カナリヤをやめた鳥

k.m

あるところに、綺麗な歌声を誇りにしているカナリヤの群れがありました。
その群れの歌声はとても評判になり、いつしか人間たちまでもが
カナリヤは皆、歌の上手な鳥なのだと思うようになったのです。

ところがある日、その群れに歌の苦手なカナリヤが一羽
生まれ、どんなに歌を教えても一向にうまくなりません。

それでも自分たちの群れのため、カナリヤたちは必死になって歌の下手なカナリヤに
何がいけないのかを、ひとつひとつ注意しました。

しかし、いくらカナリヤたちが頑張っても結果は虚しく、とうとう歌を教えていた
カナリヤが、そもそも歌声以前に、歌の苦手なカナリヤの声質が悪いのだと言いだしました。
その一言をきっかけに他のカナリヤたちは本音を言い、群れの恥さらしにならないようにと、
歌の苦手なカナリヤが歌を歌うことを禁じました。

けれど、歌の苦手なカナリヤは歌うことが好きでした。
ただ、その歌が怒鳴り声のように誰にとっても聞き心地の良いものではなかっただけで、
到底他人のために歌をやめる気にはなれず、歌の苦手なカナリヤは歌を歌い続けました。

そしてある日、その歌声を聞いた人間が驚いて、姿はカナリヤに似ているが
あれはなんて鳥だろう、と歌の苦手なカナリヤを指差すと、歌の苦手なカナリヤは
“ガナリヤ”と、ひと鳴きしました。

カナリヤをやめた鳥

カナリヤをやめた鳥

かなり嫌のお話。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-04-27

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