夜の数え方

夜の終わりを
123数える
不思議とこの町には
生き物の気配がない
あるのは静寂に満ちた
silver moon
雲の隙間を塗っている


ハンカチーフには
春に咲いた花びら
テンガロンには
絵はがきが一枚
思い出と語るには
まだ早い気がするよ
その色も
走り書きも
鮮やかに目に飛び込んでくるから



また戻ってくる
夜の音色に香る風
ひんやりとした
夜の微睡みの中へ
ゆっくりと
下ってゆく


そのとき僕は気づいた
月明かりから
白い長い階段があるのを見たんだ
あれは天国への道か
僕はその白く今にも
消えそうな霧のような
階段をいつまでも
見ていた


あなたの優しくかなしげな
旋律は宇宙を舞い
わたしの肌に付着する
なみだの粒なのか
水滴でできている
その音や感情は
わたしの肌で蒸発してしまう


何ももないのだ
ひまわりがただ光を
求めるように
とても静かで優しい事だけなのだ
あたりいちめんがピアノのように
何もかもが願いや祈りでできている



かなしいことも
ないのだ



嬉しいことは
言葉にしたい



海へたどりつく
何もかんがえないで
砂浜をゆびさきでなぞる


さらさら
ざらざら
粒々
愛しい



さよなら 可哀想な詩



もうすぐ夜明け


いってらっしゃい

夜の数え方

夜の数え方

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-04-26

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