだ。戦うのにも慣れたため、5,6匹倒して見た。
するとそこで、体に力がみなぎるのを感じ、なぜか気になった。お金と銅貨が24枚溜まったため、一度街に戻ることにした。
ギルドに着くと、マリアンさんが、
「どうでしたか?収穫はありました?」
と聞いてきた。私は、さっきの力がみなぎったことをマリアンさんに告げると、マリアンさんは、
「レベルアップしたんですね!おめでとうございます!」
といってきた。よくわからなかったが、まぁ、良いことなのだろう。
「レベルアップしたみたいですし、お金も溜まってきたみたいなので、そろそろいいかもしれませんね。」
私は、マリアンさんが何のことを言っているのかわからなかった。
「何のことですか?」
「少し待っていてください。エミリアさんのグリモワールを持ってきますね。」
第8章 グリモワール
グリモワールとは、何なのだろう?
(マリアンさんは、私のと言っていたから、私専用の何かということはわかるのだけれど…)
私が悩んでいると、倉庫に行っていたマリアンさんが受付に戻ってきた。
「これが、エミリアさんのグリモワールですよ。」
そこには、表紙に魔法陣のようなものが書いてある、一冊の本があった。
「これは、グリモワールと言って、魔道書という意味です。グリモワールは、冒険者登録をすると、一人一人に与えられるもので、魔道書という意味の通り、魔法が使えます。ここに、スキルとして、習得した魔法が自動的に書き込まれていきます。図書館などにある、共用グリモワールを読み、使えるようになると、魔法の習得が完了します。」
私は、異世界に来たのだから、魔法を使いたいとは、前から考えていた。そのため、魔法を使えるようになるとは、とても嬉しい。
だが、私は、マリアンさんの次の言葉を聞いて絶句した。
「でも、1つの魔法を習得するには、最低でも3年はかかりますね。使えるようになるのはとても難しいので。」
私は、マリアンさんの一言で、夢を打ち砕かれた。
「とにかく、このグリモワールを差し上げます。国境を越える時の身分証明や、杖の代わりとしても使えるので、無くさないでくださいね。再発行には、金貨500枚必要になりますから。」
私はそれどころではなく、夢を打ち砕かれてしまったため、マリアンさんの話の最後の方は、全く頭に入ってこなかった。
第9章 私のアルカナ
マリアンさんからグリモワールの話を聞いてから5日後、私は毎日オークを狩っていたせいか、お金がどんどん溜まった。マリアンさんにオススメの装備を聞き、新しく買い揃えることも出来た。
そんなことがあり、オーク狩りもつまらなくなって来た頃。私は、魔法に挑戦しようと思った。
魔法は、覚えるのに時間がかかることを除けば、とても使いやすくて、攻撃力も高いシロモノなのだ。使わないわけにはいかない。
私は早速、オークの狩場に向かった。装備は整えてあるため、何度か攻撃を受けても死ぬほどではない。
グリモワールを開くと、初級魔法アイスと、ファイヤが書かれていた。
(そういえば、マリアンさんは、書かれている魔法は覚えているもの…とか言ってた気がする…。とにかく使ってみよう!)
私はまず手始めに、アイスを使ってみることにした。
「アイス!」
ビュォォォォ
すごい音だ。効果はバツグン。だが、少しおかしい点があるのだ。魔法攻撃力が高すぎる。
マリアンさんは、初級魔法は攻撃力が少ないから、上級魔法を覚えるまでは使い道があまりないと言っていた。
疑問に思った私は、マリアンさんのところに行って聞いてみることにした。
「そ…それは…!!スキルです!魔法攻撃力アップのスキルではないでしょうか!?……あ、えっと、スキルとは、人によって違う恩恵のようなもので、この国では、神が作った恩恵と考えられていますが…。特に、攻撃力アップスキル、魔法攻撃力アップスキル、身体能力アップスキルが珍しいんです。スキルは、主にアルカナと呼ばれていて、神が下さった個性、知識、能力という意味だそうです。」
(つまり私は、珍しいものを手に入れたってことか…。)
私は、新たなる能力を手に入れた気がした。
アルカナ・グリモワール
初めまして、作者の和錵です。これが初めての投稿なので、誤字脱字や、ストーリーのなっていないところなどがありますが、大目に見ていただけたら嬉しいです。これからも順次投稿できるように頑張って行きたいと思います。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。