夜の数え方
夜の終わりを
123数える
不思議とこの町には
生き物の気配がない
あるのは静寂に満ちた
silver moon
雲の隙間を塗っている
ハンカチーフには
春に咲いた花びら
テンガロンには
絵はがきが一枚
思い出と語るには
まだ早い気がするよ
その色も
走り書きも
鮮やかに目に飛び込んでくるから
また戻ってくる
夜の音色に香る風
ひんやりとした
夜の微睡みの中へ
ゆっくりと
下ってゆく
そのとき僕は気づいた
月明かりから
白い長い階段があるのを見たんだ
あれは天国への道か
僕はその白く今にも
消えそうな霧のような
階段をいつまでも
見ていた
あなたの優しくかなしげな
旋律は宇宙を舞い
わたしの肌に付着する
なみだの粒なのか
水滴でできている
その音や感情は
わたしの肌で蒸発してしまう
何ももないのだ
ひまわりがただ光を
求めるように
とても静かで優しい事だけなのだ
あたりいちめんがピアノのように
何もかもが願いや祈りでできている
かなしいことも
ないのだ
嬉しいことは
言葉にしたい
海へたどりつく
何もかんがえないで
砂浜をゆびさきでなぞる
さらさら
ざらざら
粒々
愛しい
さよなら 可哀想な詩
もうすぐ夜明け
いってらっしゃい
夜の数え方