生を謳歌する。


表現する事は生きる事の肯定だ。
全ての生命がそうしている様に、俺は俺の生を形に現す。
そう、例えば文字に、音に、表情に、声に、立ち振る舞いに、歩く時のその左足の出し方に。
見るもの、聴くもの、嗅ぐもの、触るもの、食べるもの、喋る事、動く事、掴む物、考える事、全てが、あらゆる全てが俺を俺に伝える表現だ。


心臓は動く、考えてなくても動く。永遠とも思えるその中を、巡る赤い血と共に。
その素晴らしさを、言葉にする事を抑える事は出来ない。
呼吸は続く、取り込み吐き出し続ける。冷ややかな冬の風も、ぬるく湿った夏の大気も。
その快感を、愛おしく思わずに居られるだろうか?

生きて行く事は素晴らしい。
言葉に出しても出しても尽きぬくらいに。
生きて行く事は素晴らしい。
愛しても愛しても果てしなく愛せるくらいに。

生を謳歌する。

生を謳歌する。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-03

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