チケットモンスターズ

3巻

1章 日常
 2度の重大任務を終えた選抜部隊Bは基地内でつかの間の休息を取っていた。
光彦「用事ってなんだ?」
玉子「お弁当を作ってきたんだ。」
 玉子と光彦が二人で密会していた。玉子は大きな胸を揺らし、長い髪をかき上げ、お弁当を差し出した。
光彦「え?」
玉子「はい、クジラの刺身と犬肉のステーキとファグラのトマト煮込みにウサギのから揚げにフカヒレごはん!全部お前の好きなものだ!」
光彦「うわぁ…。全部俺の大好物じゃないか!ありがとう!でもなぜ急に?」
玉子「インフォメーション・コアで助けてくれたお礼だ。おかげで殺人者にならずにすんだ。礼を言う。」
光彦「そんなの気にしなくていいのに!わざわざお弁当まで作ってくるなんて…」
玉子「だって、お前の事が好きだから…」
光彦「え?」
玉子は頬を赤らめた。そんな玉子に光彦は時めいた。
その頃、ひろしと桜も二人で会っていた。
ひろし「顔のお怪我大丈夫?」
桜「ええ。大丈夫よ。お気遣いありがとう。」
ひろし「無理しないで!顔が治るまで休んでてもいいのよ?」
桜「いいえ。私をこんな姿にしたアヒージョ合衆国の人たちにお返ししなくちゃね。」
ひろし「え?」
桜「思い知らせてあげるんだから!」
 桜は復讐に燃えていた。
一方、五郎と一も二人で会っていた。
五郎「Ωブロック基地に時は本当に助かったよ。ありがとう。」
一「気にすることないさ。勘がたまたま当たっただけのことだよ。」
五郎「大親友の君に助けて貰えって本当に嬉しいよ。」
一「大親友の君を助けられて僕も嬉しいよ。選抜部隊として、大親友として、当然の事をしたまでさ。」
 五郎と一は楽しそうに友情を深め合っていた。しかし、この後、一の姿を目にしたものは居なかった―――――――。

2章 トップシークレット
 五郎はマカロン帝国の国家元首である金田金に呼び足されていた。
五郎「金様。お呼びでしょうか。」
金「重要な話がある。良い話と悪い話だ。悪い話から先にさせて貰う。」
 金は唇を噛みしめながら、重い表情で話し始めた。
金「息子がコインにされた……。」
五郎「はい?」
金「わしの息子。金田一がコインにされたのだ…!」
五郎「何ですって!?」
五郎は衝撃で腰を抜かした。
五郎「何故?一体誰に?!」
金「わしにも分からん。この基地内でコインになっていた。」
五郎「基地内で?!だれか裏切り者がいるという事ですか?!」
金「現在調査させている所だ。」
五郎「そんな…。」
金「そして、良い話だが、君たちにトップシークレットを教える事になった。」
五郎「はい?トップシークレット?」
金「一と選抜部隊Aの人間にしか教えていない事だったが、一が居なくなった今君が事実上の№2だ。君たち選抜部隊Bの者たちにも知ってもらいたい。そのトップシークレットとは…」
 五郎は金にトップシークレットの情報を聞かされた――。
 五郎は、選抜部隊Bを至急全員召集した。
光彦「緊急召集なんて急にどうしたんだい?」
玉子「新たな任務が命じられたのか?」
五郎「いや、それはまだなんだが…。良い知らせと悪い知らせがある。」
ひろし「良い知らせから聞きたいわ。」
五郎「いや、悪いしらせから聞かせよう。金田一がコインにされた。」
玉子「えええええええええええええええええ?!!!うっそ~ん?!!!」
桜「なんですって!?」
ひろし「どうして…!!?」
光彦「いつ!?一体誰に!?どこで?」
五郎「誰にやられたかは分からない。ただ場所ははっきりしている。ここだ。」
玉子「なんだってええええええええええ?!!!マジかよ?!!!!!!!」
桜「そんな!どうしてこの基地で!?」
ひろし「裏切り者が居るって事!?」
光彦「仲間に…仲間にやられたのか!?」
五郎「それは分からない。調査中だそうだ。」
玉子「まさかこの中に犯人がいるんじゃねえだろうな?!!」
光彦「なんてこと言うんだ!」
五郎「……。次に良い知らせだが、諸君はこの国のトップシークレットを知る事ができる。おめでとう。」
桜「トップシークレット?」
光彦「噂では聞いた事があるが…。」
五郎「金様以外では、選抜部隊Aにしか知られていなかった情報だ。それを選抜部隊Aの金田一隊長が不在になった今、金様から直々に聞いてきた。その情報を選抜部隊Bの全員で共有する。」
ひろし「選抜部隊Aと同格になったって事?」
五郎「むしろ、隊長不在の選抜部隊Aより事実上格上になったと言っていいだろう。僕が事実上の№2だ。」
玉子「それで、そのトップシークレットとは?」
五郎「話せば長くなる…。」
 五郎は頭のなかでイメージした音や映像を具現化できる投影機を頭に付け説明を始めた。
五郎「まずここは地球だ。無限に広がる大宇宙の中にある。その大宇宙は全部で7つあるんだ。大宇宙は7つあり、それとは別に数百の小宇宙が存在する。小宇宙は大宇宙と同じく無限に広がっているが、星も生命体も存在しない。」
五郎は投影機で、7つの大宇宙と数百の小宇宙のイメージを具現化した。
玉子「随分スケールの大きな話だな。」
桜「都市伝説としては聞いたことがあったけれど、その都市伝説は本当だったのね。それがトップシークレットなの?」
五郎「ここで重要なのは有象無象の小宇宙ではなく、7つあると言う大宇宙だ。7つの大宇宙のエネルギーによって7枚のカードが生み出された。その7枚のカードはコアカードと呼ばれる幻のハイパーレアカードだ。その7枚のコアカードは全てこの星に集まっている。」
光彦「なぜ7つもある大宇宙の内の一つの星にそれら全てが集結しているんだ?」
五郎「知的生命体が大宇宙全体の中でもここにしか居なかったからだよ。コアカードは使用者を求めている。」
玉子「随分ファンタジックな話だな。」
ひろし「でも、化学では解明できてないチケモンバトルのコイン化やバトル中に発生する神聖な結界の存在を考えれば、化学では証明できない摩訶不思議なカードがあってもおかしくないわね。」
五郎「重要なのはここからだ。その7枚のコアカードを全て集めたプレイヤーは全知全能の力を得る事ができると言われている。」
玉子「いよいよ本格的なファンタジーになってきたな。」
五郎「それら7枚のコアカードをめぐる争奪戦こそが今の世界大戦だ。7枚のコアカードを全て手に入れた国が世界の全てを制する事ができる。7枚のコアカードを全てそろえる事こそこの世界大戦の意義だ。」
光彦「まるで聞いたことが無い。嘘みたいな話だな。」
五郎「この話を知っているのはペペロンチーノ王国でもアヒージョ合衆国でも国家元首や指導者とその側近の一部だけらしい。世界中で知っている人は100人も居ない。」
桜「だからトップシークレットなのね。」
五郎「そうだ。その7枚のコアカードを集める事が僕らの使命だ。」
 七つ大宇宙とそれに応じたコアカードのイメージ映像を具現化した投影機を頭から外しながら、五郎はそういった。
一同は沈黙に包まれた―――。

3章 第1のコアカード
 五郎たち選抜部隊Bはコアカードの内の1枚があると言われる「異スラム」と言う名の無人島の遺跡を探索していた。ここは、どの国の領土にも属さない無主地だ。
 そこにはペペロンチーノ王国の親衛隊Bも探索を開始していた。そして、親衛隊Bの隊員早川カオリと玉子が鉢合わせになった。すぐにチケモンバトルが開始された。
カオリ「私から行くわよ!私のターン!ドロー!!手札を1枚エネルギーへ!」
 カオリ・HP200/ガードスター6/手札6/エネルギー1
カオリ「コスト1のチケモンを召喚!」
 カオリ・手札5/エネルギー1→0

――――――――――――――――――――――――――――――――――
タンポポポポ
チケモンカード/MP1/コスト1
グレード2/戦闘力10/防御力30/大地族性
<チケモン効果>
①召喚ステップに手札を1枚エネルギーに送り発動できる。特殊召喚デッキから「タンポッポの綿毛」1体を特殊召喚する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

カオリ「『タンポポポポ』の効果発動!『タンポッポの綿毛』1体を特殊召喚!」
 カオリ・手札4/エネルギー0→1

――――――――――――――――――――――――――――――――――
タンポッポの綿毛
特殊チケモン/MP1/コストなし
グレード2/戦闘力20/防御力30/大地族性
<チケモン効果>
①攻撃宣言時に発動できる。自分のチケモンはそのバトルでは倒されない。(ダメージは発生する。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――

カオリ「これでターン終了よ!かかってなさい!」
玉子「俺のターン!2ドロー!1エネルギー!」
 玉子・HP200/ガードスター6/手札7/エネルギー0→1
玉子「『無死螻蛄 モス・モスキート』を召喚!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
無死螻蛄 モス・モスキート
チケモンカード/MP1/コスト0
グレード2/戦闘力40/防御力20/大地族性
<チケモン効果>
なし
――――――――――――――――――――――――――――――――――

玉子「バトルだ!モス・モスキートでタンポッポの綿毛に攻撃!」
カオリ「この瞬間!タンポッポの綿毛の能力を発動よ!このバトルでは倒されないわ!」
玉子「だがダメージは発生する!」
 カオリ・HP200→190
玉子「これでターン終了だ!」
カオリ「私のターン!2ドロー!1エネルギーへ!」
 カオリ・手札5/エネルギー2
カオリ「再びタンポポポポの効果発動!タンポッポの綿毛1体を特殊召喚!」
 カオリ・手札4/エネルギー2→3
カオリ「さらにコスト1の『銀杏の胃腸』を召喚!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
銀杏の胃腸
チケモンカード/MP1/コスト1
グレード3/戦闘力20/防御力50/大地族性
<チケモン効果>
①攻撃宣言時に手札を1枚エネルギーに送り発動できる。その攻撃を無効にする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

カオリ「ターン終了よ!」
玉子「俺のターン!2ドロー!1エネルギー!」
 玉子・手札7/エネルギー2
玉子「コスト2の『無死螻蛄 ヴェノム・マンティス』を召喚!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
無死螻蛄 ヴェノム・マンティス
チケモンカード/MP1/コスト2
グレード2/戦闘力0/防御力0/大地族性
<チケモン効果>
①召喚ステップに手札を3枚までエネルギーに送り発動できる。自分の場の「無死螻蛄」チケモンの戦闘力・防御力を捨てた数×20+する。効果発動後このチケモンの効果は無効化される。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

玉子「ヴェノム・マンティスの効果発動!手札を3エネルギーへ!戦闘力・防御力アップ!」
 玉子・手札3/エネルギー3
 無死螻蛄 モス・モスキート/グレード2/戦闘力40→100/防御力20→80
 無死螻蛄 ヴェノム・マンティス/グレード2/戦闘力0→60/防御力0→60
玉子「モス・モスキートで銀杏の胃腸に攻撃!」
カオリ「銀杏の胃腸の効果発動!手札1枚をエネルギーへ払い、攻撃を無効!」
玉子「ならば、ヴェノム・マンティスでタンポッポの綿毛を攻撃だ!」
カオリ「再びタンポッポの綿毛の能力を発動よ!」
玉子「だが、やはりダメージは発生する!」
 カオリ・HP190→160/手札2/エネルギー4
玉子「ターン終了!」
カオリ「私のターン!2ドロー!1エネルギーよ!」
 カオリ・手札3/エネルギー5
カオリ「特殊召喚デッキから『ぶっちゅーリップ』を特殊召喚!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
ぶっちゅーリップ
特殊チケモン/MP2/コストなし
グレード8/戦闘力150/防御力150/大地族性
<チケモン効果>
このカードは自分の場に大地族性チケモンが4体存在する場合に特殊召喚デッキから特殊召喚できる。
①このカードが場にある限り、このチケモンは相手のチケモン効果の影響を受けない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

カオリ「バトルよ!ぶっちゅーリップでモス・モスキートに攻撃!」
玉子「攻撃宣言時に『村八分』発動!ぶっちゅーリップを選択!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
村八分
魔力カード/MP1/コスト1
①相手の場のチケモンを1体選択して発動する。選択したチケモン以外の相手の場のチケモンの戦闘力の合計分、選択したチケモンの戦闘力・防御力を-する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

玉子「『村八分』の効果でぶっちゅーリップの戦闘力・防御力はお前の場の他のチケモンの戦闘力分マイナスされる!20+20+20+10で合計-70だ!」
 ぶっちゅーリップ/グレード8/戦闘力150→80/防御力150→80
玉子「モス・モスキートの防御力も80!これで戦闘は相殺!ダメージはお互いに0だ!」
 玉子・手札2/エネルギー3
カオリ「やるわね!ターンエンドよ!」
玉子「2ドロー!1エネルギー!」
カオリ「さぁ!きなさい!」
玉子(スライム・ポーションを発動し、フライ・ビーの効果を発動して攻撃すれば俺の勝ちだ…!)
 玉子・手札3/エネルギー4
玉子「コストを4の『無死螻蛄 フライ・ビー』を召喚!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
無死螻蛄 フライ・ビー
チケモンカード/MP1/コスト4
グレード6/戦闘力0/防御力80/大地族性
<チケモン効果>
①このカードが場にある限り、『無死螻蛄』チケモンの戦闘力は場の大地族性チケモンの数×10+される。
②自分の場に「無死螻蛄 フライ・ビー」以外の「無死螻蛄」チケモンが2体以上存在する場合に、召喚ステップにHPを200払い発動できる。このターンお互いにチケモン効果を発動できない。発動後、このチケモンの②の効果は無効化される。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

 玉子・手札2/エネルギー4→0
玉子「フライ・ビーの①の効果に無死螻蛄チケモンの戦闘力はアップ!場の大地族性チケモンの数は8!よって+80!」
 無死螻蛄 モス・モスキート/グレード2/戦闘力100→180/防御力80
 無死螻蛄 ヴェノム・マンティス/グレード2/戦闘力60→140/防御力60
 無死螻蛄 フライ・ビー/グレード6/戦闘力0→80/防御力80
玉子「さらに『スライム・ポーション』を発動!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
スライム・ポーション
魔力カード/MP1/コスト0
①サイコロを1回振る。出た目の数×30自分のHPを回復する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

 玉子はサイコロを振った。
玉子「サイコロの目は1かよ!だがこれでHPが30回復する!」
玉子・HP200→230
玉子「さらにフライ・ビーの②の効果発動!」
 玉子・HP230→30
玉子「これにより、このターン中、お互いにチケモン効果を発動できない!」
カオリ「なんですって!?」
玉子「モス・モスキートでぶっちゅーリップを攻撃!」
 カオリ・HP160→60
 無死螻蛄 モス・モスキート/グレード2/戦闘力180→170/防御力80
 無死螻蛄 ヴェノム・マンティス/グレード2/戦闘力140→130/防御力60
 無死螻蛄 フライ・ビー/グレード6/戦闘力0→70/防御力80
玉子「ヴェノム・マンティスでタンポッポの綿毛を攻撃!」
 ドカーン!!!!
玉子「やったか?!!!」
カオリ「きゃあああああああああああああ!!!」
 カオリ・HP60→0
玉子「口ほどにもない女郎だったぜ。」
 玉子はカオリをコインにしコアカードの探索に戻った。

チケットモンスターズ

チケットモンスターズ

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-02

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