桜と恋
私の目線は一瞬で君に奪われてしまう。
でも、君の目には私なんて写っていない…
君に見えているのは、桜のようにフワッ笑うあの子で
よく、夏の太陽のようだと言われる私とは
全然違うタイプの子
桜の咲く頃
私は 夏化 美希(なつか みき)
今は、高校一年生。心を踊らせた入学式。
そして、一瞬にして、恋に落ちた日
_目が離せなくなった。
先程まで落ち着いていた心臓が
走った後のようにうるさく、苦しく鳴っている。
あぁ、恋に落ちてしまった…
「……」キュッと新しい制服の心臓あたりを握る
まだ春なのに顔が暑い、真夏みたいだ…
「みーきっ!」ドン!
「うわぁっ!!」
人が恋心に浸っていると、なんだなんだ後ろが重い。
声の主は見なくてもわかる。
「もう!おもったいなぁ!
羽栗!!」
「えっへへ〜ごめーんw」
陽気に笑う彼女は
千秋 羽栗(ちあき はくり)
中学からの仲だ。
「それより見た!?同じクラスだよ〜!」
「えっほんと!」
嬉しい、同じ中学の子羽栗しかいないから…
「みき!一年間よろしくね!」
「うん!」
イェーイとハイタッチをする。
「キャッ!」ドン!
誰かにぶつかってしまった。
「あっごめんなさ…」
思わず女の私でも見惚れてしまった。
桜のように綺麗な髪が、春風になびいて、少し髪で隠れた顔は、とても整っていて、全体的に柔らかい雰囲気。
まるで…
桜の妖せ…「桜の妖精みたい!」
あらなんと、羽栗と同じ考えだったみたい。
「えっ!そんな!妖精だなんて!」
その後はパッと立ち上がって一礼
「ぶつかってすいません!1年3組、桜花 春風(おうか はるみ)です!」
はにかんで笑う姿がまた可愛い。
周りの視線も彼女に釘付けだ。
その中には…あの人もいて
まるで私たちがいないかのように、彼女に見惚れていた。
「あっ…」
察してしまった、あの人は彼女に恋している。
「ん?どうした?みきー?」
「あっ…なんでも…ないよ?」
「そっか!あ!ていうか!はるみちゃん1年3組だよね!」
「はい!」
「クラス一緒だし一緒に教室まで行こ!」
「え!いいんですか?」
「いいよ!ねっ!みき!」
暗くなってちゃダメだ
「うん!一緒に行こ!」
私たちは3人で新たなスタートを切った。
桜と恋