ゆっくりしゃべる

ゆっくりしゃべる




   


  



   


  


アンナはゆっくりしゃべる

俺もゆっくりしゃべる

だからゆっくりの愛



煮詰まったら

渋谷に行け

行ったことないが

いつかおまえ連れて行く



「リル!」「はい、なんですか」

電話ではちゃんと下僕になる

「俺」が「僕」になる



曇り空だが

おれのシーズンだ!

ピクニックで一緒に食べあうぞ!



文字のなかにこころと想いがあり声の中にひとの温度がある



おれの想い

年中無休だ

関係ないさ

ゴールデンウィーク



おまえの声にメロディがあるから

おまえの文字から音楽聞こえる



武骨な歌だ

素朴な思いをつづるさ

素朴 嫌いだったおれが



「リルを思ってるから楽にいてね」

   楽な優しさでいつも待っている



短歌のエンジンを

今日も吹かすさ

毎秒ごとに

寂しくないぞ



恋と愛がある

恋がおまえを可愛くする 俺はただただ愛す



くもり空の休日は

くもり空なりの

おまえへの想いがある



「セックス」と

声に出して言えんおれにセックスを越えた気持ちがある



雲の切れ目に

日が差し込む

おまえにいいことあるといいな

休日



忘れてしまわないうちに

おだやかな声 ぺたっと貼るおれとおまえ



うっすら響く

もう セミの声

気がつくと

アンナの日々がまた増える



文字で 大人びて 

声 まだあずないおまえ

いとしい いとしい いとしい



望むなら

おれを奪え

なんでも使え

愚か者の休日の朝



昨夜の至福

ゆっくり

おだやかな

恋 愛

五月の陽気

ぼんやり



屋根瓦

陽が届く

カラスの低空飛行

成層圏で会おう



しあわせは

心地よくぼんやりしている晴天

まだコーヒー熱い



渋滞する高速

助手席おまえなら

安心してポーカーやる



すずめが鳴いている

ホオジロも歌ってる

おれ おまえに鳴いて歌う



雷がなる

スコールに洗われ

また真新しいおまえが描ける



おだやかな午後を

楽ちんと恵みの陽気

噛まずに噛み締めている


草を抜く軍手

緑がアンナで茶色がおれ

混ざり合う色



浜辺のカフェテラス

一人なら

カップ二つ並べ

水平線みる



風は送ってくれるから

風に 便り 乗せる

風なら無料だしな



おだやかに

陽射し

ながれる雲

ぼんやり傍らに

おまえを置きたい



水田の苗

風で ゆらっとふるえる

風の思いやりで ふるえる



原宿 路上

おまえの魂だけを拾い

知らない海を見せよう



アンナだから

煙草やめるかもな

昼間の紫煙は くるりっとまわる



完全に見える

この惑星

完全じゃないから

おまえが好きだな



税金払いに行かねばな

短歌が「もぉっとぉl!」って誘惑するけどな



陽射しがおれを抱擁する

包容されたおれ

おまえ包容する



おまえいないが

唐突に

甘ったるい水大福

半分にする



「リルの自慢になりたいの」

無理すんな

すでにおれの救命ボート



コーヒー

必ずブラックで飲め

おれの味覚 おれの記憶 おれの詩



会えなくても

二人でこの一日を創ろうとする

かけがえもなく



優しくしていたいから「きみ」じゃなく「おまえ」だ

アンナの写真見ている



エスプレッソがカプチーノに中出しして

モカ 生まれた

土曜の午後



小瓶に

アンナの孤独を入れて

揺らしてみる

サラサラと音がする



ぬくもりと手触りになる

いつか宿してくれ

夕暮れに鳴らしておく



あの時にアンナと呼ぶ

あの時にリルと呼んでくれ

声をかさねて



眠そうな眼でリルと話しかけた

たぶん夏の日の午後仄かな部屋



アンナだけが残る

おれが残すから

アンナを選ぶ

おれが選んだ



おれはいつも拾ってやるからな

おまえが言葉にできない気持ちを



リルとアンナが

染みて

融解して

昇華させる

想いの

暗がり





   


  



   


  

ゆっくりしゃべる

落ち着いた気持ちで書いていたい。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq38

ゆっくりしゃべる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-02

Copyrighted
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