ミステリア

ミステリア

時計さえも眠る夜ー

俺は隣に眠る彼女を起こさないようにそっと起き、こっそりベットから降り、部屋を出た。服を着替え、彼女に内緒で荷物を入れた、トランクをもち、もう一度、彼女が眠る部屋に行った。すやすやと寝息を立てていた。
「ごめんな……」
そう呟き彼女の額にキスした。多分、彼女は朝目覚めた後泣きながら『成亮の馬鹿!』というだろう。
本当はずっとそばにいたかった。彼女を守りたかった。でも……、アイツに殺されるくらいなら、彼女と離れ、決着をつけたほうがマシだった。
俺は愛しい彼女と暮らした家を出て、汽車に乗り込んだ。
ポーポーっと汽笛が鳴り、俺だけを乗せた列車は動き始めた。
窓の外を眺めるととても美しかった。
世界はこんなに美しいのに、何故、俺は……。
ふと、視界が歪み、慌てて目を閉じる。
仕方ない、これが俺の宿命なのだ。そう、無理やり納得させ浅い眠りについた。
窓の外では、雪のような桜が狂ったように、ひらひらと舞った。

気がつくと、俺は、花畑にいた。
ここはどこだ?ーそんな考えが頭をよぎる。
ふと、人影に気づき近寄ってみると一人の少女が座り込んでいる少年に話しかけていた。
『ねぇ!君何してるの?』
〈うるさい、関係ないだろ〉
『ふーん、つまんないの』
〈うるさい、離れろ〉
そう言って少年は少女を追い払った。
それを見て、俺は納得した。
あぁ、これは俺の記憶ーしかも、彼女と出会った時の映像なんだとーー
懐かしいな、と思っていると、少女の後ろに黒い影が現れ、少女の身体が引き裂かれた。
「あ…」
彼女の血が花を紅く染める。
「あ、ああ…」
黒影は笑う。さぁ、憎めと。いくらでも憎め、好きに暴れろと。
その瞬間、俺の中の何かが目を覚ました。

「あ、ああ…ァァァァァァァ!!!!」
と言う自分の絶叫で目を覚ました。
ーー夢か…。
夢にしては生々しい気もするが、まぁ、そこはいいだろう。

ーーアナウンスが終点についたことを知らせる

俺はトランクをもち、うつむきながら列車を降りた。
そして、約束の場所である森に向かった。
森に足を踏み入れようとした瞬間

『踏み込んだら最後なのよ……。』
と、耳元で何かが囁いた。
‪ふと、顔を上げると、目の前には、悲しげな表情をした彼女がいた。‬
‪「麻衣……」‬
‪だが、彼女は何も語らない。ただそこにいて、今にも泣きそうな顔をしているだけだった。‬
‪「すまない、麻衣…。でも、君を守るにはこうするしかない」そう呟きながら、俺は、彼女に近付こうとしたが、風が強く吹き、立ちどまって顔を伏せた。 顔を上げると、そこにはもう、誰もいなかった。
しかし、そこに誰かいた様に、零れた桜の影が、狂った様にゆら、ゆらり泣いていた。‬

ミステリア

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NEWSで妄想第5弾!加藤さんです!リクエストのピンク書かなきゃと思いつつ、ミステリア書いてしまった←バカ こんな馬鹿を許して…

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-04-23

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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