タチカル
朝方の一瞬
僕はベランダに立っていた。
あまりにも綺麗だから、見惚れてしまって。
朝焼けが空に溶かしバターをぶっかけていった。なんてこった畜生!文明なんかちっぽけなもんさ!
そんなみみっちい僕の思いとは裏腹に、光は否応なしに目に体に飛び込んでくる。
もっと重力が軽かったのなら、少しくらいなら浮かぶ事もできたのだろうか?
できたら良いな。出来たのならその場で、とりあえず100m目指して頑張ってみるだろう。上空の景色を見たくて。
トゲすら溶かしていった、明け方の一瞬
トゲなんかあったのかどうか、忘れてしまう程に 明け方の一瞬
時間が溶け出し、ようやく流れ始めた 待ち望むこともせず
記憶は靄になり、何処かの国で雨を降らせた
おやすみなさい、タチカル
おやすみなさい、タチカル
タチカル