三年交響曲

少年少女の中学最後の年のお話。

プロローグ

去年のクラスは、最低最悪だった。
私は所謂三軍にも入れないような人種だったのだが、脚色抜きで去年のクラス....仮にも2年4組としておこう。2年4組は格差社会だった。

いじめと言われるものは無かったが、いかんせん排他的なクラスだった。おまけに不良、ヤンキーが多かった。校則を破るのは当たり前だった。不登校児が1人いた気がした。合唱祭前に来なくなった者もいた気がする。馬鹿な男女が得して、真面目なものが損をする。ああ、なるほど社会の縮図だ。


「今からクラス替えのプリント配るよ。」
「先生、なんで裏で配ってんの。」
「みんな一斉に見た方が公平だろ。」

薄っぺらい緑色の紙。170人近い人間の名前が記してあるせいか、机に置くと机の色が透けてなおさら汚く見える。義務教育最後の年だ、どんなクラスでも相応に楽しんで見せるさ。

とは思っていたのだが、
「変わんねえ奴が多いな、というか半分去年アタシのクラスだった奴じゃないか?」
その通りだ坂井先生よ、私もその一人だ。
私なんざ出席番号が一つ減っただけだ、2年4組39番から3年4組38番になっただけだ。

もちろん、同じ小学校ではなく、今までクラスが一緒になったことのない名前だけ知っていたという者もいる。近い席だと笹井さんや澤山くん辺りだろうか。

これが3年4組の始まりだった。
男子16名、女子17名、計33名の船旅は遂に舵を切る。

とはいえ、いきなり要点だけ話すと短く終わってしまうだろう。
うむ、そうだな。一月ごと有ったことを話していこうか。いやなに、そこまで長くはないだろう。

人物紹介

随時増やしていきます。

主人公(語り手)
桐林歌鈴(きりばやしかりん)
若干頭のおかしい要素があるオタク少女。特段愛想もない上、可愛くもない。クラスで真ん中行くか行かないか。
8月生まれ

卯月狂詩曲①

あまり変わり映えのしない気がするが、嫌でも一年は同じクラスの一員なのだ、80年近い日本人の人生に中でのたったの一年だ。我慢するほかにない。
いつものように同じ小学校の人間が多いと思っていたが、今年は一小が多いのか。

私の出身校は、学区内の他校より人数が多かった。いや、実際は越境通学者が多かった。他の小学校....私の出身地は番号制なので、一小と四小は学区内が変わっていた。
前者はかつて赤線と呼ばれていた風俗街があり治安が悪い。そのため、朝通らせたくないと思う親御さんが多かったのである。
後者は縦(場合によっては横)に伸びた区分けのせいで地域によって私の出身校、一小、三小という学校に近い家庭が多かった。
そのせいか、私の出身校は80人規模の卒業生を送り出したが、他校は60人程度の人数だった。そのため確率的に顔を見知って9年目という人間が多い。

閑話休題、これは意外だな。名前だけ知っていて顔が分からない人間が多すぎる。なんとなく記憶にあるという者も居るわけだし。まあいい、一学期中は如何にかやって行くさ。二学期からは受験期なのだからな。

三年交響曲

三年交響曲

少年少女の中学最後の年のお話です。 全てフィクションですが、出来る限り現実に近づけているようにしています。 ファンタジー系や恋愛系は一切出ません。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-03

Copyrighted
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  1. プロローグ
  2. 人物紹介
  3. 卯月狂詩曲①